デビュー25周年を迎えた人気ロックバンド・TUBEが15日、原点の地となる神奈川県・湘南の鵠沼(くげぬま)海岸で大規模野外イベント「Seaside Vibration」を開催し、初の凱旋コンサートを行った。「湘南盆踊り」を披露するなど“湘南尽くし”のステージで沸かせたボーカルの前田亘輝(45)は「海おこしみたいな感じで、毎年、湘南でライブをやりたいね」とファン3万人を前に、再び湘南海岸に戻ってくることを約束した。
◇ ◇
右前方に浮かぶ江ノ島を眺めながら、前田は「♪江ノ島〜が見え〜てきた〜」とサザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」のフレーズを口ずさみ、「僕は幸せだなぁ〜」とこれまた茅ケ崎ゆかりの大スター、加山雄三の言葉をつぶやいた。
海上のボートから観賞する人、ステージ後方の高台から背筋を伸ばす人、離れた海岸で海風に運ばれる歌声に耳を澄ませる人…。晴天にも恵まれ、予定動員数を1万人も上回る3万人に出迎えられ、TUBEが25年ぶりに湘南海岸に帰ってきた。
1曲目はデビュー曲「ベストセラー・サマー」(1985年)のB面「涙のハーバーライト」だった。メンバーも「前にいつ演奏したか覚えていない、マイナーな曲」と声をそろえたが、湘南海岸の上に板を敷いた即席ステージで、海水浴客を前にフリーライブを繰り返したデビュー前の夏を忘れまい、と選曲。ベースの角野秀行(44)は「新曲だと思われるかも」と最後まで不安げだったが、前田が第1声を上げた瞬間、観客からは大歓声が巻き起こった。
メンバー4人は開場直後の11時ごろ、ファンの集まる屋台スペースをサプライズで訪れ、もみくちゃにされた。前田は「25年前は歩いていても誰も見つけてくれなかったのに…オレたち頑張ったんだなぁ」と感慨深げ。リハーサルを行った際には「久しぶりに湘南に来て、昔のことが思い出された。皆で一緒に写真を撮ったよ」と明かした。
来年以降の開催にも前向きで「毎年、やっていけたら。『海おこし』じゃないけど、全国のビーチに(ライブで)行けたらいいよね」(前田)と意欲を見せた。
湘南や海岸をテーマにした“湘南尽くし”の全17曲のラストでは、感謝の気持ちを込めて「湘南 My Love」を熱唱した。
♪鵠沼で夏が笑えば 又(また)1つ素敵なストーリーあふれだす‐。
歌詞そのままに鵠沼で3万人と夏が笑い、一夜限りのTUBE祭りは幕を閉じた。