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【現場発 ニュースを見に行く】増える鬱病に現場は混乱 身近になった一方で自己判断での思いこみも (1/4ページ)
このニュースのトピックス:病気・医療
仕事などのストレスから、精神疾患を患う人が増えている。増え続ける鬱病(うつびょう)を防ごうと、長妻昭厚生労働相は先月、企業が行う健康診断で精神疾患に関する検査を義務づける方針を示すなど、国も対応に追われている。一方、街には「サラリーマンのための心療内科」「即日診察、予約不要」といった看板が増え、精神科の門はたたきやすくなった。しかし、中には急患に備える夜間の精神科救急に押しかけ、「自分は鬱と診断されたので薬がほしい」などと訴える患者もいるようだ。精神科の現場で、何が起きているのか。(今泉有美子)
夜間の精神科救急を「コンビニ」と勘違い?
「あの、飲んでいた薬がなくなってしまったんですが…。鬱病と診断されているんですけど、不安で不安で眠れないんです。今から病院に行きますので、診ていただけますか…」
午前3時過ぎ、東京都足立区の「成仁病院」(精神科)に、若い女性から連絡が入った。当直勤務に当たっていた小野智輝看護師が事情を尋ねると、女性は精神科に通院歴があることが分かったが、口調は比較的しっかりしていたという。
小野看護師は、女性の意識がはっきりしていることや、体調に著しい問題がないことなどから、一刻を争う緊急事態ではないと判断。朝になってから、かかりつけの心療内科に行くよう説得し、電話を切った。「切迫した声で『すぐに見てほしい』などと電話を受けると、判断に迷います。暴れたり、意識を失ったりという症状がないだけに、どこまで一刻を争う事態なのかが分かりづらいのです」と小野看護師は言う。