中日−オリックス 9回のオリックスの攻撃を3人で抑え、3勝目を挙げた浅尾=ナゴヤドームで(谷沢昇司撮影)
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◆中日5−4オリックス
サヨナラ劇のプロローグは浅尾が描いた。9回、「ピッチャー・浅尾」のアナウンスにドームが大歓声に包まれる。1点ビハインドの場面での中継ぎエースの登場。ベンチも観客も逆転を呼び込むような熱投を期待し、浅尾自身もそれをわかっていた。
3番から始まるオリックスの中軸に全くひるまない。赤田への4球目には今季最速タイの156キロをマークし、次の155キロで三ゴロ。主砲カブレラも快速球で追い込んでフォークで空振り三振に仕留めた。後藤も二ゴロに倒れ、3回以降両チーム合わせて12度の攻撃で一度もなかった「3者凡退」。流れが一気にサヨナラへと傾いた。「一発は気を付けました。スピードはそんなに意識していませんでしたが、きょうは腕が振れた」。会心のリリーフでの3勝目に、自然と笑みがこぼれた。
これで今季はチーム最多の22試合に登板して防御率0・36。驚異的な安定感を誇っている浅尾が、ナゴヤドームではさらにすごみを増す。12試合、計15イニングを投げて失点は何と「0」。一度もホームベースを踏ませていないのだ。
浅尾は言う。「マウンドは投げやすい。それに、ここは『ホーム』ですから」。熱狂的な声援をパワーに変える。地の利を最大限に生かす術を浅尾は身につけている。
今や風格すら漂い始めた若きセットアッパー。「交流戦だからといって、ボクのやることは同じ。大事な場面を任せられているからには抑えたい」ときっぱり。きゃしゃな体に似合わぬ剛球と強心臓で、ひたすら「0」を刻んでいく。 (木村尚公)
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