9回裏1死一、二塁、左翼線に同点のタイムリー二塁打を放つブランコ
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サヨナラの主役は“バースデーボーイ”に譲った。ちょっぴり悔しい? いや、勝てれば最高! 仲間と一緒に決めた劇的フィナーレを、ブランコは満足感たっぷりに見届けた。
「カミサマ、小池サマのおかげ。勝ててうれしいよ。きょうは今年一番の好調だったから、最後(9回の打席)はホームランを狙ってたんだけど…。走者をかえせてよかった」
4回の先制9号が自分自身への号砲。敵に逆転され、引き離されても、この日は4番が加点し続けた。6回にも中前へ適時打を決め、7回には1死満塁の好機に犠飛を放ち1点差に。サヨナラ弾を狙った9回には左翼線を襲う同点適時二塁打で、その存在感を示した。
「昨日が息子の誕生日だったこと。それと、これまで一生懸命に練習してきたこと。パ・リーグの投手が力勝負をしてきたことも、打てた要因だったと思う」
ここまで5試合は、わずか2安打。本塁打からも今月4日の阪神戦を最後に遠ざかり、バットで快進撃を続ける3番・森野、5番・和田の陰に隠れていた。「2人の働きは刺激になる」。人知れず焦りを覚えていた主砲の背中を押したのは、スタンド観戦していた家族との約束。前日(14日)、5歳の誕生日を迎えた長男のトニ・ブランコ・ジュニア君が「パパ、お願い!」と活躍をおねだりしていた。
「ペドロ(二男)の誕生日の時もそうだったから、きょうも決められてよかったよ」
1試合4打点は今季初。気分よく上がったお立ち台で、ブランコは威勢よく叫んだ。「交流戦で一番になりたい!」。眠っていた主砲が完全に目覚めれば、その言葉は現実になる。 (安藤友美)
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