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「宮崎の宝」口蹄疫から守れ 種牛6頭、特例で避難へ

2010年5月13日12時46分

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写真:全国和牛能力共進会で優秀な成績を収めた宮崎県産の黒毛和牛=2007年、JA宮崎経済連提供全国和牛能力共進会で優秀な成績を収めた宮崎県産の黒毛和牛=2007年、JA宮崎経済連提供

 家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)の感染拡大を受けて、宮崎県は13日、県家畜改良事業団(同県高鍋町)が飼育する種牛55頭のうち、農家に供給している冷凍精液の9割を占める6頭を同事業団から西へ40キロ離れた同県西米良村に避難させると発表した。「宮崎牛」ブランドを支える「県の宝」だが、1頭でも感染が疑われれば、すべての種牛が殺処分されるからだ。発生農場に近いため移動が規制されているが、国が特例措置を認めた。

 「特例措置をとることは耐え難いが、宮崎牛ブランドを何とか維持しないといけない」。13日の記者会見で、県農政水産部の押川延夫次長はこう語り、牛や豚の殺処分対象が約7万9千頭となる中での特例措置について、被害農家や県民の理解を求めた。

 宮崎県産の子牛は、松阪牛(三重県)や佐賀牛の産地など全国各地に出荷されている。種牛の保護については、「日本一に輝いた名牛が失われることは全国の損失」と各産地からも宮崎県に要望が寄せられていたという。赤松広隆農林水産相が県庁を訪れた10日には、同県の東国原英夫知事が種牛の避難を認めるよう訴えていた。

 同事業団は県の外郭団体。県内から集めた優良な牛を交配し、血統や発育の良い子牛を厳選して種牛に育てる。高い等級の種牛の精液が県内の畜産農家に売られ、「宮崎牛」の父となる。だが、現在の牛舎は、同県川南町の発生農場から半径10キロの移動制限区域内にあり、種牛を避難させるには国の許可が必要だった。種牛6頭の避難先は周囲に家畜のいない山奥で、県が簡易牛舎を造り、13日中に移動させるという。

 宮崎県産牛は、5年に1度開かれ「和牛のオリンピック」と呼ばれる全国和牛能力共進会で、07年に7部門でトップになり、最優秀の内閣総理大臣賞を獲得した。出品された牛は、いずれも事業団の種牛の血を引いている。感染拡大で種牛が殺処分になると、「宮崎牛」ブランドは大きな打撃を受ける。種牛の精液は冷凍保存されているものの、新しい種牛の等級が決まるまで育てるのに10年はかかるからだ。

 宮崎で最初に感染が疑われる牛が確認された4月20日以降、事業団は職員以外の施設への立ち入りを禁止し、一部の職員を自宅待機させ、外部との接触を極力遮断してきた。(野崎健太、石田一光)

     ◇

 〈宮崎牛〉 宮崎県内での肥育期間が長い黒毛和牛のうち、日本食肉格付協会の基準で肉質が最高の5等級と4等級のものを指す。JA宮崎経済連によると、年間1万2千〜1万3千頭が出荷され、ほとんどが県内で種付けされた子牛から肥育されている。

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