情報通信政策のあり方を検討する総務省の作業部会は14日、「2015年をめどに超高速ブロードバンド(大容量通信)100%普及」を掲げた原口一博総務相の「光の道」構想に絡んで、大容量通信の基盤となるNTTグループの光回線事業の分離案と現状維持案を示しつつも、「1年後をめどに再度検討する」と、NTT再編の結論を先送りする報告書をまとめた。
報告書は光回線について(1)NTTの社内部門とする「機能分離」(2)グループ内での分社化(3)グループから切り離す完全分社化の再編3案と現状維持案を提示。ただ、「再編のための時間とコスト、NTTの株主利益の確保などで総合的な検証が欠かせず、検討に十分な時間が必要」とし、結論は先送りした。再検討時に向け、当面はNTTグループに光回線の他の通信事業者への開放促進など自主的な取り組みを求めた。
NTTの光回線のシェアは約70%に達し、「他事業者への貸出料が下がらず、利用率も向上しない」との指摘があり、ソフトバンクやKDDIが分離を求め、NTTは反対してきた。【望月麻紀】
毎日新聞 2010年5月15日 東京朝刊