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NTT光回線、分離3案…総務省部会

 光ファイバーなどの超高速ブロードバンド(大容量通信)網の利用率を2015年までに100%にする原口総務相の「光の道構想」を巡り、総務省の作業部会は14日、実現のための基本方針を公表した。

 焦点となっているNTTの光回線事業の分離について、分社化など三つの案を提示し、NTTにも一層の他社への回線開放などの努力を求めた。グループの組織形態については、NTTの開放状況を見た上で、1年後をめどに判断すると明記した。

 光回線は、現状で全世帯の約90%の地域をカバーしているが、実際の利用率は約30%にとどまる。

 「光の道構想」は、光回線を中心に、カバー率と利用率の両方を100%にすることを目指している。

 基本方針では、ブロードバンド未整備地域は過疎地が多く、整備にコストがかかるため、「一定の公的支援の実施が望ましい」と提案。

 利用率の100%化には、電子政府、教育、医療の分野での活用が重要として、病院などの公的機関での積極的な導入を求めた。

 整備方法としては、国の支援を受けた地方自治体が整備して民間事業者に貸し出す「公設民営方式」を提案した。

 NTTの光回線事業については〈1〉完全分社化〈2〉機能分離〈3〉グループ内分社化――の3案を提示し、「十分な時間をかけて検討する必要がある」とした。

 完全分社化は、光回線事業をNTTグループから完全に切り離す案だ。NTTの光回線網を、他社もNTTと同じ条件で使えるようにする狙いがある。ただ、光回線を他社に貸し出す利益を失うNTTは、この案に反発している。

 機能分離は、分社化せずNTTの社内で事業を分け、会計や人事を遮断するものだ。NTT側の痛みは少ないが、NTTが光回線を所有することにかわりはなく、他の通信会社が反対する可能性が高い。

 グループ内分社化は完全分社化と機能分離の中間的な案といえる。

 作業部会では、NTTのグループ体制見直しも視野に、年内をめどに方向性を打ち出すことも検討していたが、委員から慎重論が噴出した。3案を示し、分離問題の結論を出すまでの時間に猶予を持たせることで、十分に論議を尽くす考えだ。

2010年5月15日  読売新聞)
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