局地的な集中豪雨で雨水が一気に流れ込んだ河川があふれる。そんな都市型水害を防ごうと、雨水をため込んだり、地中に染み込ませたりする街づくりが全国的に広がっている。福岡市は雨水貯留タンクを設置する民家への助成を4月から拡充。雨水を地中へ浸透させる「浸透ます」への助成も始めた。
JR博多駅に近い同市博多区の堅粕公民館。今月、1トン(千リットル)の雨水をためられるタンクが設置された。雨どいを通じて雨水を集める。ためた水はふだんは花の水やりなどに使っている。
木材の防腐剤の廃容器を利用して作ったタンクを贈ったのは、水害を防ぐ街づくりを提唱している同区のNPO法人「エコ・ブランド・コミュニティ」。代表の村武賢治さん(51)は「雨を川に流し込む従来通りの街づくりでは安心して住める街にはならない」と話す。
福岡市では1999年と2003年、JR博多駅の近くを流れる御笠川のはんらんなどで、駅一帯が冠水する被害が出た。
市は05年、戸建て住宅に100リットル以上の貯留タンクを設置する場合、タンクなどの費用の半額を1万5千円を上限に助成する制度を設け、昨年度までに695件の利用があった。設置されたタンクの貯水量は平均210リットル。補助を出した分だけで計140トン余りの「ダム」ができた計算だ。