【サンタアナ(米カリフォルニア州)】トヨタ自動車に対する大規模な訴訟で原告側弁護士らは13日、担当判事に対して、この訴訟で直面する可能性の高い課題の多くに関しその概要を提示した。一方 で、弁護士らは原告側を代表して主要な役割を担う立場を獲得しようと競って判事に自己アピールを展開した。
その課題の中には、約100人の弁護士から主導的な役割を担う原告側弁護士を選任する作業が含まれる。こうした課題が、トヨタ車の突然の加速に絡むおよそ75件の統合された訴訟を担当するジェームズ・セルナ連邦裁判所判事に示された。
今回の訴訟では、保有するトヨタ車の価値が下落したことや死傷事故につながったことなどを含め、あらゆるトヨタ製車両の問題が訴えの対象となっている。複数の運転者が運転中の乗用車やトラックが急加速し制御不能となったとの苦情を受け、全世界で800万台以上のトヨタ車がリコール(回収・無償修理)対象となった。
セルナ判事は「公判に向けて準備を整えるため、われわれは協力して困難な、しかし私は実行が可能と信じる、任務に取り掛かっている。これには全員の協力が求められる」と述べた。
トヨタにとって問題となっているのは数十億ドルに上る賠償金額だ。この日、セルナ判事は幾つかの優先度の低い問題の解決に努めたほか、今回の訴訟で主要な役割を担いたい弁護士らの主張を聞いた。同判事が選任する一握りの弁護士らが5億ドルに達するとされる弁護士費用を分割することになる。
トヨタ側弁護士は同判事に対して、訴訟はフロアマットとアクセルペダルの引っ掛かりやアクセルペダルの不具合、電子機器問題などといった、原告が加速の原因として主張する理由ごとに分けられるべきだと考えている、と訴えた。同判事は一切判断を下さなかったが、少なくとも訴えを分割するとは示唆しなかったとみられる。
トヨタ側のビンセント・ガルビン弁護士は「今回の訴訟は、製造物責任訴訟だ。争点はトヨタ車の電子系統に欠陥があったかどうかだ」と語った。
一方、原告側の弁護士らはセルナ判事は翻訳が困難なエンジニア関連文書を日本から取り寄せる必要があるかもしれないと指摘。同判事はまた、トヨタ幹部らの宣誓証言の提出の遅れに直面する可能性もある。日本では米国領事館でしか宣誓証言ができないからだ。
セルナ判事は13日、一切の決定を下していない。弁護士らはそれぞれ5分以内で今回の訴訟で主導的立場を勝ち取るため弁論を繰り広げたが、こうした手続きは何時間にも及んだ。