【ニューヨーク共同】トヨタ自動車の大規模リコール(無料の回収・修理)に絡む集団訴訟が13日から米カリフォルニア州で始まった。
訴訟の終結には最低でも2〜3年かかるといわれ、和解した場合のトヨタの支払額は最低でも30億ドル(約2800億円)との試算もある。2010年3月期で2年ぶりの営業黒字に転換したトヨタの経営に今後、大きな影響を与えかねない。
トヨタは、リコール問題で生じた損失について、10年3月期で「1700億〜1800億円のレベル」(小沢哲副社長)と説明し、想定通りに推移していると強調するが、これはリコールによる販売減の損失や修理・人件費、てこ入れのための販売促進費用など直接的な損失の部分。
「米国で大規模リコールを実施した場合、本当に金がかかるのは訴訟費用」(関係者)との声もあり、経営への影響はまだ未知数だ。
訴訟関連費用について、米国の法律専門雑誌は70億ドルと予想。米国の訴訟に詳しい日本の通商関係者も「訴訟の総費用として30億ドルから100億ドルが必要」と分析する。
10年3月期のトヨタの営業利益は約1500億円で、場合によっては本業のもうけの数年分が吹き飛ぶ計算。トヨタ幹部は「これからが本当の勝負」と気を引き締める。
米医薬品大手のメルクが07年に消炎鎮痛剤の副作用をめぐる訴訟で総額48億5千万ドルを支払い和解するなど、企業相手の訴訟の賠償金は巨額になるケースも多い。
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