2010年3月18日 23時25分 更新:3月19日 1時23分
【テヘラン支局】カタール・ドーハで開催中のワシントン条約締約国会議は18日午後(日本時間同日夜)、大西洋(地中海含む)産クロマグロの国際取引を全面禁止するモナコの提案を第1委員会で採決し、反対68、賛成20、棄権30の反対多数で否決した。米国や欧州連合(EU)が禁輸支持を相次いで表明し、クロマグロの最大消費国である日本は劣勢が伝えられたが、中東やアフリカの漁業国の支持を得て土壇場で巻き返した。
委員会での決定は25日の全体会合の承認を経て最終決定される。モナコ案は3分の1以上の国の支持があれば、全体会合で再び審議することが可能だが、委員会での決定が覆った前例は少なく、委員会の採決は禁輸反対が賛成を大きく上回ったため、最終的に禁輸案の採択は見送られる公算が大きくなった。
委員会は、モナコが禁輸の提案理由を説明し、絶滅の恐れがある野生動植物の輸出入を規制するワシントン条約による管理を主張した後、各国が討議。日本は「大西洋クロマグロは持続的利用を図るべき漁業資源で、『大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)』が的確に資源管理すべきだ」とモナコ提案への反対を表明した。中東やアフリカなどからも反対が相次いだ。
委員会では、モナコ提案とは別に、EU議長国のスペインが、禁輸案を支持した上で来年5月まで発効を遅らせるEUとしての修正案を提出したが、賛成43、反対72、棄権14で否決された。
クロマグロは刺し身用の高級魚で、禁輸が決まれば、大西洋産クロマグロに依存する日本には打撃となる。このため、締約国会議では、水産庁を中心とする日本政府代表団が各国に反対するよう働き掛けてきた。