高木マニア堂
何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。
158:銀メダルを捨てた男
<2008年8月=東スポ・プロレス格闘技サイト「プロレスマニア堂」より>
北京五輪のレスリング、グレコローマン84㌔級で銅メダルを獲得したアラ・アブラハミアン選手(スウェーデン)が判定に不服として、表彰式でメダルを投げ捨て、国際オリンピック委員会(IOC)からメダルを剥奪されてしまった。
このニュースを聞いて“野獣”藤田和之のことを思い出した。
あれは1994年暮れの全日本選手権のことだ。藤田はまだプロレスラーになっていない。日本大学卒業後、新日本プロレス職員として働きつつアトランタ五輪を目指していた時期だ。
前年の1993年、フリー90㌔級で全日本初制覇に成功していた藤田は、2連覇に向けて期待が集まっていた。ところが何を考えたのか? 突如、大減量を決意した藤田は、1つ下の82㌔級での出場を目指す。
レスリング関係者は「五輪出場を見据えて、アジア予選で勝つためにパワー負けしない階級を目指しているのでは?」と推測。ところが新日本プロレスの合宿所で藤田の涙ぐましい減量生活を目の当たりにしていた石澤常光(後のケンドー・カシン)や永田裕志は「なんか最近『あしたのジョー2』のビデオにハマっていて、それで減量を決意したみたいだよ」と言う。
ジョーのライバル・力石徹が過酷な減量の末、ジョーとの試合後に生命を落とす、アニメ1作目の『あしたのジョー』ではなく、ジョー自身がバンタ
ム級にこだわり続け、減量にもがき苦しむ「~2」であるところがツボだ。
減量に成功した藤田は頬はこけ、あの野獣ボディから筋肉までもが見るも無残にそぎ落ち、やせ細った状態で82㌔級に出場。決勝戦まで勝ち進んだものの、前年のフリー82㌔級王者・横山秀和に完敗。無念の銀メダルに終わったのだった。
よほど悔しかったのだろう。表彰式で銀メダルを授与された藤田は表彰台から降りると、銀メダルをポイっと投げ捨てて、そのまま姿を消した。表彰台から投げ捨てたワケではないから、それほど目立たず、お咎めもなかったように記憶しているが、藤田に捨てられた銀メダルはセコンドの石澤が、ちゃんと拾い上げていたのが印象に残る。
翌1995年、元の90㌔級に戻って再びアトランタを目指すと思われた藤田は、何と90㌔級を飛び越え、さらに上の100㌔級で出場。見事に優勝を飾った。たった1年間で2階級上げて全日本選手権で優勝を遂げた選手は、おそらく
藤田ぐらいのものだろう。
何事にも極端な性格。以降、減量のないプロ入り後の活躍はご存知の通りだ。早くプロレス界に戻ってきて欲しい“豪快さん”だ。
北京五輪のレスリング、グレコローマン84㌔級で銅メダルを獲得したアラ・アブラハミアン選手(スウェーデン)が判定に不服として、表彰式でメダルを投げ捨て、国際オリンピック委員会(IOC)からメダルを剥奪されてしまった。
このニュースを聞いて“野獣”藤田和之のことを思い出した。
あれは1994年暮れの全日本選手権のことだ。藤田はまだプロレスラーになっていない。日本大学卒業後、新日本プロレス職員として働きつつアトランタ五輪を目指していた時期だ。
前年の1993年、フリー90㌔級で全日本初制覇に成功していた藤田は、2連覇に向けて期待が集まっていた。ところが何を考えたのか? 突如、大減量を決意した藤田は、1つ下の82㌔級での出場を目指す。
レスリング関係者は「五輪出場を見据えて、アジア予選で勝つためにパワー負けしない階級を目指しているのでは?」と推測。ところが新日本プロレスの合宿所で藤田の涙ぐましい減量生活を目の当たりにしていた石澤常光(後のケンドー・カシン)や永田裕志は「なんか最近『あしたのジョー2』のビデオにハマっていて、それで減量を決意したみたいだよ」と言う。
ジョーのライバル・力石徹が過酷な減量の末、ジョーとの試合後に生命を落とす、アニメ1作目の『あしたのジョー』ではなく、ジョー自身がバンタ
ム級にこだわり続け、減量にもがき苦しむ「~2」であるところがツボだ。
減量に成功した藤田は頬はこけ、あの野獣ボディから筋肉までもが見るも無残にそぎ落ち、やせ細った状態で82㌔級に出場。決勝戦まで勝ち進んだものの、前年のフリー82㌔級王者・横山秀和に完敗。無念の銀メダルに終わったのだった。
よほど悔しかったのだろう。表彰式で銀メダルを授与された藤田は表彰台から降りると、銀メダルをポイっと投げ捨てて、そのまま姿を消した。表彰台から投げ捨てたワケではないから、それほど目立たず、お咎めもなかったように記憶しているが、藤田に捨てられた銀メダルはセコンドの石澤が、ちゃんと拾い上げていたのが印象に残る。
翌1995年、元の90㌔級に戻って再びアトランタを目指すと思われた藤田は、何と90㌔級を飛び越え、さらに上の100㌔級で出場。見事に優勝を飾った。たった1年間で2階級上げて全日本選手権で優勝を遂げた選手は、おそらく
藤田ぐらいのものだろう。
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