医師が自ら運転して救急現場へ向かう
乗用車型の「ドクターカー」を、足利赤十字病院(足利市本城)が
栃木県内で初めて導入し、救命救急センターで運用を始めた。
重症患者の早期治療が最大の目的だが、
医師不足により崩壊しつつある地域救急医療体制の改善に
向けた起爆剤としても期待が掛かる。
ドクターカーは乗用車に赤色灯を付け、緊急自動車として登録。
救急車と同じように緊急走行が可能なため、
救急専門医や看護師がいち早く直接現場に行って治療できる。
活動範囲は足利、佐野両市に、群馬県桐生、太田、館林、
みどり各市を加えた「両毛医療圏」。
各消防本部と協定を結び、要請に応じて出動する。
同医療圏唯一の三次救急医療機関に指定されている同センターでは、
佐野市民病院の二次救急休止などで軽症患者の搬送が増加。
高齢化が進んでこの十年間で救急搬送患者数が
五割以上増えたこともあり、重症患者の受け入れが難しくなっている。
このため、プレホスピタルケア(病院前救急診療)の充実が急務に。
救急活動の中心になっている救急隊員は処置や
薬剤使用に制限があり、医師が現場に駆け付けられる
ドクターカーが果たす役割は大きい。
また、県内の院外心肺機能停止患者の蘇生(そせい)率は
11%(二〇〇六年度)と、全国平均20・5%の約半分。
県内十三基幹病院の常勤医が二〇〇〇年から〇七年までで
一割以上減ったことが原因の一端とみられている。
ドクターカー導入で蘇生率アップにつながる可能性もあり、
同センターの小川理郎(さとお)所長は
「救える命を救えない方がつらい。
病院で待つのではなくて、外に出て早めに治す
『攻めの救急』だ」
と意欲を示している。
2009/8/26 東京新聞
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