パチンコ雑誌に掲載された攻略法の広告をめぐり、雑誌発行会社と広告会社にその内容の真実性を調べる義務があるかどうかが争われた訴訟の判決が12日、大阪地裁であった。後藤誠裁判官は「内容に疑いを持つべき事情があったのに調査を怠った」と指摘。2社に対し、原告の男性会社員(29)=堺市=に計約76万円を支払うよう命じた。
原告の代理人弁護士は「画期的な判決。悪徳商法広告の安易な掲載への警鐘となる」と話している。
判決によると、大阪市の雑誌発行会社「未来インターナショナル」は2007年3月発行の「月刊パチンコ攻略の裏」で、1日で多額の金を稼げるとしたパチンコの「打ち子」の募集と攻略法の提供をうたった二つの広告を東京の広告会社「クエスタ」を通じて掲載した。原告の男性は攻略法提供主らに計約210万円を支払い、ファクスなどで送られてきた方法を試したが効果はなかったとして、255万円の賠償を求めていた。
判決は「雑誌社と広告会社には、読者に不測の損害を及ぼすと予見される虚偽の広告を提供してはならない義務がある」と指摘。その上で「攻略法が真実であればパチンコ店などが多額の損害を被ることになるが、そうした状況は起きておらず、2社には広告内容を疑って調査しなかった過失がある」と認定した。
クエスタは「判決文を見ていないので、コメントできない」としている。(岡本玄)