【ニューヨーク=山川一基】米検索大手グーグルは14日、日本を含めた世界各国で、道路沿いの風景写真をネットで提供する「ストリートビュー」用の撮影車が、無線LANを経由して送られた個人のデータを誤って集めていた、と発表した。グーグルは謝罪してデータの消去を約束したが、プライバシーをめぐって議論を呼びそうだ。
グーグルによると、町中をくまなく走って風景を写している同社の撮影車は2007年以降、道路周辺にある無線LAN用の通信機の場所を把握し、その通信機にメーカーが割り当てた固有番号などを収集している。同社によると「業界では広く収集されている」といい、蓄積すると携帯電話向けの地図情報サービスなどの精度を高めることができるという。
しかし、データ収集のプログラムに問題があり、通信機を通じて個人がウェブサイトの閲覧や電子メールのやりとりなどをしたデータのうち、情報保護のための暗号化がされていない情報が車に蓄積されていた。今月上旬に独政府から問い合わせがあり精査したところ、問題が見つかったという。
同社は集まった個人データを「一切利用していない」と説明し、通信機のデータ収集もただちに中止した。どのくらいの個人データを集めてしまったかは明らかにしていないが、可能な限り早く消去するとしている。
ストリートビューをめぐっては、住宅地などを撮影することに対し「プライバシーの侵害だ」との批判がある。総務省は「原則としてプライバシー侵害などにあたらない」との見解をまとめ、グーグルも人物の顔をぼかすなどの工夫をしているが、撮影車が個人データも収集できる機能があることが判明し、批判が再燃する可能性もある。
グーグルは日本国内では08年8月からストリートビューのサービスを開始。対象地域を段階的に広げており、今年3月11日時点で、38都道府県でサービスを提供している。