バンコクで14日、バリケードを築き、治安部隊に向け自家製発射機を使って花火を撃ち込むタクシン元首相派=ロイター
14日、陣地周辺をパトロールする黒いシャツの集団。銃撃されたカティヤ少将の指揮下にあったとされる=バンコク、武石英史郎撮影
タイ政府軍との衝突で逃げる反首相派のデモ参加者ら=AP
【バンコク=山本大輔】タイの首都バンコク最大の商業地区を占拠するタクシン元首相派と、占拠地域を完全封鎖した治安部隊は14日、市街各所で断続的に激しく衝突した。バンコクの救急医療機関によると、13日からの2日間で少なくとも8人が死亡、110人以上が重軽傷を負った。首都中心部は、銃声や爆発音が鳴りやまない状態に陥っている。
治安部隊は14日昼、占拠地域に近い観光名所のナイトバザール周辺に集結した元首相派を排除しようとしてガス弾などを発射。元首相派は警察車両に放火するなどして抵抗し、銃撃戦に発展した。病院によると、元首相派3人が死亡し、取材中のカナダ人カメラマンら20人以上が重軽傷を負った。複数が実弾を受けて負傷したという。
14日夕には、占拠地域の南端に接し、治安部隊が待機所としているホテル周辺でも元首相派と武装兵が実弾で交戦。占拠地域北側の繁華街でも衝突が起き、タイヤを焼く黒煙が首都中心部に何本も上がるという異常な状況になった。
夜には元首相派の占拠地域の中央部に設営されたステージに向けてガス弾数発が撃ち込まれた。この直後に、金融ビジネス街のシーロム地区で爆発が起き、約30分の間に10発以上の爆発音が響き、銃声は間断なく続いた。
病院によると、死傷者は各所から次々と搬送されてくるため、人数や状況確認が遅れており、死傷者の数はさらに増える恐れがある。
緊迫した状況を受けて亡命状態にあるタクシン元首相は14日昼、政府と元首相派による即時の対話開始を呼び掛ける声明を発表した。政府報道官は同日夜、「これ以上の犠牲を防止するため、反政府行動を直ちに中止してほしい」と述べた。14日の強制排除は計画していないという。