嘉風をはたきこみで破った霜鳳(右)=両国国技館(撮影・西岡 正)
「大相撲夏場所6日目」(14日、両国国技館)
西前頭15枚目、小結の経験もある32歳霜鳳が嘉風をはたき込んで初日から6連勝とした。全勝、1敗の7人のうち、日本人は霜鳳だけ。腰痛に苦しむことが多かったベテランに日本勢最後の希望が託された。横綱白鵬は若の里を危なげなく寄り切り全勝を堅持。新大関把瑠都も関脇安美錦をはたき込んで初日から6連勝とした。
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ベテランにスポットライトが当てられた。十両以上で自身最長タイの初日から6連勝に報道陣約20人が殺到。「そりゃうれしいですけど…。恥ずかしいです」とはにかみながら取材に応じた。
東京農業大相撲部から00年夏場所に幕下付け出しでデビュー。所要6場所で十両に昇進し、小結まで番付を上げたが、その後は足踏み。05年九州場所では腰椎椎間板(ついかんばん)ヘルニアで全休。合計3度、同じ症状で休場を繰り返した。
実はこの腰痛、師匠の時津風親方(36)=元幕内時津海=にも若干の責任があった。数年前、東京農大の先輩である当時現役の親方が、強引にゴルフに誘い悪化させたことがあるというのだ。「あの時は申し訳ないと思ったね」と恐縮する師匠にとっても、うれしい快進撃というわけだ。
体重を3キロ減の139キロにし、腰の負担を減らしたこともプラス材料になっている。平幕優勝の可能性もゼロではないが、「意識しないですよ。勝ち越しを意識します」と霜鳳。元エリートの苦労人は控えめに目標を掲げた。
(2010年5月15日)