今夏の参院選宮城選挙区(改選数2)で、民主党の菊地文博県議(50)が、みんなの党の公認候補として立候補する方向で最終調整していることが13日、分かった。複数の県政界関係者が明らかにした。民主党を離党し、みんなの党から立候補することが正式に決まれば、全国初のケースとなる。選挙地盤を支える県議が政権与党を見限って新党にくら替えすることは、支持率の低下に悩む民主党にとって大きな打撃になりそうだ。【比嘉洋、鈴木一也】
菊地氏は今年4月、東北6県の地方議員や首長らとともに超党派で地域主権型の道州制実現を目指す「東北州政治家連盟」を発足させ、代表に就任するなど宮城県政を超えた政治活動を展開。みんなの党は7年以内の地域主権型道州制移行を公約に掲げており、菊地氏と政策的に同調する。
菊地氏は8日付の自身のブログで「政策ベースの政界再編も必要」と指摘。県政界関係者によると、菊地氏は、政界再編の可能性を見据えたうえで、みんなの党と今夏の参院選や次期衆院選で県内から立候補することについて話し合いを進めていたという。
民主党県連は09年12月、選挙対策委員長に菊地氏を選任。菊地氏が離党することになれば、県連執行部の組織を足元から揺るがす事態になる。さらに、民主党は政治資金や鳩山由紀夫首相の資質の問題で「逆風にさらされている」(県連幹部)状況で、無党派層の“民主離れ”に強い警戒感を示す。
一方、みんなの党の支持率は、毎日新聞の世論調査(4月19日公表)で民主、自民に次ぐ3位につけており、「政界第三極」としての存在感を増している。みんなの党が菊地氏の擁立を正式に決定した場合、無党派層の支持獲得を巡り、激しい選挙戦が繰り広げられそうだ。
菊地氏は仙台市宮城野区出身、仙台商業高卒。会社員や議員秘書を経て、95年に宮城野選挙区から県議に立候補、初当選した。3期目の05年に自民党を離党し、無所属で衆院宮城2区補選に立候補したが落選。同年に宮城野選挙区の県議補選で再当選し、07年に民主系会派「民主フォーラム」と合流し「改革みやぎ」を結成した。現在通算5期目。
毎日新聞 2010年5月14日 地方版