「森下仁丹」が６５年ぶり中国市場再参入へ

　森下仁丹が６５年ぶりに中国市場に再参入することが１４日、分かった。清涼剤「仁丹」は旧日本軍の常備薬だったため中国人の反発が強く、終戦後撤退したが、中国でも健康志向が高まっていることから、健康食品事業でシェア拡大を目指す。

　現地企業と提携し、２０１０年度中に北京や上海などで営業を始める。健康食品やサプリメントを中心に、売上高１０億円が目標という。

　明治時代の１９０５年に発売した「仁丹」は、直後の０８年に中国全土で発売。独特な風味が、大礼服姿に立派な口ひげの男性の商標とともに親しまれた。しかし終戦で撤退。その後も戦争の負の記憶と結び付いて、長く再参入の妨げになっていたが、中国人の世代交代とともに反発が薄れていた。

　昨年、現地でテスト販売した健康食品「ビフィーナ」も好評だった。駒村純一社長は「日中関係の深まりで環境が整ってきた」としている。（共同）

　［2010年5月14日23時48分］