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【プロ野球】

原監督 500勝

2010年5月14日 紙面から

◆巨人9−1西武

巨人−西武 監督通算500勝のウイニングボールをスタンドに投げ入れる原監督=東京ドームで(北村彰撮影)

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 東京ドームに次々と祝砲が打ち上がった。4本のアーチ攻勢を含む13安打9得点。巨人が前夜の岸ショックを振り払う大勝だ。電光掲示板に「祝 原監督500勝」の文字が浮かび上がる。しかし、原監督は記念のボールを迷いなく観客席に投げ入れた。

 「500勝というよりも、(この日)勝てたことの方がうれしい。一足飛びに500勝できるものではない。ファンのみなさんのおかげということもある」

 采配(さいはい)がズバリと決まった。2番に長野、6番以下に谷、矢野、エドガーと右打者を並べた。3回にはそのスペシャルオーダーがつながって6得点。「効果的な1発と(打線の)つながり。バランスよく全員が相手投手に襲っていった」と振り返った。

 特に光ったのが、手塩にかけて育ててきた坂本だった。3回には7号ソロを「年に1回あるかないか」という右方向に運び、5回には昨年5月2日の阪神戦以来の1試合2発となる8号2ラン。新人時代から直接指導を受けてきた師匠の心を読み取った若武者は「500勝? 監督はそんなの気にしてないですよ」と笑った。

 監督冥利(みょうり)に尽きる2本のプレゼント。しかし、原監督は慢心を許さなかった。「成長? 振り返るのは早いよ。まだ彼は途上よ、途上」。坂本が昨年、「フルイニング出場」の目標を掲げると、開幕戦で途中交代を命じた。「まだ早い。自分の足元を見ていない」。期待ゆえの厳しさ。そして、今季は一度もベンチに下げず、若武者の成長を静かに後押ししている。

 常に前を見続ける指揮官にとっては500勝も通過点だ。キャンプイン前日の1月31日。「あぐらをかいていては前に進めない」と全選手、スタッフに伝えた。「まだ途上」は坂本だけに向けられたものではない。球場を去る指揮官の表情はグッと引き締まっていた。

  (井上学)

 

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