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【ドラニュース】


チェン47日ぶり勝った!

2010年5月14日 紙面から

中日−ソフトバンク 7回表2死、田上を空振り三振に打ち取りガッツポーズするチェン(小嶋明彦撮影)=ナゴヤドームで

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 チェン、長かった〜。13日のソフトバンク戦(ナゴヤドーム)、中日は3−1で逆転勝ちし、交流戦6年目で初の開幕連勝発進。何よりD党が待ち望んでいたのがチェンの復活。7イニング1失点で3月27日以来の今季2勝目。これで貯金も4。竜もチェンも、5月反攻の幕開けだ−。

 悩み抜いた。約1カ月半。勝てずに苦しんだチェンがたどり着いたのは原点だった。「1球1球、ということしか考えなかった」。目いっぱい自慢のストレートを投げ込んだ。豪快な投球がよみがえった。

 「ヒットを打たれてもすぐに気持ちを切り替えるようにしました。前は打たれると『うわぁー』と思っていたけど、今日はヒットを打たれたらしょうがない、次のバッターの方が大事だと考えて投げました」

 1球1球、1人1人。終わってみれば7イニング3安打1失点。3月27日の開幕第2戦以来47日ぶりの2勝目が手に入った。

 白星が欲しい…。その思いが強く、負の連鎖に誘い込まれたようだ。「考えすぎかもしれない」。マウンドでもあれこれと考えた。逆に白星が逃げていった。

 前回5日の阪神戦は4イニング6失点と散々なKOだった。沈んだチェンにヒントを与えてくれたのは先輩野手だった。

 「前の試合で投げた後、森野さんから言われました。いいときの試合と打たれた試合をしっかりビデオで見てみろ。フォームじゃなくて別のところを、と。見たらすぐに分かる、と言われました。自分で見て、テンポが悪すぎるなと思った。テンポの悪さ、投げる間隔の長さ…」

 野手にとって、投球自体は専門外。ただ、後ろで守るからこそ感じることもある。それとなく水を向け、最後は本人が答えにたどり着いた。

 チェンは別人のようにテンポ良く投げた。首も振らない。7イニングで94球。球数も少なくなった。

 快投しても、簡単に流れは好転しない。打線は4回までに3併殺という拙攻。援護ゼロが続いた。苦しい展開。ここでも原点を大事にした。

 「とりあえず自分のピッチングしか考えなかった。バッターを信じて、自分の仕事をやって、このゲームをつくる」

 5回にはブランコの失策から2死二、三塁のピンチも招いた。ここで耐えた。その裏、逆転劇が待っていた。同点とした直後の1死二、三塁。打席はチェン。低めの速球をたたきつけた。高く弾む遊ゴロ。三塁走者が悠々と生還した。勝ち越しだ。一塁でアウトになり両コブシを握った。

 勝利への執念を燃やしながら、シンプルに自分の仕事をする。呼び込んだのは交流戦初の2連勝スタートだ。

 落合監督は「ひと月以上かかったな」と苦笑いしながら、この1勝の大きさを語った。「アイツの(先発する)試合は勝たなきゃいけない。(チェンに)勝ち星はつかなくても。でないと前へ進んでいけないんだ」。チェンと吉見は左右の両輪。苦しい経験を糧に、自力で回転しはじめた。 (生駒泰大)

 

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