2010年5月14日
雑誌記事をインターネットで有料配信する事業の可能性を探るための本格的な実証実験が行われ、参加したモニターたちの意識調査の結果が明らかになった。電子雑誌を読める端末としても期待が高い「iPad(アイパッド)」の日本発売も近づく中、「雑誌をデジタルで読む時代」がいよいよ到来するのだろうか。
「新しいサービスとして今後どうなっていくかに興味がある(95.3%)」「記事をストックしておきたい(78.7%)」……
モニターたちへの調査結果からは、「雑誌をデジタルで読む」というスタイルへの期待感の高さが浮き彫りになった。
実験をしたのは、日本雑誌協会(雑協)内の「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」。関係の出版社が共同で設けたネット上のサイト「parara(パララ)」を舞台に、今年1月末から約1カ月間かけて行われた。
抽選で選ばれた約3200人のモニターが参加し、主な出版社から91誌の記事がネット経由で提供された。「週刊現代」「AERA」などの週刊誌から「with」「Hanako」などの女性誌まで幅広いラインアップだ。
モニターはこれらの雑誌コンテンツを、疑似通貨「パララ」で購入。雑誌単位、記事単位で読んでもらったあと、アンケートやヒアリングを行った。参加モニターの約半数から回答を得て、使い勝手や紙とデジタルの違いに関する意識などが明らかになった。
その結果、「回答者の約60%は、有料になっても利用意向がある」「普段紙媒体を購読しない人の約70%に、デジタル雑誌購入の意向がある」という傾向が明らかになった。「FREE(無料)」が当たり前と思われてきたネットの世界で、雑誌を有料配信するルートが確立される可能性を示唆する結果だ。
そのほか、「ビジネス、一般男性向け、生活情報といったジャンルの閲覧数が多い」「女性は記事単位、男性は雑誌単位で購入する」などの傾向も見えてきた。
他方、各社や各誌の記事を集めていく過程で、それぞれのデータの規格・フォーマットが不統一であるという課題も浮き彫りになった。同じ出版社の雑誌なのに、印刷会社が違うためにフォーマットが違っているという例も。コンソーシアムの大久保徹也議長(集英社)は「(パソコンやiPadなど)様々な端末での利用にたえうる統一フォーマットづくりの難しさを再認識した」と語る。
実験結果は今月13日、コンソーシアムの総会で関係者に報告され、その際、統一フォーマットについての基本的な考え方も発表された。ただし出版社や印刷所ごとの違いにも配慮し、あくまでも「デジタル化に取り組むためのガイドライン」だという。「(業界全体で)早く対応しないと、キンドルやiPadなど海外の流れに遅れてしまうという議論もあるが、日本の雑誌が持つ特性、各社の出版文化を残していくのも大事なこと」と大久保議長は語った。
28日にはiPadが発売される。個々の出版社レベルでも、電子配信への対応が様々に進み始めている。ファッション誌を中心に発行している中堅出版社の中には「いち早く準備に取り組んできたので、iPadの発売が3月、4月でも用意は間に合った」というところもある。
業界としての統一的な取り組みの一方で、出版社ごとの多様な対応が広がっていく可能性もありそうだ。(竹端直樹)
■「parara」参加モニターの調査結果から
・新しいサービスとして今後どうなっていくかに興味がある 95.3%
・記事の内容が信頼できる 75.8%
・雑誌を読む新しいスタイルとして取り入れてもよいと感じた 74.7%
・気軽に雑誌を購入しようという気持ちになる 66.8%
・有料になってもサービスを利用したい 58.0%
・読みたい記事だけを購入できるのがよかった 55.4%
インターネットに関する総論(村井書)と各論(蜷川書)を読み進むうちになんどか「疎外」という語を思いだ………
グーグルというのは奇妙な会社である。世界一の検索サイト、のはずだが、やってる事業がまあいろいろ。地球………