中国製の冷凍ギョーザから殺虫剤の成分が検出された事件で、日本の警察が、これまで「密封状態だった」と説明していた2つの製品の袋から注射器の針で開けられたとみられる小さな穴が見つかりました。中国で逮捕された容疑者の供述を裏付ける事実ですが、混入場所を特定するうえでの重要な手がかりを見落としていたことで、捜査の信頼性が問われそうです。
この事件で日本の警察は、おととし、千葉県の7人が食べて中毒症状を起こした2つの製品の袋について、穴がない密封状態にもかかわらず、殺虫剤の成分が検出されたとして、中国の製造段階での混入を裏付けるものだと説明していました。しかし、中国で容疑者が逮捕されたことを受けて、警察庁の科学警察研究所であらためて調べたところ、2つの袋から1ミリから2ミリの大きさの穴がそれぞれ1か所見つかりました。穴は、袋を開封する際に切り取った切れ端に開いており、千葉県警の科学捜査研究所が、ルーペを使って鑑定していましたが、見逃し、今回、顕微鏡で詳しく見たところ、発見できたということです。中国で逮捕された容疑者は「袋入りのギョーザが入った段ボールの外側から注射器を刺して殺虫剤の成分を混入させた」と供述しており、これを裏付ける事実ですが、混入場所を特定するうえでの重要な手がかりを見落としていたことで、捜査の信頼性が問われそうです。警察庁は、中国側とあらためて協議するため、近く幹部を現地に派遣して捜査に協力することにしています。