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ネットと放送、じわり融合 広告収入頭打ちを機に

2009年4月1日0時50分

 楽天が31日、保有するTBS株を手放す決断をした。楽天の思惑による「ネットと放送の融合」は頓挫したが、今やTBSなど民放各社やNHKもネット配信を強化する。電機メーカーもネット対応型テレビを相次ぎ発売。融合はじわりと動き始めている。

 TBSは3月下旬までの2カ月間、人気の連続ドラマやバラエティー番組を無料でネット配信するサービスを試験的に実施した。テレビ放映時のCMもそのままで、レギュラー番組を無料で配信する珍しいケースだった。利用者数や広告効果を分析し、今後のサービス拡大に生かす。

 TBSは楽天の攻勢に背中を押されるように05年、ネット経由の有料動画配信を始め、昨年9月からは「TBSオンデマンド」として本格化。4月からは、過去のヒットドラマなども最大で100作品ほどを配信して規模を拡大する予定だ。

 テレビ局がネット配信に力を入れる背景には、パソコンや携帯電話の普及によるテレビ視聴時間の減少や、これに伴う広告収入の頭打ちなどがある。TBSは09年3月期決算の業績見通しを3度下方修正し、純利益は30億円にとどまる見通しだ。

 フジテレビも人気の連続ドラマとお笑い番組を昨年11月にネットで有料配信。NHKも昨年12月から「NHKオンデマンド」を始めた。

 一方、ネット企業の動画配信も本格化してきた。グーグルの「ユーチューブ」など、無料の動画投稿サイトが大流行。差別化を図るため、国内ポータルサイト最大手のヤフーは民放キー局と連携する。昨年に続いて今年もプロ野球のパ・リーグの全試合を配信するほか、テレビドラマを放映直後に配信するサービスも試験的に始めた。

 ヤフーにとっては、テレビ局のコンテンツを提供することで閲覧数を増やし、広告収入を増やす起爆剤にしたい考えだ。

 TBSとの提携戦略が行き詰まった楽天も、USENと折半出資だった有料の動画配信サービスのショウタイムを完全子会社化するなど、メディア戦略への布石をうった。

 黒衣だった電機メーカーもネット対応型テレビを販売する。パソコンで番組のネット配信を楽しむ層が増えれば、「主力製品のテレビが『お茶の間の主役』ではなくなる」との危機感もあるからだ。調査会社BCNの調べでは、2月の薄型テレビ販売台数に占めるインターネット対応機種の割合は38.0%で、2年前と比べて25ポイント増えた。

 06年にはパナソニック、ソニー、日立製作所、東芝、シャープの5社が出資してテレビ用ポータルサイト「アクトビラ」を設立。テレビ局や映像配信会社から配信される映画やドラマなどが見られたり、天気予報や交通情報、ネット通販ができたりするサービスを拡大中だ。(澄川卓也、堀内京子、橋田正城)

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