スキー客の減少に歯止めがかからない。県内主要スキー場24カ所の2009年度の利用者は、前の年に比べ4・0%減の533万5千人にとどまった。
ピークだった1992年度に比べ3分の1にまで落ち込んだ。長野経済研究所のまとめである。
高齢化と少子化が進むこれからは、利用者の大きな回復は望めない。県全体を見渡し、集客の期待できるスキー場に重点的に投資する「選択と集中」で臨むほかないだろう。官民の知恵と力を合わせるときだ。
集計した24カ所を合わせると県内入り込みの7割に相当するという。おおまかな傾向が分かる。
前の年に比べて減った理由について研究所は、降雪が遅れたことや年末年始の連休が少なかったことを挙げている。
休日にゲレンデを訪ねても、このごろはリフトで待たされることはあまりない。若い人が減り、スキーヤーが全体に高齢化している印象を受ける。
道具をそろえる費用に加え、交通費、リフト代、食事代…と、何かと出費がかさむ。若者のスキー離れは、就職難など経済情勢の影響もありそうだ。
利用者は減っているのに、県内スキー場の数はピーク時から大きくは変わっていない。赤字を抱え設備更新もままならないスキー場が少なくない。このままでは魅力はますます失われる。
県観光部は、リフト会社や市町村の担当者を対象にした「スキー場経営講座」を1月に初めて開くなど、対策を強めている。これからは供給過剰を解消するために、スキー場閉鎖への支援も必要になってくるだろう。
長野県内のスキー場は優れた自然環境、五輪開催地の知名度など、他県にはない強みをもっている。潜在力のあるスキー場に集中的に力を注ぐことで、活路を開くことができるはずだ。
今のスキーヤーはかつてと違い、朝から晩まで滑りまくる人は多くない。プール、文化施設といったスキー以外の観光資源との組み合わせが大事になる。
ゲレンデの雄大なスケールや雪質にひかれて、韓国、中国やオーストラリアからのスキーヤーが増えている。外国からのお客さんを引きつけるためにも、温泉、食事など足元の観光資源にさらに磨きを掛けたい。
小規模のスキー場が廃業するケースがここ数年、出始めている。ゲレンデの原状回復や後利用への支援も、県の仕事の一つになる。