牛や豚など蹄(ひづめ)のある動物の伝染病である口蹄疫(こうていえき)が宮崎県で急速に広がっている。疑いのある例を含めて80以上の農場で見つかり、処分が必要な牛や豚は8万頭を超えた。口蹄疫の拡大に危機感を持つべきだ。
発生地では牛や豚を他の場所に動かすのを禁止し、食肉処理場や家畜市場を閉鎖した。感染した家畜の肉や乳を口にしても、人体への影響はない。だが、感染が他の地域にも広がれば、日本の畜産業が深刻な打撃を受ける恐れがある。
今回の流行では、最初の疑い例が4月9日に農家から宮崎県に報告されたのに、県が確認するまで10日以上かかった。その間に感染が広がった可能性が大きく、県の対応が後手に回ったことは否めない。
2001年に英国で流行し、400万頭もの処分に至った例を教訓にすべきだ。国や自治体は状況を深刻に受け止め、感染がこれ以上広がらないよう全力をあげる必要がある。
国内でも00年に北海道と宮崎県で流行し、740頭が処分された。今回のウイルスは前回より感染力が強いとされ、人や車に付着して運ばれる可能性もある。発生地から遠い地域でも油断できない。
県外の畜産農家などでも、家畜がよだれを異常に流すなど疑わしい症状がでたら、農家から直ちに自治体への報告を求めるなど、監視体制を強める必要がある。
発生地での封じ込めは、さらに強めなければならない。家畜の移動の制限のほか、農家周辺に出入りする人の靴底や着衣、車のタイヤの消毒などを徹底すべきだ。道路が通行止めになるなど市民生活に支障も出ようが、感染拡大を防ぐには市民の協力が欠かせない。
韓国や中国でも今年に入り、同種のウイルスが原因とみられる口蹄疫が報告されていた。日本に感染が広がる可能性は予見できたはずで、農林水産省の認識の甘さも問われる。
赤松広隆農相は、家畜を処分した農家への補償金について全額を国が負担する意向を表明した。00年の流行時の農家への補償額は牛740頭に対し3億3千万円だった。感染拡大を早期に食い止めないと、国の財政負担も膨らむことになる。
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