【サンタアナ(米カリフォルニア州)=堀内隆】トヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)をめぐり、トヨタ車の所有者らが全米各地で同社を訴えた訴訟が米カリフォルニア州で一括審理されることになり、同州サンタアナの連邦地裁で13日、実質的な審理に向けた手続きが始まった。
フロアマットやアクセルペダルの問題でトヨタが米国でリコールを始めた昨秋以降、急加速による事故の死傷者・遺族や、「リコールで下取り価値が落ちた」など経済上の損失を訴えるユーザーからの訴訟が全米で相次いだ。AP通信によると、関連の訴訟は連邦裁判所に228件、各州の裁判所に99件起こされており、その多くがリコール対象車を所有する全員が参加できる集団訴訟を求めている。
一括審理の対象は連邦裁判所に起こされた訴訟。サンタアナが選ばれたのは米国トヨタ販売の本社が車で約1時間の距離にあり、証人を呼んだり、証拠書類の提出を受けたりする際に便利なためだ。
同地裁で今後の審理を担当するジェームズ・セルナ裁判官は、死傷事故をめぐる訴訟と経済損失についての訴訟それぞれについて、共通する争点や証拠の整理にあたる委員会を作る方針を決め、この日はそれぞれの委員会を主導する原告側の主任弁護士を選ぶ手続きが進められた。
今後の手続きで集団訴訟が認められた場合、原告は延べ約750万台にのぼるリコール対象車種の所有者全員に広がる可能性がある。米メディアによると、トヨタ側は集団訴訟を認めないよう求めている。また、トヨタ側は経済損失をめぐる訴訟に対して「具体的な損害がない」などの理由から争う内容の答弁書を提出している。