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【社会】

平塚競輪撤退訴訟 鎌倉市に1億円賠償命令

2010年5月14日 夕刊

 神奈川県平塚市が、平塚競輪場での競輪事業から撤退した鎌倉市に補償金二億円の支払いを求めた訴訟の判決が十四日、横浜地裁であり、中山顕裕裁判長は「予告期間のない撤退には損害賠償の義務がある」として、約一億五百万円を支払うよう鎌倉市に命じた。

 判決によると、鎌倉市は一九五一年度から年二回、競輪場を賃借してレースを開催してきたが、赤字を理由に、二〇〇〇年度を最後に事業撤退。鎌倉市側は「賃借は単年度契約で、継続義務はなかった」と主張したが、中山裁判長は「両市間には継続的な契約関係が成立していた」と認定した。

 一方で平塚市側は、競輪場の設備投資費やリース代の残額など、補償金が全額で約七億二千万円に上ると主張。内金として二億円の支払いを求めていたが、中山裁判長は「予告期間を置けば撤退は許されるので、全額を求める主張には理由がない」と、補償金を大幅に減額した。

 判決を受け、平塚市の大蔵律子市長は「主張が認められなかった部分は残念」とコメント。鎌倉市の松尾崇市長は「判決文が届き次第、具体的な対応を検討する」としている。

 全国で赤字による公営競輪事業の撤退が相次ぐ中、運営自治体が開催自治体を訴えた初めてのケース。

 

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