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タクシン派少将撃たれる-タイの紛争エスカレート

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 【バンコク】タクシン元首相を支持するグループのリーダーであるはみ出し軍人、カティヤ陸軍少将(停職中)が13日夜、頭部を撃たれた。タイの治安部隊が同グループが何週間も前から占拠しているバンコク市内繁華街の封鎖を始める中、散発的な衝突が起きている。

 タイ政府は既にバンコクなどに出していた非常事態宣言を17県に拡大した。

Reuters

銃撃され、救急車に運ばれるカティヤ陸軍少将(13日、バンコク)

 カティヤ少将がだれに撃たれたのかは明らかではない。目撃者によると、同少将は午後7時半(日本時間同9時)ごろ、デモ隊キャンプの外の大通りに近いところで数人の外国人記者と話していた。この場所は治安部隊と警察隊から丸見えだったという。

 このとき現場からは一連の爆発音が聞こえ、同少将が撃たれたと見られる時間に少なくとも1発の射撃音が聞こえたという。爆発音や射撃音のもとは明らかではない。タイのテレビ放送は、爆発で少なくとも20人がけがをしたと伝えた。

 同少将は病院に運ばれたが、政府のエラワン医療危機センターによると、13日夜の時点で意識はない。

 軍隊と政府当局者のコメントは得られていない。少なくとも当局が事件について公にするまでは発砲事件の詳細は分からないと見られる。

 13日夜には、デモ隊の野営地近くなど、バンコクの他の場所でも衝突が起きた。AP通信によると、野営地近くでは、数百人のデモ隊が治安部隊に石や爆竹を投げ、治安部隊側はこれに発砲した。

 少なくともデモ隊の4人がけがをしたが、けがの程度は不明。夜遅くなっても時々爆発音が聞こえたが、何の爆発かなどは分からない。

 今回の暴力は2カ月にわたるタイの政治的危機のエスカレートぶりを示すものだ。タクシン元首相を支持する赤シャツ派の数千人が政府打倒を目指してバンコクの一部を占拠している。赤シャツ派は、政府は農村部や都市部の貧困層の要求に応じていないと批判している。

 4月10日の攻勢が、デモ隊や兵士25人の死亡を招いたことから、政府は第三者が犠牲になることなどを恐れてデモ隊に対する威嚇は弱まった。この用心深い姿勢は、より強い行動を求めるバンコク市民の厳しい批判を浴びることになった。

 政府と軍部は、カティヤ少将(58)は「テロリスト」であり、過去数週間の赤シャツ派の暴力のほとんどを組織した人物だとしていた。

 13日夜には、260ヘクタールのデモ隊占拠地域を封鎖する計画の一環として少なくとも100人の兵士が占拠地域周辺に移動した。一部の拠点地域では電力供給が絶たれた。ただ、目撃者によると、デモ隊は一部で発電装置を使っているという。

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