バンコク中心部のタクシン元首相派占拠地域で14日早朝、前夜に撃たれた強硬派リーダー、カティヤ陸軍少将のことを報じる新聞を見る元首相派支持者ら=藤谷健撮影
【バンコク=山本大輔】タイ治安当局が13日夜にタクシン元首相派の占拠地域を封鎖したバンコク中心部では、14日未明にかけて断続的に銃撃や爆弾の発射が続き、病院によると、1人が死亡、11人が負傷した。治安部隊は圧力を強めて元首相派の自主退去を迫る構えで、緊張状態が続いている。
警察などによると、13日午後7時(日本時間午後9時)ごろ、元首相派の占拠地域の南側の入り口にあたるルンピニ公園周辺で銃撃や爆発が起き、元首相派のなかでも強硬派とされるカティヤ陸軍少将(停職中)が狙撃された。
これを受けて集まってきた元首相派の一部が治安部隊と衝突し、ゴム弾などを受けて1人が死亡した。カティヤ氏は手術を受けたが、意識不明のままという。14日未明には治安部隊が待機する同公園前のホテルの駐車場に爆発物が撃ち込まれた。
状況が緊迫するなか、元首相派の穏健派指導者で政府との交渉を担ってきたウィーラ氏が占拠地域を離れて自宅に戻ったとの情報が流れるなど、元首相派の分裂が指摘されている。同派は、強硬派のカティヤ氏が撃たれたこともあり、14日夕、対応を再び協議する。別の幹部は「様々な意見がある」としており、占拠継続か退去かをめぐって指導部内が揺れている模様だ。
治安部隊による封鎖に伴って、周辺の公共交通機関は運行を停止。商業施設や病院なども閉まっている。封鎖地域に近い米国、英国の大使館も休館した。また政府は、非常事態宣言の発令地域をバンコクとその周辺だけでなく、北部や東北部に拡大した。