[3706] 目黒寄生虫館に、人間の本音と建前をみる、他 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/16(Wed) 22:50:06

　山田宏哉です。

　今日（2004.6.16）、目黒寄生虫館と杉野学園衣裳博物館へ行ってきました。どちらも、JR目黒駅の西口から歩いていける距離にあります。

　目黒寄生虫館に、人間の本音と建前をみる

　目黒寄生虫館の、入り口ドアを開けると、医薬品の臭いが立ち込めていた。奇怪な形をした生物（の屍骸）が、ホルマリン漬けにされて棚や壁に陳列されている。理科の準備室もしくは、実験室の一角をそのまま展示している、といった感じだ。

　とにかく、人体に寄生している回虫やサナダムシ（人体から検出した8.8メートルにまで成長したものが展示してある。）を始めとする気色悪い実物資料が並んでいる。非常に有益なものだが、悪趣味すれすれでもある。

　目黒寄生虫館は、知名度が抜群だ。世界で唯一の寄生虫の博物館である。しかも、決して内容が評判に負けていないほどに、衝撃的だ。あまりに気色悪くて、目を背けたくなるものも多い。蟲（むし）が蠢（うごめ）いている類の光景が、どうしても生理的に苦手な人は行かない方がいいだろう。

　それにしても、なぜ、このようなグロテスクな死骸を集めた（だけと言ってもよい）博物館が、圧倒的な支持を集めるのか。建物自体、注意していなければ、気が付かずに通り過ぎてしまうような普通のビルだ。また、寄生虫にもともとよいイメージはない。特定の人間を寄生虫に例えれば、絶対に悪口になる。

　この寄生虫館に人気がある理由は、おそらくこうだ。

　私たちは、常識人と見られたいがために、普通は「気色悪いものは苦手だ」と言ったりする。少なくとも、消費者アンケートに「寄生虫を見たい」などとは書かない。そんなことを書いたら、変人扱いされるに決まっている。しかし、自分が安全な場所から観察できる、という条件がつけば、多くの人は、気色悪いもの、寒気がするようなものをで見たがっている。「怖いもの見たさ」である。私にも、そういう部分はある。目黒寄生虫館は、その潜在需要をうまく取り込んだ。

　さらに言うと、グロテスクな生物には、おそらく女性の方が強い。私の他に来ていたのも、若い２人組の女性だ。「回虫にオスとメスがいるよ、きっつぅ。」と言いながら、嬉しそうに写真を撮っていた。

　寄生虫館は、あまりに有名で、すでに多くの人がについて書いているので、半分、行った気になっていた。しかし、それは大きな間違いだった。目黒寄生虫館は、寄生虫そのものより、それを見る人間の本音と建前の乖離（かいり）を目の当たりにできる場所なのだ。（了）

　ナポレオン皇妃のエンパイア・スタイルをみる/杉野学園衣裳博物館

　杉野学園衣裳博物館では、大雑把な服装の歴史を概観できた。私のような、初心者に適している。女性ものの展示が多いが、男性ものも少数ながら、ある。

　歴史ものの映画の中に、そのまま出てきそうな衣装が飾られていた。歴史を読む際に、登場人物の服装のイメージが湧くと、歴史は身近なものとなる。なお、類似の博物館には、やや専門的な西新宿の文化学園服飾博物館がある。デザイナー等を目指しているであろう、若い女性が、スケッチブックを片手に、熱心に見学していた。

　近代の女性向きファッションは、その優雅さで、フランスの独壇場だ。その起源は、ナポレオンの皇妃、ジョセフィーヌが好んだ服装を、エンパイア・スタイルと呼んだところから始まる。近代フランスの衣装は、とにかく、装飾品を含めて、華やかだ。この博物館では、イギリスやドイツの衣装の展示は、皆無となっている。この極端さが、よい。

　日本の鹿鳴館時代の女性ドレスは、バックルと呼ばれる。ウェストを締めつけて、後ろで束ねるようなスタイルだ。バックルは、19世紀末に、フランスで流行っていた。日本では、それを真似したわけだ。昭憲皇太后が身に付けられた（御）通常礼服も、フランス製だ。

　日本の衣装としては、武官束帯（ぶかんそくたい）や狩衣が興味深かった。武官束帯（ぶかんそくたい）は、天皇や宮中の護衛の正装である。一見、貴族のような服装だが、太刀を差している。狩衣は、文字通り、貴族が狩の際に着用したものだ。ただし、特に衣装に関しては、言葉で説明するより、実物を見てもらった方がずっと早いし役に立つ。

　フランスは、王侯貴族の服飾だけでなく、庶民の服装まで展示する価値がある。14、5世紀の庶民服として、防災頭巾を被ったようなものとか、ピエロのようなカラフルなものまで展示してあった。

　建物自体は、老朽化しかけているが、一見の価値はあった。（了）

　山田宏哉記

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[3705] 藤井厳喜氏について 投稿者：坂崎　進 投稿日：2004/06/16(Wed) 15:28:58

初めて投稿させて頂きます。縁有って今年ぼやきの会員にさせて頂いた者です、今までこのサイトを読むだけでしたが、今後は私の出来る範囲内で参加させて頂きたいと思っております。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　「今日のぼやき」「５６７」でＳＮＳＩの須藤よしなおさんが、藤井厳喜氏の『新円切替』（光文社刊）について、その内容のかなりの部分が、副島隆彦著　『預金封鎖』(祥伝社　２００３年刊)からの剽窃で盗作本であると指摘されております。

　この藤井厳喜氏とは何者であるか？、気になりましたので、一寸調べて見ましたら、以前は藤井昇氏だったことが判り、なーる程と納得した次第です。
藤井昇氏については、藤原肇先生のコメントを読んで頂ければ、知らない方でも同氏について理解できると思い
２つ程紹介したいと思います。

＜引用開始�　�藤原肇　ＨＰ　宇宙巡礼より　http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/index.html＞

6 名前： 藤原肇 投稿日： 2004/03/27(土) 16:11

　坂口(坂口三郎)さんの「戦争廃絶の理論」は非常な名著であり、「アメリカから日本の本を読む」〔文芸春秋・絶版〕という書評集の中に、「ご破算の時代」について書いたときに紹介してあり、今こそ日本がご破算を迎えている状況下で、「戦争廃絶の理論」を読み直す時だ思いました。
そこで木村(木村愛二)さんが「真相の深層」を創刊する覚悟を決め、3000円の前払いで年間購読者を募るというので、それなら申し込んだ人に贈呈してくださいと、木村さんにカンパのつもりで提供しました。

　もう十数年以上も昔の話になるが、田原総一郎が電通と組んで青の会とかいうものを作り、それに参加すれば講演のチャンスを与えられ、こうやって金の欲しい若い言論人を引き込み、体制の御用評論家にするという話を藤井昇がして、それをどの本だったかに書いた記憶があります。

　それからだいぶして藤井君は貧すればドンするとでもいうか、結局は権力の走狗の仲間に入ってしまい、慎太郎を首相にしようとかいう本を出したり、テロリストを賛美する演説をして失笑されたりで、彼のもとに集まっていた弟子たち(藤井厳喜氏が主宰しているケンブリッジ・フォアキャスト・グループに集っていた人々)にも見放されたと噂に聞いて、「竜になれなかった蛇」という藤井先生(藤井尚治)の言葉の含蓄を思い出した次第です。

＜引用終了�　�

＜引用開始�◆�藤原肇　ＨＰ　宇宙巡礼より　http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/index.html＞

　２５年くらい前に間だの古本屋の特価本として、坂口さんが健友館かどこかで出した本を見つけて読み、素晴らしい内容だったのでまとめて買い、留学生達に送ってあげた記憶があります。その中の一人にハーバードに留学していた藤井昇君がいて、彼が日本に帰った時のアドバイスとして行ったのは、２年以内に坂口先生の過去の体験を全部吸い取り、若者の知識と老人の体験を総合して独自のものを作り、それを武器にしたらどうかと言ったように記憶します。凄い人は良いものと同時に悪い毒を持っており、その毒にやられないことが師を乗り越えるノウハウで、それを中国の古人は「出藍の誉れ」と名づけたと思います。また、藤井尚治先生と対話して『間脳幻想』の土台を作ったときに、彼がニイチェの言葉を引用して「竜が蛇にかまれて死んだことはない」と言ったのを思い、まさか藤井君が坂口先生の極端な民族主義にいかれてしまい、単細胞の慎太郎を総理大臣になどというような本を書いたり、行動するようになるとは夢にも思わなかったので、彼を狂わせた責任を感じて胸が痛くなるばかりです。

　もし、私が坂口さんの本を彼に贈ることが無かったら、藤井君は世界的な視野を持つ国際政治学者として、亡国日本を救う上でより大きな貢献をしただろうにと思うと、人生は己の判断で道を切り開くものだとは言え、現在の私が感じるような後悔をしなくて済んだかも知れません。

＜引用終了�◆�

藤井厳喜氏のプロフィールについて

国際問題評論家　藤井　厳喜　氏　(藤井　昇(のぼる)を改め、厳喜(げんき)へ改名)
1952年（昭和27年)8月5日生まれ 。
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。アメリカ留学。1977〜1985年クレアモント大学院政治学部を経て、 ハーバード大学政治学部大学院助手、 同大学国際問題研究所研究員。1982年〜は近未来予測の「ケンブリッジ・フォーキャスト・レポート」を発行。元明治大学政治経済学部・立正大学経済学部非常勤講師、元千葉敬愛短期大学専任講師、現拓植大学客員教授・千葉商科大学非常勤講師。
現在は国際問題評論家として活躍。株式会社「ケンブリッジ･フォーキャスト･グループ・オブ・ジャパン」代表取締役、学校法人　菅原学園（江戸川区双葉幼稚園）理事、北日本新聞（十和田市）論説委員長、日米保守会議理事・事務局長。
URL http://www.cambridge.co.jp/fujiigenki.htm

藤井厳喜氏の『新円切替』については、私も未読の為批判できる立場にありませんが、ここの会員の方で、この情報を役立てていただければと思いメールさせて頂きました。(了)

[3704] シルクロードの最果てに、文明はなかった 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/15(Tue) 05:03:13

　昨日（2004.6.14）、池袋の古代オリエント博物館へ行ってきた。4年間、日常的に池袋駅で下車しながら、1ヶ月ほど前まで、その存在を知らなかったので、やはりマイナーな博物館なのだろう。

　もともと、オリエント（オリエンス）とは、古代ローマ人が、「日の昇る場所（東方）」の意味で使った地域のことだ。インド（インダス川）からエジプト・地中海あたりまでを指している。世界帝国アッシリア（前900〜前612年）から、ササン朝ペルシア（紀元226〜651年）へと、往年の帝国が興亡を繰り返した。

　研究志向とあって、さすがに、静謐な空間に、歯ごたえのある展示品と解説文が並ぶ。池袋の土地柄とは、特に関係ないだろう。

　コインの作り方まで説明してあった。

　鉄槌を振り落とす。上下から型に挟まれて、１枚の金属片が拉（ひしゃ）ぐ。打ち下ろしたハンマーをどかすと、王侯貴族の肖像が刻まれて姿を現わす。アレキサンダー大王から、無名のローマ皇帝まで。こうして、古代オリエントの硬貨が完成した。完全な円形と呼ぶには、大雑把すぎた。全く同じ形のものは２枚とない。

　しかし、その精緻な刻印は、古代中国の硬貨の技術水準を上回る。中国の硬貨は、秦の始皇帝がモデルを作って以来、二千年間、全く変化していない。中央に四角い穴があり、上下左右に漢字が一文字ずつ刻印されている。絵は一切ない。そして、時代が変わっても、変わるのは、漢字の部分だけだ。肖像がメインの西洋型のコインとは対照的である。

　定番のロゼッタ･ストーンのレプリカも置いてあった。1799年8月、ナポレオンのエジプト遠征中に発見されたエピソードは常に特筆される。裏を返せば、ナポレオンのエジプト遠征は、軍事戦略の観点からは、失敗だった。

　ただし、これらは、他の博物館でもよく見られるので、本当に見るべきものではない。

　この博物館で本当に見るべきは、「（残念ながら）日本には文明が存在しなかった」という事実だ。同時期の日本の出土品を思い起こしながら、メソポタミア辺りの出土品を見学すると、本当に嘆きたくなる。

　何しろ、出土品の完成度が全く話にならないくらい違う。素材が全く違う。技術レベルが全く違う。作品の多種多様性が全く違う。大人の工芸と子供の玩具だ。実際にオリエントと古代日本の同時期の出土品を見比べれば、誰がどう見ても、優劣が一目瞭然なのだ。ミノス文明（前2000〜前1500年頃）然り。ミュケナイ文明（前1500〜前1200年頃）然り。

　アッシリアが鉄器による征服を開始していた頃、日本列島の人々は野山を駆けずり回っていた。何しろ、その頃の日本のものとしては、単純な作りの縄文土器とかヤジリのような石器しか出土品がない。だから、そう判断するしかない。アッシリアは、鉄器に見合っただけの、高度な技術力を必要とする美術品を生み出していた。

　いくら日本文化を愛する人でも、この現代に、縄文土器に食事を盛り付けて食べることは、さすがにできないだろう。機能的に優れていなかったから、淘汰されたのだろう。単純な土器や石器を作るくらいでは、文明とは呼べない。シルクロードの最果てに、文明はなかった。

　その点、1500年以上も前のペルシアの銀器は、手入れをすれば、実際に使用しても違和感がない。アッシリアのアミュレット（護符）なども、現代人が愛好する美術品として、違和感がない。文明の産物は継承されて、後世へと連なっているのだ。（了）

山田宏哉記

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[3702] 豊島氏と照姫の石神井城址を歩く 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/14(Mon) 00:32:40

　今日（2004.6.13）、豊島氏の石神井城跡地へ行ってきた。現在では、東京・練馬区の石神井公園（しゃくじいこうえん）となっている。

　豊島（としま）氏は、平安時代から室町時代にかけて、武蔵野（台東区、文京区、北区、荒川区、板橋区、足立区、練馬区）で勢力を誇った。源頼家・義家の奥州征伐に参加することで名を挙げ、源頼朝の石橋山での挙兵（1180年）に忠勤し、重用されるようになる。城の跡地からは、鉄製小刀を始め、中国製の陶器や厚美焼きなども出土していて、財力を誇っていたことが推定される。

　今では、養生と保護のために城跡には、通常、立ち入り禁止となっている。フェンス越しに見える、城の高台には、森林が生い茂っていた。

　石神井公園には、水草の生えた三宝寺池（さんぽうじいけ）が広がる。城址（じょうし＝城跡）の石碑もその畔に横たわっている。画家が、池の絵を描いていた。練馬区立美術館にも、三宝寺池を題材とした油絵が飾られていた。　井の頭恩賜公園よりも、石神井公園の方が知名度は低いが、実質はずっとよい。

　三宝寺池は、1935年に国の天然記念物に指定された。江戸時代以前から、滅多なことでは水がなくならないとされている。ただし、最近では、水量が減ってきたため、ひそかに人工的に地下水で水量を補給している。天然記念物を保護するのは大変なことなのだ。

　付近の区立石神井図書館の地階にある郷土資料室は、物置みたいである。これまで私が訪れた郷土資料館の中で、最も設備的に恵まれていない。青の模造紙に白マジックで手書きしてある。しかし、よく言えば「手作りの資料館」である。特に、石神井城ゆかりの展示は、興味をそそった。

　その石神井城が落城するのは1477年のことだ。城主、豊島泰経（としまやすつね）は、太田道灌（おおたどうかん　1432〜86　江戸城をつくった名将）に続けざまに敗れ、その後、行方不明になる。江古田・沼袋の戦いと石神井の戦いだ。もとはと言えば、泰経が、謀反人である長尾景春に味方したことが、戦の原因だった。

　石神井城は、大田道灌の手中に治まるが、その後、後北条氏の手へと移る。塗り絵のような日本史の教科書の勢力地図は、あまりに単純化されすぎている。実際には、数多くの勢力が、武蔵野でごちゃごちゃと蠢（うごめ）いていたのだ。

　落城・没落した泰経の後を追って、三宝寺池に身を投げた姫君がいる。二女の照姫（てるひめ）である。今でも、石神井伝統の祭りには、悲劇の照姫が登場するようだ。

　縁者が、照姫を偲んだ姫塚が、石神井公園の一角に残っている。巨大な樹木に寄り添うように、照姫を祭る木製の祠（ほこら）があった。誰かが脇に添えた花は、ごく新しかった。（了）

山田宏哉記

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[3701] 品川で、地味な物流の仕組みにスポットライトをあてる 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/13(Sun) 08:08:01

　昨日（2004.6.12）、品川の物流博物館へ行ってきた。

　ずいぶんと地味でマイナーな博物館だ。物流そのものが、裏方作業なのだが、何しろ近所の交番の警官でさえ、その存在を知らない。私までもが、一時は、もうつぶれてしまったのかと思った。

　オシャレで現代的な高層ビルが立ち並ぶ品川には、あまり似つかない。今、これを読んでいる方の中にも、物流博物館を知っている人、ましてや実際に行ったことがある人は、ほぼ皆無だろう。

（しかし、どんなジャンルでもそうだが、その分野のメジャーなものは、勉強していて当たり前。あまり差はつかない。むしろ、他人に差をつけられないことに注意しなければならない。マイナーなものでこそ、圧倒的な差がつけることができる。）

　物流は、戦争で言う、ロジスティクス（兵站）である。物流もロジスティクスも、スポットライトの影に隠れてしまって目立たない。だが、欠かすことはできない。第二次大戦での日本の敗因のひとつにも、ロジスティクスの意識の低さが挙げられる。実際に、物流では、戦場でのロジスティクスの考え方が研究され、実践されているようだ。

　繰り返すが、物流は、重要度に比べて、気の毒なくらい地味で目立たない。私は、以前、葛西臨海公園の付近でアルバイトをしていた。ただし、華やかな海や水族館や遊園地で働いていたわけではない。葛西臨海公園駅を降りて、海とは反対側にある、巨大な物流倉庫で働いていた。

　葛西臨海公園に行ったことがある人は多い。だが大抵、京葉線を挟んで、その反対側に、巨大な倉庫群が立ち並んでいることは、覚えていないだろう。物流は、うまく行っている時は、誰も意識しない。失くして初めて、重要なものだったと気付く。それが、物流の社会的な位置づけを、端的に示している。だから、物流は普段、あまり意識されてはならないのだ。

　葛西の倉庫での仕事仲間に、勤務時間中、ずっと大型のダンボールの中に隠れて熟睡している奴がいた。給料泥棒である。実は、私も、自分の周り四方にダンボールを積み上げて、その中で勝手に休憩を取っていたことがある。やはり物流は、意識されないことが重要なのだ。

　この倉庫には、人間の身長よりはるかに高く、菓子の段ボールが積み上げられている。これが4階分ある。確かに、大型の物流倉庫では、働いている人間が、１人くらい消えても、誰も気が付かない。

　メーカーが生産したポテトチップスなどの菓子は、トラックで運ばれてきて、一旦、物流倉庫に預け入れられる。まず、大型トラックから、大量のダンボールが下ろされると、作業員は、台車（だいしゃ）にダンボールを乗せて、所定の場所へ運ぶ。これを入庫（にゅうこ）と呼ぶ。そして、東京各地のコンビ二などからの注文に応じて、ここからトラックで出荷が行われる。これを出庫（しゅっこ）と呼ぶ。

　私は、物流倉庫の仕事が、嫌いではなかった。１日中、延々とダンボールを積み上げていると、この修行というか苦行が、そのうち心地よくなってくる。作業終了の時刻になったと言われても、なかなかやめられなくなる。脳内麻薬（エンドルフィン）でも出ているのだろう。かつて、誰にも知られず、眼に灼（や）きつけておいた光景を、ようやくこうして書く機会を得た。

　物流博物館の常設展では、動く港町のミニチュアセットが見事である。面白かったのは、２階で、実際に江戸時代の運送用具を体験できたことだ。

　ところで、情けないことに、私は、60キロの米俵（こめだわら）を、どうしても肩に担ぐことができなかった。（私の体重は58キロ。また、この米俵だけは「無理して持ち上げないことを、強く勧めます」と注意書きしてある。）　持ち上がることには何とか持ち上がる。ところが、でかくて重い。何度やっても、肩へ持っていくことが出来ない。

　私は、スクワットなら、100キロ以上のバーベルを担ぐことができた。単純に筋力だけの問題ではないように思う。とにかく、こんな代物を肩に担いだ、昔の人間の身体能力というのは、驚異的である。いや、むしろ今の人間の身体能力の低さを問題にするべきなのだろう。（了）

　山田宏哉記

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[3699] 消えゆく伝統職人の腕をみに、工都・板橋へいく 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/11(Fri) 23:25:47

　昨日（2004.6.10）、板橋区郷土資料館へ出かけた。

　区立赤塚溜池公園の一角に板橋区美術館とともにある。さらに周りを、都立赤塚公園が囲んでいる。溜池では、真昼間から、数十人の老人が、池を取り囲んで釣りをしていた。しかし、誰も釣れた気配がない。本当に、魚がいるのかどうかすらわからない。とんでもない時間の使い方である。

　板橋には、かつて板橋火薬製造所などがあり、工都として裏から日本の軍事産業を支えた。火薬製造所は、幕臣の沢太郎左衛門（1834〜1898　海軍軍人であり、砲術・火薬などに精通した）が、ベルギーで買いこんできた機械をもとに、始まったとされる。

　大砲は、見た目よりはるかに重い。口径が20センチで全長１メートル強くらいの大きさでも、１０００キロを超えたりする。そう、文字通り、「砲丸投げ」の玉と同じだと思えばいい。資料館の入り口付近にも、モスチール砲、カルロンナーデなど、日本の戦史を飾った大砲が展示してあった。

　ただし、板橋区の北部の方は、東京大空襲でも、ほとんど被害を受けていない。要するに、「田舎」だったからだ。今でも、地方から、東京見学に来た際、華やかな千代田区や港区を差し置いて、わざわざ地味な板橋区や練馬区を訪れる物好きな人は少ないだろう。（ただし、地方から上京してきた場合、板橋や練馬に住むケースは多い。）

　新藤桜玄関の門も、資料館の脇に立っている。板橋は、旧中山道の第一の宿場だった。ところが、1883年に、鉄道が開通すると、板橋は廃れ始めてしまう。そんな時、起死回生の策として出されたのが、宿場の実態を遊郭へと変えることだった。その中で、新藤桜は、板橋で最大規模のものだった。

　とにかく、ここの資料館は、充実している。１階は常設展、２階は企画展となっていた。常設展の方も、他の郷土資料館に比べて、資料が豊富だ。戦時中の「慰問袋」（家族などが戦地の兵士に食料や手紙を詰めて送った）などは、私は、ここで初めて見た。

　しかし、今回のメインは、２階に展示している「職人の腕」である。

　特に、桜井廣晴さんの象牙細工が圧巻である。展示解説によると、象牙細工は、江戸時代、武士や町人が、櫛（くし）や簪（かんざし）として使用していた。日本の象牙細工は、国際的な評価が高く、アメリカやヨーロッパにも輸出されていた。

　象牙は、アフリカ象のもので、３メートル、重さにして１００キロほどある。密猟ハンターたちの狙いも象牙だ。そして、普通、象牙を取るためだけに、象を殺すというのは、残酷であり、非難に値することだとされる。

　しかし、精緻な伝統職人芸である象牙細工を目の当たりにすると、象牙細工のために、象に死んでもらうということが、致し方ないことのように思えてくる。ただし、アフリカ象が、象牙細工のために死ねて本望だ、と思うことはない。

　象に関して、ジョージ･オーウェルの傑作のひとつに、『象を撃つ』という短編のエッセイがある。オーウェルは、撃ちたくもないのに、街で暴れていた象を撃ち殺してしまう。インドの現地人たちにせきたてられて。ただ、それだけの話なのだが、その経験自体が貴重である。

　他にも、鼈甲（べっこう）、木彫、甲冑（かっちゅう）などを作る板橋の職人の作品が、掲示されている。これらも、写真で見るだけでは、不十分である。実物からは、その道一筋の「職人の気迫」が伝わってくる。　コモドア（提督）・ペリーをも驚愕させた、伝統的な日本の職人の腕だ。

　しかし、そのどれもこれもが、今は、絶滅寸前にあるものばかりだ。しかも、私は情けないことに、ここに来るまで、日本に象牙の伝統工芸が存在していたことすら知らなかった。

　1989年のワシントン会議で、象牙の商取引は禁止された。その後、紆余曲折を経て、現在では、原材料の象牙を入手することすらできない。こうして、日本の職人と伝統工芸の灯が、またひとつ消えるのである。（了）

山田宏哉記

（以下、おまけ）

　私が書いた、粗末なテロ対策警官を告発する投書（朝日新聞・声）を、ここに転載しておきます。

◇何を警備しているのか知らなかった警官

　先日、都内の大倉集古館に行ったときのことだ。集古館の周りを警備している警官に呼び止められた。

「何しに来た？」
「集古館にきました」

　要領を得ない。あろうことか、その警官は、自分が警備している施設がホテル・オークラの一画にある、美術館だということを知らなかったのだ。何度も、「美術館に来た」と言っているのに、「この建物の外観を見に来たのか。」などと他人を馬鹿にしたようなことを言う。10分ほど、押し問答が続いた。不毛とは、まさにこのことだ。

　もっとも、警官の言い分はいつでも決まっている。「イラク戦争とテロ対策」だ。

　しかし、である。自分が警備している場所が何だかも知らずに、いたずらにテロ対策と称して国民に不審尋問を行っている粗末な警官がいるということに、私は強い怒りを覚える。路上で警官に一方的に不審尋問されたり、手荷物検査をされることからして、すでに決して愉快なことではない。

　どうして、単純に美術館に客として美術品を鑑賞に行ったら、そこが美術館だとすら知らずに警備している不勉強な警官に、尋問や手荷物検査をされなければならないのか。テロ対策以前の問題である。これが、どんなに一般国民を不快にさせる行為か、その警官は、おそらく気が付かないままだろう。大倉集古館からみても、こんな警官の警備は、迷惑以外の何者でもないだろう。

　結局、怒りが収まらず、美術品の鑑賞どころではなかった。（了）

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[3698] どうすれば無名の若手が書いた文章でも、真剣に読んでもらうことができるか 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/11(Fri) 00:35:55

　どうすれば無名の若手が書いた文章でも、真剣に読んでもらうことができるか。私は、ずっとこのテーマに立ち向かっています。実に切実な問題です。

　３年ほどかかって、ようやく「無名の若手は、経験を踏まえた文章で勝負するしかない」という、ひとつの結論を出しました。思想や言論そのものでは、勝負できない。無名の人間が書いた天下国家論など、よほど突拍子のないものでない限り、誰も読みたくないでしょう。

　活字にならない原稿を1000枚くらい書いて、ようやくこのことに気が付きました。そして、私は、自分の体験を通して得た知識（とそれを補強する書物などから得た知識）しか語らない、と決めました。また、アイディアや思想は、模倣（剽窃）されるが、経験は絶対に盗まれない。これも重要です。

　ところで、「私が書いたものを、誰か真剣に読んでくれているのだろうか」という疑問は、もっともなことです。実際、誰もまともに読んでいない、ということがよくあります。従って、反応が何もないと、不安になってくるのが普通です。

　私の場合、主として、読者が読むスピードからも、自分の書いたものへの評価として判断します。原稿用紙１枚（400字）あたり30〜60秒で読んでもらえれば、「いいものが書けた」と判断しています。実際に、私は自分のサイトで、読者が読むスピードを測定しています。有料のアクセス解析を使えば、測定できます。

　読者は正直です。つまらない文章を書くと、数秒、パッと見ただけで終わりです。でも、わざわざ「この文章は、つまらなかった」と教えてくれる人は、いません。自分で厳しく判断するしかありません。その際、参考になるのが、実際に読者が読むスピードなのです。（もちろん、実際に読者の方からいただいた意見を大切にするのは、大前提です。）

　致命的なのは、本当はつまらないことしか書いていないのに、自分ではおもしろいと思い込んで、調子に乗ることです。俗に言う、独りよがり、です。

　従って、評価のよかった文章を書いたときは、その調子のまま。評価の悪かった時は、反省し、軌道修正して、次に望みます。私は、この作業を、毎日24時間繰り返しています。

　料理人は、自分が出した皿の残り具合を、何よりも注視すると言います。いくら食べた人に「おいしかったです」と言われても、食べ残しだらけでは、その料理は、失敗作です。文章もそれと同じです。

　こうして私は、「無名の人間の抽象論は、誰も真剣に読まない。だが、経験を通した具体的なエピソードならば、真剣に読んでもらえる」という自前の鉄則を叩き上げました.

　実際、副島先生の文章は、注意深く読むと、大きくは、実体験の闘争に裏打ちされていることがわかります。特に、若い頃に、政治活動に参加し、イギリスの銀行（バークレイズという名前だったと記憶しています。間違っていたら、ごめんなさい）に勤めていたという経験が、決定的です。例えが悪くて申し訳ないのですが、もし、副島先生が、若い頃、のんきに家で寝転がって、プータローでもやっていただけなら、現在の副島先生とその言論はありえないだろう。と、いうのが私の考えです。

　付け加えて言えば、副島先生ほど、言行が一致している言論人は、いません。言行一致というと、何だか小学校の道徳みたいですが、本当にすごいことなのです。文章表現の上での勇ましさと、実生活での勇ましさに、乖離（かいり）がないのです。私を含めて、凡人は、勇ましいことを言っても、いざ実生活で損害を受けると、とたんに萎縮してしまいます。ここを、副島先生は、「言論闘争」として実生活で地でいくのです。

　私は今でも、副島先生の隣の席に座ったりすると、ものすごく緊張します。銭湯でヤクザの隣に座るよりも、緊張します。実際に、ヤクザよりも、すごみと迫力と存在感があります。こういう卓越した経験と実生活を持つ人が書く文章は、おもしろいに決まっているのです。

　もうひとつ。今の私の考えでは、著名入りの文章を書くということは、義務というより、むしろ権利です。

　今では、『ニューヨーク･タイムス』や『TIME』などの海外の活字メディアには、必ず記事を書いた人の署名が入っています。かつて、これは当然のことではありませんでした。新聞の記事は、署名がなければ誰が書いたのか読者には伝わりません。また、それで構わないと考えられてきました。ゴースト・ライター同然です。記者が自分の仕事に誇りを持っていればいるほど、これはつらいことです。

　署名入りの記事を書くということは、記者が歴史の中で勝ち取ってきた勲章なのです。存在証明と言っても決して大げさではありません。

　おそらく、文才とは、もとをたどれば「自分の署名入りの原稿を書きたい」という純然たるエゴイズムだけで成り立っています。しかも、「原稿をボツにされた怨念」がモノカキの最大の原動力です。やけにリアルな話ですが、こういう感情が欠落している人は、文章を書くという世界には近づかない方が賢明でしょう。（了）

山田宏哉記

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[3697] (無題) 投稿者：ｓ 投稿日：2004/06/10(Thu) 19:12:22

◆市場を通して株式を買い占めることにより、経営権を掌握する方法への転換

今年小泉が訪米してブッシュと握手したときにはもう決まっていた。
正確に言えば、その直前、ハーバード委員長が辞任した時に、アメリカの対日経済戦略は転換した。
どういうことかといえば、それまでは、前民主党政権の時にウオール街主導で策定された対日経済戦略が実行されてきた。
具体的には
「日本を金融危機に追い込み、預金封鎖を行わせ、ＩＭＦ管理のもとにおく」
である。
そしてＩＭＦ管理に置いたあと、韓国式にアメリカの金融資本が日本の金融と産業を生体解剖して食い物にするつもりだった。
その為に、彼らは日本のソブリン格付けの引き下げを行い、数回に渡って日本国債売りを仕掛けた。
また、代行返上や持合解消で需給が悪化している日本株に対しては、金融機関の中間決算期・本決算期にあわせて日経平均２２５組み入れ銘柄への空売り攻撃を行い、株価を引き下げ、銀行の体力を低下させる作戦に出た。
それと同時に、マスコミを通じて御用経済学者やエコノミストを使って、明日にも日本は破綻するという宣伝工作を強化した。
彼らは自身マンマンでこれらの手を打ったのだが、今までよその国でなら通用した攻撃が日本では全く通用しないことに気がついた。
というのも、日本国民は誰もパニックになって銀行や郵便局に行列を作らないし、預金の引き出しもおこなわなかったからだ。
彼らは数度の攻撃の後、日本人はマジでキモいと思うようになった。
今までさんざんタイやらアルゼンチンやら韓国でやらで通用してきた作戦が通用しないからである。
預金封鎖に追い込もうにも、取り付け騒ぎが起きないからである。
しかもサラにキモいのは、せっかくりそなを公的資金注入に追い込んだのに、りそな株主に対して株主責任が問われなかったことだ。その結果、アメリカの対日経済戦略を利用して日本株を売りに回っていた欧州系ヘッジファンドの一部がぬけがけをして買いに回った。
（りそなに50円台で投入された公的資金は現在171円になっているのだから、結果として日本政府はボロもうけをしたことになるのだが）
そこで彼らは作戦を全面的に転回する決断をした。
銀行株はもう充分に安くなっているのだから、銀行を破産させて買い取ることを諦め、市場を通して株式を買い占めることにより、経営権を掌握する方法への転換である。
この市場を通しての企業買収は、代行返上や持ち合い解消で株価が安くなっている一般事業会社に対しても行われる。
つまり、日本人がリスクを嫌う性質を逆手にとったわけだ。
取り付け騒ぎが起こらなかったのは、日本人が株式市場に投資をするよりも、利息は少なくても預金の方が好きだということの現われなのだ。つまり、どうせ日本人はこのバーゲンセールに入ってこない。今なら自分たちだけで安値の日本株を買い占めることができる、というわけだ。
問題は、この作戦転換が外資系証券やヘッジファンドの全てに教えられたわけではない、というこだ。
アメリカのイラク攻撃に反対した欧州系の証券会社（ドイツ証券やインドスエズ）や投資家、そして米国の反ブッシュの連中はこれを教えられなかった。
彼らは５月からの日経平均株価の上昇を、一時的なものと勘違いし、更に空売りの残高を積み上げた。
空売りは６ヶ月以内に清算しないといけないから、彼らは今や例えば１５０円で売った株を３００円で買い戻さなければならないハメに陥っているのである。そしてその買戻しが益々株価を高騰させるのである。
今の株高ははっきりいってＰＫＯによるものでもなければ、小泉の選挙に向けてのプレゼントでもない。
日経平均でいえば１４０００円ぐらいが適正株価である日本の株価が本来の価格に戻りつつあるだけの話である。
その過程でブッシュに逆らったことによって損をする外人もいるし、大儲けする外人もいる。
ＵＦＪ銀行の筆頭株主になったモナコの大金持ちは大正解だった。
彼らは25万から35万ぐらいでＵＦＪ銀行の株を買ったが、今やその株価は50万を越えている。
日本が外人に買い占められることを心配するなら、日本人は利子のつかない銀行からゼニをおろして自分で日本株を買うべきだ。
日本企業の価値がわかっていないのは日本人だけだ

[3696] 韓国・朝鮮研究学者の古田教授の受賞を祝う 投稿者：副島隆彦 投稿日：2004/06/10(Thu) 10:22:01

副島隆彦です。　先ほど、今日のニューズをネットで見ていたら、古田博司氏が、吉野作造賞を受賞していました。おめでとうを言おうと思って、ここに記事を貼り付けます。

古田氏が、おそらく一番学者らしい韓国研究をやっているだろう。決して岩波書店ごのみの、東大系のアジア学者たちに好かれてきたわけではないが、時代が変わると古田君のような柔軟な人が主流派になっているのだろう。
私は、彼とは、１０年ぐらい前に、ちくま書房の編集者の引き合わせで会って話した記憶がある。食事をしてそれからカラオケにいって、その時、「吉田松陰」という歌を彼から習った。いまでも、かろうじて、カラオケのリストにのっているのではないか。ただし、一番大きな情報量を誇っているカラオケ配信会社のものだけだろう。

私は、カラオケは、一年に一回ぐらい、何かのはずみで誘われるだけだが、どうせ下手くそだから歌わない。他の人たちが歌うのを聞いているだけだ。聞いて勉強している、と言うか、何でも勉強である。
なぜその曲がいい曲で、ヒットしたのかをまず考える。それから時代考証をはじめる。・・・勝手にそういうことを脳がはじめる。
難儀な脳である。

古田君はそのころは、下関の大学にいた。同じ席に、韓国人の学者が二人いて、ハワイの「イースト・ウエストセンター」というＣＳＩＳ（シー・エス・アイ・エス、ジョージタウン大学戦略国際問題研究所）に籍をおいているような、反パクチョンヒ政府運動をやったような爺さん学者たちだった。複雑な過去をみんな背負っている。

古田君の研究は、どこか、小室直樹先生の「韓国の悲劇」に似ていて、韓国人たちの本当の実感に迫ろうとする構えからの研究だ。
その時も、古田君が、「今、韓国のソウル大学の講堂で、３千人の聴衆を集めれられる日本人知識人は、小室直樹だけだろう。そのように韓国人の友人たちが言っている」と言っていた。韓国の知識人たちも、自分たちの本当のことを書いてくれる日本人が好きなのだ。
何もおべんちゃらやお追従（ついしょう）や、反対に、反韓国言論や反北朝鮮言論を意図的にやるような日本人が、単純に好かれたり、嫌われたりするのではない。　韓国人は私たち日本人よりも、さらに屈折して鬱屈しているから、だから、本当のことを正直に書いてくれる日本人を好きだろう。　この態度が何よりだと思う。　　副島隆彦拝

（転載貼り付け始め）
　
＜吉野作造賞＞古田博司・筑波大教授に
毎日新聞 ２００４年6月10日

　第５回読売・吉野作造賞は、古田博司・筑波大教授の「東アジア・イデオロギーを超えて」（新書館）に決まった。副賞３００万円。贈賞式は７月１４日、東京・丸の内のパレスホテルで。古田教授は５３年、横浜市生まれで、慶応大大学院修士課程修了。専攻は東アジア政治思想。[毎日新聞 ２００４年6月10日9時15分更新]

（転載貼り付け終わり）

副島隆彦拝

[3695] サルトルの『嘔吐（吐き気）』について 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/06/09(Wed) 22:21:22

突然ですが哲学の話題。「在外掲示板」の方でサルトルの『嘔吐（吐き気）』が話題になった。あの吐き気とは一体何か？偉大な東洋哲学者井筒俊彦（いづつ・としひこ）の『意識と本質』（岩波文庫）を手掛かりに論じてみよう。

（井筒俊彦『意識と本質』より引用開始）

Ｘを「花」と呼ぶ、あるいは「花」という語をそれに適用する。それができるためには、何はともあれ、Ｘがなんであるかということ、すなわちＸの「本質」が捉えられていなければならない。Ｘを花という語で指示し、Ｙを石という語で指示して、ＸとＹとを言語的に、つまり意識現象として、区別することができるためには、初次的に、少なくとも素朴な形で、花と石それぞれの「本質」が了解されていなければならない。そうでなければ、花はあくまでも花、石はどこまでも石、というふうに同一律的にＸとＹとを同定することはできない。（p. 9）

初期の、つまり現象学時代のサルトルは、意識の本源的脱自性を強調して、それを「自分の外へ滑り出すこと」であると言い、「意識には内部（le dedans）なるものはない。意識は己れ自身の外（le dehors）以外の何ものでもない。意識を意識として成り立たせるものは、この絶対的な脱走（cette fuite absolue）であり、固定した物であることのこの拒絶（ce refus d'être substance）だ」と断じた（「フッサール現象学の基礎理念」）。だが、いくら己れの外へ不断に滑り出す、といっても、なんの方向性もなしに、むやみやたらにただ脱走するわけのものでもあるまい。必ず何かに向かって、Ｘに向かって滑り出して行くのである。例えば、サルトル自身が言っているように、あそこにあるあの樹に向って。
あそこにあるあの樹は感性経験的な一つの個物であって、「本質」ではない、といわれるかも知れないけれど、意識の「滑り出し」の方向を規定する点において、そこには既に原初的、第一次的な「本質」把握が、少なくとも前反省的、無自覚的、あるいは気分的了解という形で、なされているのである。意識がＸに向って滑り出して行く、その初動の瞬間において、Ｘはすでに何かである――この場合は、樹である――のだ。そしてＸを何かであるものとして把握することは、すなわちＸの原初的定義であり、最も素朴な形における「本質」把握以外の何ものでもない。もしこのような原初的「本質」把握もなしに、ただやみくもに「外」に出て行けば、たちまちあの「ねばねばした」目も鼻もない無気味な「存在」の混沌の泥沼の中にのめり込んで、「嘔吐」を催すほかはないだろう。そして、そうなればもう、「〜の意識」など影も形もなくなってしまうだろう。
「存在」の深遠を垣間見る嘔吐的体験を描くとき、サルトルが、この「存在」啓示の直前の状態として言語脱落を語っていることは興味深い。
「ついさっき私は公園にいた」とサルトルは語り出す。「マロニエの根はちょうどベンチの下のところで深く大地につき刺さっていた。それが根というものだということは、もはや私の意識には全然なかった。あらゆる語（ことば）は消え失せていた。そしてそれと同時に、事物の意義も、その使い方も、またそれらの事物の表面に人間が引いた弱い符牒（めじるし）の線も。背を丸め気味に、頭を垂れ、たった独りで私は、全く生（なま）のままのその黒々と節くれ立った、恐ろしい塊りに面と向って座っていた。」
絶対無分節の「存在」と、それの表面に、コトバの意味を手がかりにして、か細い分節線を縦横に引いて事物、つまり存在者、を作り出して行く人間意識の働きとの関係をこれほど見事に形象化した文章を私は他に知らない。（p. 10）

（井筒俊彦『意識と本質』より引用終了）

つまり「吐き気」の原因は「存在そのもの」を見てしまったからである。普通のひとは「共同幻想」にどっぷり浸かっているから、これを直視することに耐えられない。

井筒俊彦はここから、東洋の哲学者たちにとっては「存在そのもの」に接触しても全く動じないように訓練するのが伝統であり、当たり前だと述べる。上の引用のページ数に注目してもらいたいが、このサルトルの引用はほんのイントロで、ここから氏の壮大な「東洋哲学の共時的構造化」が始まるのだが、こうなるともはや「向こうの世界のひと」であり、理解不能である。もちろん井筒の著書を頭の中で図式的に理解することはできよう。実際私は井筒の著書は結構読んでいる。しかし、そうしてしまうとこの手の哲学はまったくその意味を失うだろうから、理解したとはとても言えない。

さて私は以前ぼやき「５５４」にて自然法あるいは自然権について論じた。そしてこの「自然」と上述した「存在そのもの」とは如何なる関係にあるのか。ひょっとすると同じものなのか。（注：そもそも「自然」の概念は歴史的に相当移り変わりがある。神とイコールになる場合もあったし、現在通用している森林などの「自然」の意味もある。私の論文では「自然」は「人または社会の自然の本性（nature）」として使用しているのでとりあえずこの意味で話を進める。）

以下に私の考えを述べる。人間の本性は後天的なものである。人間の性質は生まれてから社会的に教育される。それがいわゆる「常識」となる。この常識は「幻想」のひとつであるから、各時代によっても場所によっても異なるものになる。また、フクヤマによれば、生物学的に見た場合に人間と動物の区別なく成り立つ性質もあり、これも本性に含められよう。本能に基づいた性質であり、ほとんどの動物はこれに従っていると考えられる。いずれにせよ「自然」は「存在そのもの」とは別のものである。
これに対して、「自然」は「存在そのもの」を基盤として成り立っているのではないかという反論が考えられるが、「自然」を重視する側から見ると、そもそもこの「存在そのもの」を前提にする意味が無い。「存在そのもの」なんて幻想にどっぷりと浸かった人間にしか存在しないのではないか。

[3694] 過ぎ去りし東京証券取引所と擬似株取引 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/09(Wed) 22:00:42

　山田宏哉です。

　今日（2004.6.9）、兜町（かぶとちょう）の東京証券取引所（東証。見学施設は、東証アローズと呼ぶ。このエッセイでは特に区別しない）へ行ってきました。兜町は、愛想と華やかさがほとんどない、中年親父がよく似合います。最寄駅である東京メトロ（地下鉄）の茅場町（かやばちょう）を出ると、100社前後の証券会社のビルが立ち並びます。

　今の兜町は、どことなくピークを過ぎて、薄さびれた雰囲気を醸し出しています。街並みも人もそうです。ここほど、正直に日本の経済状況を映し出す場所はない、ということでしょう。バブルの頃はもっと活気があったはずです。少なくとも、今は、あまり足繁く通いたくなる場所ではありません。

　東証は、手荷物検査を受ければ、誰でも見学することができます。あまり知られていませんが、東証は、他の施設に比べると見学者向けのサービスが充実しています。1949年以来、1997年の時点で見学者400万人を記録していました。今日は、掲示で早稲田大と中央大のゼミナール（経済関係でしょう）が歓迎されていました。先生が、学生に紹介したのでしょう。学生が自分から「見学に行こう」と思い立つような場所ではありません。

　東証の建物は、石造りで立派です。近所の安っぽい証券会社のビルと比べると、際立っています。1946年にGHQに接収されて、52年まで宿泊施設として利用されていました。往年の東証と著名な見学者たちの写真も壁に展示されていました。私が、株券の実物を初めて見たのも、東証の史料館です。株式関係の実物史料を見られる場所で、ここに及ぶところは、日本国内にはないでしょう。

　２階では、擬似株取引をすることができます。私は、これがメインの目当てで東証に出向きました。「マーケット・エクスペリエンス・コーナー」と呼ばれています。単純化されていますが、非常に凝ったつくりです。非常に勉強になりました。何十台かのPCでの、対戦シュミレーション方式になっています。今年、出来たばかりです。

　手持ちの軍資金は、3000万円。仮想の「星電子」「花形自動車」「ナニワバンク」の３つの企業の株を売ったり勝ったりして、お金を儲ける（損する）ゲームです。１日が２分くらいに圧縮されて、仮想のニュースの情報によって、株価が上がったり下がったりします。

（架空ニュースでは「首相はゴルフをやっていて連絡が取れない」「次からは、不正がバレないようにしたい」など現実世界でもどこかで聞いたことのあるような記事も流れる。遊び心が随所に見られて面白い。）

　私は、「ナニワバンク」の株を\1500で15,000株ほど買い込んだら、いきなり値下がりを起こして、およそ100万円の損失を出しました。結局、最後まで値が戻らず、30万円ほど損しました。体験後に、係の女性社員に「おもしろかったです」と感想を言うと、「してやったり」といった感じの、嬉しそうな顔をしていました。

　ただし、まるで大金を損したという実感が湧きません。金銭感覚がおかしくなりそうです。もともと、私に3000万円の軍資金があるという設定自体にリアリティがないのですが、それを差し引いても、やっぱり、ただ数字が動いているだけのようにしか見えません。返却式のコインロッカーに100円玉を置き忘れた方が、よほど悔しそうです。

　東証の心臓部であるマーケット・センターは巨大な直径17メートルのガラスシリンダーに覆われていました。その上を、企業名と現在の株価が、グルグル回っています。リアルタイムで市場の動きをモニターで監察している東証の職員たちがいました。テレビにも、よく映っています。ただし、想像していたよりも、ずっと地味で静かな光景です。

　おそらく、画面の向こう側に、経済合理性のみで動く世界があって、壮絶な駆け引きが行われているのでしょう。ですが、いくら「リアルタイムで市場の動きを監視」と言っても、じっとキーボードを操作しながら、PCの画面を眺めているだけ、というのでは全く緊張感のある絵になりません。

　いまや、喧騒の中、人が入り乱れて、売り注文や買い注文の業界人にしかわからないサインを出し合っている泥臭い光景は、見られませんでした。後で、東証の一角に設けられた史料展示室で、1999年4月に、株式売買会場が閉鎖されていたことを知りました。その脇には、売買会場への入場者記章が飾られていました。今は「オンラインの時代」ということなのでしょう。

　幼心に刷り込まれていた、私の東証へのイメージは、もはや過去のものへと変わっていました。（了）

　山田宏哉記

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[3693] 私の本のＮＹの日本書店での入手可能のデータを送って頂きました。 投稿者：副島隆彦 投稿日：2004/06/09(Wed) 06:18:12

*******さまへ
副島隆彦です

メールを有り難うございます。
私の本が、ニューヨークの主要な日本書店（ジャパン・ブック・ショップ）でどれぐらい入手できるかのデータをお送り頂きましてありがとうございます。

私の本は、東南アジア諸国に出ている日本人たちにも読まれているようで、日本国内にいてのんびり生きている人たちよりも敏感にならざるを得ない人々にこそ受け入れられるようです。

アメリカ合衆国で長く暮らしている人たちに、たいして滞米生活があるわけでもないのに日本語で、アメリカ政治の実態をあれこれ当てずっぽうできっと大きな真実はこうだろうと書いて伝えている自分としては、きわめて不思議で、奇妙な感じになります。

しかし、おそらく、日本語で書いて、何とか実感を伴った、”情報鎖国”下にある、今の切実な日本人にとってのアメリカ理解、ということになると、私、副島隆彦の頭から見たアメリカ思想や政治が、仕方なく不正確ではあるが、今のところ一番優れていると、私自身が思わざるをえません。

早く、もっと優れた若い日本人のアメリカ政治研究者たちで、アメリカ庶民の実感を伴った、かつ、グローバリストの手先になって人生を特権だらけで、小ずるく生きて行こうという、ゆがんだ考えに陥らないような人々を、たくさん育てて行かなければなりません。　このことも私の残された人生時間の中の、実現可能な悲願のひとつです。
今後とも「副島隆彦の学問道場」を宜しくお願い申し上げます。

副島隆彦拝


----- Original Message -----
From: ****************
To: GZE03120@nifty.ne.jp
Sent: Tuesday, June 08, 2004 8:16 AM
Subject: NYからメールしております。

副島様
アタッチメントにしてあります内容のものを、先ほど副島様に送ろうとして、
間違ってSNSIの事務所の方にメールしてしまいました。
事務所から転送されるかと思いますが、念のため同じものをワードのフォーマットでお送りします。NYでの御著書の購入記録です。何かの足しになるようなものでは全くありませんが、NYの一読者としてどれくらい御本を購入できるものか、眺めていただければ幸甚です。
夏本番、ご自愛下さいますよう。　　　*********

(以下は添付ファイルの中身の文）

副島様
NYで自営しています*****です。
過日、坂井三郎のことで二度メールし、御鄭重にご返事いただいたものです。その節は誠に有難うございました。

先週金曜日、当地の書店で「やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる」を買って読了し、今日月曜日には「ハリウッド映画で読む世界覇権国アメリカ（上・下）」講談社＋アルファー文庫、が同じ書店にありましたので、早速購入しました。両者とも入り口近くに平積みでした。

事務所に戻ってふと思いついたので、NYでの御著書の入手記録を、かってですが一覧にしてお送りさせていただきます。特に注文して取り寄せたというのでなく、書店で眼についたらそのつど購入するという形でしたので、NYの一般読書人が普通に副島さんの御本に触れる環境の紹介になれば、と思った次第です。

私は本屋には暇があると立ち寄ってますので、御著書が並んだ時は多分日にちを置かずに買っていると思います。

NY（マンハッタン）の日本語書籍の本屋は、1980年半ばぐらいまでは、地場の資本の小さなものでしたが、15年？ほど前に紀伊国屋、10年？ほど前に旭屋書店が進出し、他の店は撤退して、現在はこの二店です。　売り場面積は、紀伊国屋が新宿本店の一階分ぐらいの広さ、旭屋書店がその半分ぐらいの印象です。

価格は今日現在、933円の文庫本が１１ドル16セント、定価百円あたり、1.2ドルの換算です。為替の変動によって、換算率も変わります。また一方の書店の換算率は、もう一方の書店より一割強高めです。

私が最初に読んだ御著書は、「小室直樹の行動と思想」・橋爪氏との共著です。以下、書名と該当版の出版日と購入日（米式表示）を、購入順に並べて書きます。

１．「世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人」’00年　（友人に　　　　　　　　　　　　　　　　　　貸しているので、詳細不明）

２．「アメリカの大嘘」　１２・１・９９　（1刷）　３・１２・００

３．「逆襲する日本経済」　８・５・９９　（2刷）　１・１１・０１

４．「堕ちよ日本経済」　　９・１・００　（２刷） ２・６・０１

５．「悪賢いアメリカ　騙し返せ日本」　３・２２・０１（1刷）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５・５・０１

６．「あなたが金持ちサラリーマンになる方法」８・５・０１（１刷）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１１・１４・０１

７．「テロ世界戦争と日本の行方」　１１・１５・０１（1刷）　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１２・１・０１

８．「道具としての英語基礎の基礎」　１２・９・９９（１刷）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１２・１４・０１

９．「道具としての英語　〃　完結編」　４・８・００（1刷）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１２・１４・０１　

１０．「属国日本論」１０・２８・０１（改装版）　１・５・０１

１１．「英文法の謎を解く」　　５・２０・００（２０刷）　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５・１２・０２

１２．「続・英文法の謎を解く」　５・１５・００（６刷）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５・１２・０２

１３．「完結・英文法の謎を解く」５・２０・００（３刷）　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・１２・０２

１４．「世界覇権国アメリカの衰退が始まる」７・５・０２（１刷）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８・１２・０２

１５．「法律学の正体」７・１７・０２（初版）　９・３・０２

１６．「金融鎖国」　９・２０・０２（1刷）　　１０・９・０２

１７．「決然たる政治学への道」９・６・０２（２刷）８・２０・０３

１８．「預金封鎖（白）」　９・１０・０２（1刷）　１・１０・０４

１９．「預金封鎖（黒）」１２・３０・０３（2刷）　２・２７・０４

２０．「やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる」　　４・１２・０４　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2刷）　６・４・０４

２１．「ハリウッド映画で読む世界覇権国アメリカ（上・下）」　
　　　　　　　　　　　　４・２０・０４　（１刷）６・７・０４

　こうしてみると、このところNYでのご著書への需要が頓に増していると思います。なくもがなの表であろうと思いましたが、御海容下さいませ。ますますのご健闘を心よりお祈り申し上げます。

（転載貼り付け終わり）

副島隆彦拝

[3692] 銭湯に行けば、ヤクザに会える 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/08(Tue) 03:36:20

　山田宏哉です。

　突拍子もない話題ですが、銭湯に行けば、ヤクザに会えます。これは、日常的に銭湯に足を運ぶ人にとっては、ほぼ常識に属することです。ただし、当然ながら、新聞を始めとするメディアは、こんなことには一言も触れません。若い人を中心に、全く知らない人も多いと思います。ですので、あえて私が記述しておきます。

　板橋の銭湯では、ヤクザの親分らしき人が少女と子分（あまり適切な表現ではないが）を引き連れて、入浴していました。池袋の銭湯では、ヤクザの方が、わざわざ周りの人に「変えても構わないか？」とことわりながら、テレビのチャンネルを回していました。銭湯では、こういう光景が当たり前のように見られます。

　こういう光景に立ち会うだけでも、ヤクザが、傍若無人に威張り腐って、突如として、一般市民に暴力を振るう、という出回ったイメージが、間違っているとわかります。少なくとも、入浴中は、平均以上に、礼儀正しい人たちです。（世の中には、自分自身で確認もせずに、特定のカテゴリーに属する人の悪口を、無責任に言いふらす人たちがいます。これこそ、真に軽蔑に値する行為です。）

　これまで、私が見たところ、番台（銭湯の管理人）に一番、礼儀正しく挨拶をしているのは、大抵、ヤクザの方です。番台も、ヤクザが入浴に来たからといって、嫌な顔はしません。番台とヤクザは、持ちつ持たれつ、の関係です。

　確かに、刺青をした方が浴場に入ってくると、最初は、ビシッと張り詰めた空気になります。しかし、慣れてしまえば、何ということはありません。不用意に敵意を示したりしなければ、隣同士になっても、特にビクビクする必要もありません。（ただし、実際にヤクザの方のすぐ隣にいると、私も少しは緊張する。）

　「ヤクザお断り」の表示をしている伝統的な銭湯は、皆無です。ヤクザは上客です。彼らがいなければ、確実に銭湯経営が苦しくなるでしょう。

　これに対して、現代的な"スーパー銭湯"（マヌケだが、正式名称）では、ほぼ例外なく「ヤクザ（刺青をしている方）お断り」の表示をしています。私もよく行きますが、スーパー銭湯で、ヤクザの方を見かけることは、皆無です。スーパー銭湯は、ヤクザを追放することによって、ヤクザを敬遠する臆病な小市民たちを、お客として取り込みました。

　スーパー銭湯とは、レジャーランドみたいな低料金（\500〜\800くらい。伝統的な銭湯は、東京の場合\400）の浴場施設です。伝統的な銭湯に比べて、施設が充実しています。サウナはもちろん、食堂やマーサージのようなサービスまであります。

　実際、銭湯の番台とスーパー銭湯のスタッフには、雲泥の差があります。銭湯の番台は、大抵、「粋」です。私は、銭湯のサウナで本を読んでいても、一度も番台に注意されたことがありません。（本当は、防災上、禁止されています。）

　ところが、スーパー銭湯のマニュアル・スタッフは、湯船につかって本を読んでいるだけで、煩わしくも注意してきます。全く融通の利かない連中です。客も、銭湯の客層に比べると、いかにも平凡で当たり障りのない人たちです。

　伝統的な銭湯は、一般人と「それ以外の人」が、かなりの接点を持ちえる場所です。私は、これまですでに30軒以上の銭湯を回ってきました。池袋の銭湯の脱衣場では、「人間の脚（足）」が壁に立てかけられていました。義足でした。障害者や外国人の姿も、確実に一般社会より目立ちます。やはり、よくも悪くも、銭湯には平均からずれた人たちが多いです。

　韓国人が多く住む、新大久保の銭湯の面々を眺めると、「社会問題そのもの」といった感があります。脱衣場等にまでハングルが併記されていました。（ただし新大久保の小汚い銭湯には、もう二度と行きたくない）

　見事な刺青をしたヤクザが隣で湯船に浸（つか）かっているのを、横目で見ながら、銭湯とヤクザの関係の話は、知らない人に紹介しておく価値があると考えました。実際のヤクザや刺青とはどんなものだろう？　と思っても、普通の生活を営む人が、まさかヤクザの事務所に「刺青を見せてほしい」と訪ねるわけにはいかないでしょう。

　しかし、銭湯なら、あまりに身近な存在です。ヤクザに会いに、銭湯へ行くのも、悪くないでしょう。（了）

山田宏哉記

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[3691] Re[3686]バードさんの投稿を読んでの感想です。（２回目） 投稿者：青山省吾 投稿日：2004/06/07(Mon) 22:42:52

こんばんは、青山省吾です。

私は韓国人に関しては勝手にやって下さいという態度です。アメリカにいる時に韓国人の気質は変わっているなと分かりました。

またアジアは広い！！台湾、タイランド、インドネシア、マレーシア、フィリピンと気質の穏やかな人達がいる事も分かりました。日本の偏ったヘッポコマスコミは日韓友好、日中友好だけですが、わざわざつきあいづらい人に心をどんなに砕いても無駄足です。私としては台湾、ASEAN諸国こそ真に大事にすべきだと実感しました。
中、韓は仲が悪くならない程度の適当に間を置くつきあいで十分です。

早速バードさんの投稿に対しての返信です。

→　転載貼り付け開始
「そのアラブ人たちの行進の映像は、９．１１とは全く無関係ということだった。しかし政治音痴の人間には、その印象が脳裏に刷り込まれたのだろう。
アジア人、アラブ人、アフリカ人など有色人種は、こういう将来に禍根を残すような（白人の、実はユダヤ人の）報道や言論に対しては、結束して監視し、各政府間で互いに連絡を取り合って対処すべきであろう、と思う。
→　転載貼り付け終了

私もケーブルテレビで喜ぶパレスチナ人の映像を米発のニュースで見ました。9.11の後では、単純なアメリカ白人に“このパレスチナ郎！！”と憎悪を掻き立てるのに十分な演出でした。同様に朝鮮のお尻ムチ打ちの記事も将来の朝鮮での戦争をにらんでの下準備なのかもしれません。SARSで流される中国の養鶏場の不潔さ、なんでも売ってる市場などその汚さは白人には卒倒ものですから、ここら辺も東洋人は野蛮な種だと思わせる巧妙な刷り込みです。イスラムでの揉め事（戦争）で金儲けしたあとは、アジアで金儲け（戦争）の下準備なのでしょう。

第2次大戦で恐慌を克服したアメリカは戦争こそ一番の景気対策と実感しているのでしょう。戦争こそ一番の景気対策の考えは副島先生が著書で散々書かれていることです。

ただ、アメリカの成功体験（対日戦、朝鮮戦争、湾岸戦争）があまりに大きかったのと、原爆を落としたり、無差別に街を焼くことが出来たのは過去の事なので、庶民を巻き込んだ粘り強い闘いは想定外なのでしょう。イラクでは解放したらイラク人がナチからパリを開放をした時みたいに最大限の祝福があると思っていたのに全然違うという、現実は単純なハリウッド映画（アメリカにとって都合の良い刷り込み）の筋書きみたいにいかないということでしょう。

それと、白人種は物事を考えたりするが、有色人種は食べて寝てウンコをするぐらいしか脳がないという前提でアメリカの行動パターンは出来ているとしか思えないですね。

→　転載貼り付け開始
話しを戻します。だからこういうことは、日本政府は厳重に抗議すべきだと思います。「百年前の国内法に基づいた自国民に対する刑罰と、現在行われている法に基づかない他国民に対する虐待を、並べて掲載するのは如何なものか。ニューヨークタイムスはこんなにも下劣で低級な新聞であったのか。」とニューヨークタイムスの権威に確かな汚点を刻（こく）し、「韓国、北朝鮮、日本、アジア人のため、厳重に抗議し、謝罪を要求する。」というような抗議を、日本の外務大臣か副大臣は行うべきだと、私は思う。こういう抗議によって、日本人およびアジア人対する誤解を生む可能性のあるものを、芽のうちに摘み取っておかなければならない、と思う。
こういう抗議は友好関係が存在している平常のときにこそ行わなければならない。なぜなら、関係が悪化しつつあるときにする抗議はもっと難しくなるからだ。
→　転載貼り付け終了

なぜ、抗議しないのでしょうね？！例えば、悪い子の時があった人なら分かると思いますが、からまれたら即効でその寝ぼけたヤローに“なんじゃあ、そりゃあ！！”とかドツいとかないと、なめられて更にエスカレートしますからね。結局は大人しく下を向いていたら、その子は負け犬です。で、それを見ていた別の奴もバカにしてくるという悪循環です。絶対負けてもいいから向かっていった方が度胸もついてきます。

ここら辺は日本にとってアメリカという１番のタカリ野朗がいて次に中国、韓国ですか。人間の社会ですから規模の大小に関わらず本質は同じです。以前、名古屋で￥5000万取られた子と今の日本政府は同じです。例えに使って名古屋の少年ごめんなさい。

では、バードさんちょっとづつの抜粋と返信ですが気長にお待ち下さい。

[3690] Re[3688]について 投稿者：バード 投稿日：2004/06/07(Mon) 20:49:37

こんにちは、バードです。
青山さん、早速コメントを頂き、有難うございました。

＞呆れたのはＮＹタイムズの記事を受けて韓国のメディアが日
＞帝時代の刑罰と騒いだことです。

ああそうですか。ということは、ニューヨークタイムスは写真のみで本文で触れずということで、韓国メディアが日本帝国の仕業だと書きたて大騒ぎしたと、そういうことのようですね。

＞世界でも滅多にない気質を持った国と民族が隣国という事実
＞を肝に銘じる必要があると思います。

この意見に賛成です。
昨年のことですが、韓国の会社にソフト開発を発注して、納期を過ぎていつまで経っても開発が進まないのにその代金だけは請求されて、ひどい目に合った会社を知っています。私はその仕事を依頼されたので、その仕事の具合を見ましたが、それはひどいものでした。
隣国といえども、細心の注意が必要だろうと思います。

＞次のサイトは以前ロシアチョコレートさんが投稿されていた
＞朝鮮の昔の風俗が載っているサイトです。
＞http://photo.jijisama.org/

これは、私にとっては、ちょっとした「博物館」でした。大変有益でした。今まで、こういうことを知らずに考えて来たということですね。日本が韓国人に対して多々貢献したんだろうなと思います。
ところでこれは余談ですが、韓国の工業製品のパクリが出ていましたが、これについては遅れて工業化したところはどうしても仕方がないと思いましたね。日本もかつて（そして今も）やったことだし、どの国でもやることで、時代が違うということかもしれませんが、「低文化人」の私としましては、優れたものはマネされるということで、どうしようもないのだろうと、それで文明や文化が伝播するのだろうと、特に国家間ではそういうふうに考えるしかないだろうと、思いました。

というわけで、この隣国、韓国に対しても抗議すべきは、断固として毅然と抗議すべき（ただし何とかうまく）だろうと、私も思います。
しかし「世界」に対しては、これは単にアジアにおける小さな調整行為である、すなわちアジア内での単なる内輪もめであるというようなスタンスをとるべきでしょう。
隣国は意地汚く下品かもしれません。また、ニューヨークタイムスなどが実行部隊の「世界」はそれに比べればその言動がはるかに上品かもしれません。しかし、こちらの上品に見える方が実質においてははるかに恐ろしいのではないでしょうか。常に新しい作戦をたて、その作戦の成功のため準備を怠らず積み重ね、知らないうちに身動きが取れない状態にして、罠に陥れるのです。
彼ら「世界」は、「分断して支配」しようとします。もっとはっきりいえば、これは誰にでも分かることですが、分断すれば後はどうにでもできるということです。だから、日本と、中国・韓国・北朝鮮や、東南アジアを分断し喧嘩させることを狙っているでしょう。（また日本国内も、国論を分裂させて、お互いに喧嘩させようとしています。）おそらくこの「世界」が韓国や中国のメディアを煽っているはずです。アジア人同士喧嘩すればするほど、彼ら「世界」は喜びます。
だから、ニューヨークタイムスへの抗議では、日本は韓国や北朝鮮と一体となって（なった顔をして）、行うべきだろうと思います。
とにかく今のところ、中国や韓国の策謀では、それがいかに口汚くとも、大した実害に至りません。が、「世界」の策謀の方は大きな実害をもたらします。現に、現在も大金を搾り取られ続けています。だから、ここでも七三の構えで、「世界」の動向に、より多くの神経と注意を払うべきだと思います。
韓国や中国など、アジアに対しては表面上は喧嘩しているように振舞って、「世界」が見えないところで握手をしているという状態が、現在は理想かもしれません。
とにかく現在の情勢では、日本国民が心の奥底の本心ではアジアに寛容であることを決意しておくのが、肝要だろうと思うのですが・・・
副島先生は「アジア人同士戦わず」と言っていますが、それは以上のようなことを指しているのかもしれませんね・・・？

最後になりましたが、青山さん、続きが楽しみです。（了）

[3689] 私たちに「リンクを貼らせてくれ」の要望に対する私からの返事 投稿者：副島隆彦 投稿日：2004/06/07(Mon) 09:48:00

副島隆彦です。　以下のメールのやり取りは、以後の私たちの基本的な態度です。
私は、偽名、仮名、変名、名無しの権兵衛だけでなく、団体を名乗れば
自分たちの公然性が保証される、と大きく勘違いしている者たちへの対応も、以後はこのようにはっきりさせます。
私は、偽名、仮名、匿名は、事情が無い限り、私たちへの発信として許しません。「ネット文化は、匿名が大前提」という考え方自体を、破壊して解体してやろうと思います。みんな、大きな勘違い（考え違い＝間違い）をしないでください。　

自分の氏名を公表した上での、自己の主体の責任をかけた言論、思想表明でなければ、人々を説得したり、新しい考えを世に広めることなど出来ないのです。臆病者、卑怯者の闇討ちスタイルを、私たちは、一切、拒絶します。　正義の言論とは、それぐらい厳しいものです。そのことによってのみ、言論の自由、知識・思想・学問の自由は守られる。

副島隆彦記

（転載貼り付け始め）

日本の自立と平和をめざす市民連合 さまへ

副島隆彦です
以下のメールをいただきました。

私は、貴兄らの、「日本の自立と平和をめざす市民連合」という団体とは何の面識も、信頼関係もありません。したがって、「リンクをはらせてくれ」と頼まれましても、何も答えられません。

自分の主観（意見）が、まず無前提に正しくて、考えが共感できそうであるから、それで馴れ馴れしく「リンクしたい」というのは、間違った考えです。貴兄らは、私からすれば、名無しの権兵衛でありまして、私が何かを判断できるような人たちではありません。

私は、日本の１９６０年代、７０年代、８０年代の新左翼（急進ラジカリズム集団）が、大きな間違いを犯して、最後は、凄惨な内ゲバの殺し合いにはまっていった、その病根をこそ見つめている言論人です。　

勝手に自分の主観で、正義をとなえ、かつ、いい加減な考えで仲間と群れようとするから、おかしな結果になるのです。考えが足りない、というということです。

その対極にあるのが、保守的な企業経営者たちの責任ある態度の取り方です。お金をきちんとはらうとか、人とはじめて相談事をするときにはちゃんと自己紹介してから信頼関係をむすぶ、とかを、世の中の本当の大人たちは、やるのです。

こういうことを、貴兄ら（きっと若い人たちだろう）も学んでください。自己の主観が正しければ、それできっと相手もわかってくれる、というのは幼稚な考えです。　　再考を促します。

副島隆彦拝


----- Original Message -----
From: "21c-journal" webmaster@21c-journal.net
To: "副島隆彦さま" GZE03120@nifty.ne.jp
Sent: Sunday, June 06, 2004 6:56 PM
Subject: リンクのお願い


副島様

突然のメールご容赦くださいませ。
私達は「日本の自立と平和をめざす市民連合」といい、
日本の真の平和と繁栄のためには“対米自立”が必要不可欠
であると考えて、このことを知り知らせる活動を行なっています。

当方では副島様の書籍『やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる』を
当ホームページの「推薦図書」欄にてご推薦、ご紹介させて
いただきました。

つきましては「リンクページ」および「推薦図書のページ」などに
副島様のＨＰへのリンクを貼らせていただき、活動をご紹介させて
いただきたく思いますが、よろしいでしょうか？
なにとぞよろしくお願い申し上げます。

ホームページ
http://www.21c-journal.net/

推薦図書のページ
http://www.21c-journal.net/book/44osoikuru.html


--
webmaster@21c-journal.net

日本の自立と平和をめざす市民連合
tel & fax 06-6452-5833
〒553-0002　大阪市福島区鷺洲3丁目9番13号 坂東ビル３F

（転載貼り付け終わり）

副島隆彦拝

[3688] Re[3686]バードさんの投稿を読んでの感想です。 投稿者：青山省吾 投稿日：2004/06/07(Mon) 00:19:42

こんばんは、青山省吾です。

バードさんが私の投稿〔3674〕を解説、展開して頂き投稿した者としてうれしいかぎりです。私としてもバードさんの投稿で更に考えを深めることが出来ました。有難うございます。早速バードさんの投稿に対しての返信です。

→　転載貼り付け開始
「大韓帝国時代（1905年 = 朝鮮併合以前）の笞刑令（= 軽犯罪でかつ、罰金が払えない時のみ適用 日本にはない方式）」、「写真は朝鮮併合以前の1905年に撮影されたもので、当時の日本側人士による見学風景だと思われる。併合後は、朝鮮総督府により残酷だとみなされ禁止された朝鮮式刑罰だ。」とあり、日本人がどの程度関与したかは不明ですが、どうみてもアメリカの虐待の方がはるかに残酷であろう。
→　転載貼り付け終了

朝鮮と韓国に絞ります。お尻を出してムチで叩く刑罰なんて日本では聞いたことがないので、韓国土着の刑罰と思ってました。呆れたのはＮＹタイムズの記事を受けて韓国のメディアが日帝時代の刑罰と騒いだことです。2002年のワールドカップサッカーで八百長試合で決勝まで行って、悪びれず恥とも思わず熱狂した国民性だから日本のせいにする事は当然なのでしょう。中国がいう“三光作戦”も肝心の“三光”が日本にない言葉なので今回のお尻ムチ打ちと同じ類の話です。

日本のメディアが流す“冬のソナタ”や“2002年のワールドカップサッカーで韓国躍進”などの偏った報道にはうんざりです。世界でも滅多にない気質を持った国と民族が隣国という事実を肝に銘じる必要があると思います。

いい例が1992年のロス暴動の際になぜ近隣の黒人、スパニッシュ系の住民達に韓国人が経営する店が集中的に襲われたのか、背景には一旦下と見下したら露骨にバカにした態度に出る韓国人の気質が近隣の人種の反感を買っていたからです。

しかし、剣道発祥の国（竹刀は木刀での練習ではかたわになるから柳生家が考案したのでは？！）とか、空手をパクっといてテコンドーとかトホホです。

次のサイトは以前ロシアチョコレートさんが投稿されていた朝鮮の昔の風俗が載っているサイトです。http://photo.jijisama.org/

次の本は以前このサイトで紹介があった本です。
朝鮮紀行―英国婦人の見た李朝末期 講談社学術文庫　イザベラ・バード（著）
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061593404/ref%3Dpd%5Fecc%5Frvi%5Ff/250-2769866-5985046

今日は動き回って眠くなってきましたので寝ます、バードさん続きはお待ち下さい。

※山田宏哉さん私の体験記を楽しく読んで頂いてよかったです。

[3687] 横浜―みなとみらいと海岸線の歴史旅 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/06(Sun) 05:02:29

　右手に横浜港を見ながら、山下公園を歩く。ランドマーク・タワーを中心としたみなとみらいの臨海都市が拡がっている。樹々とコンクリートで固められた海岸線の向こう側に見える。山下公園は、関東大震災のガレキの山を埋め立ててつくられた。

　開港の道・山下臨港線プロムナードを歩いて、横浜開港資料館に向かった。資料館巡りをする前に、潮風を肌で感じておいた方がよい。

　開港資料館はかつて、英国の総領事館だった。偶然にも、飛行船チェッペリンが、開港資料館の上空を飛行している写真も撮られている。何度も歴史の舞台に立ち会った由緒ある場所だ。現在は、「ペリー来航と横浜」の企画展をやっている。

　黒船来航で、日本中が危機感に包まれたというのは、どうも間違っている。庶民は、むしろ丘の上の茶屋とかから、黒船見学を楽しんでいたようだ。いかにも危機感に溢れているのは、武士階級だけだ。そのことを象徴的に示す絵画が、「黒船来航図巻」に書かれていた。

　1854年、再度来日したペリーは、500人の武装水兵を引き連れて横浜に上陸した。日米和親条約は、現在の開港資料館の玉楠の碑付近の応接所で結ばれた。5対5の対談だった。この際、日本側は、幕府全権の林大学頭などが望んだが、私は彼らの名前は初耳だった。

　日本側から見ると、「黒船来航」でも、アメリカ側から見ると、「日本遠征」（THE　U.S.　EXPEDITION　TO　JAPAN）である。ジャーナリストのB・テイラーが「ニューヨーク・トリビューン」（1853.12.23付)に寄稿した記事のタイトルが、まさにこれだった。（この「ニューヨーク・トリビューン」の実物も展示（企画展）してあった。）　

　アメリカ側の資料（ペリーの子孫から寄贈された本や、記念コインまである）を見ると、特に「日本遠征」の感を強くする。さらに、黒船来航は、日本にとっては、大事件でも、先述のT・テイラーの記事などは、ほとんど他の記事に埋もれかかっている。

　それでも、日本遠征で、アメリカで日本への関心が高まると、以前の日本についての本からの引き写しが行われた。いつでも、偉大なのは、ファースト・ワン（最初の一人。第一人者）である。他は、猿真似の追従者たちにすぎない。

　また、開港資料館には、『ペリー提督日本遠征記』（1856〜1858刊）も常設展示されている。この中でペリーは、日本の職人の手先の器用さは驚異的で、やがて製造業で世界と肩を並べるだろう、と予見している。

　なお、開港資料館のすぐ隣には、香港に本社を置いた、イギリスのジャーディン・マセソン商会Jardine Mathesonの跡地がある。現在では、シルク博物館の位置にある。地下のショッピング街では、高級家具が売られていた。

　ジャーディン・マセソン商会は中国とのアヘン貿易で、莫大な利益を築いた商社だ。当然、アヘン戦争を裏から操作した。かつての日本人は、ジャーディン・マセソンを「英一番街」と呼んだ。特筆すべきは、日米修好通商条約の際、「アヘンの輸入は厳禁」と明文化したことだろう。横浜税関の資料展示室にその資料が展示されていた。

　なお、みなとみらいの海岸沿いでは、移動に電車（みなとみらい線は、2004年の2月に開通したばかりなので、古い路線図には載っていない。）を使うのはもったいない。洋館と呼ぶのが相応しい建築物が通り沿いにならんでいるからだ。

　その多くは、今では、博物館などに姿を変えている。その数が多いため、横浜以外の地域にあったなら、確実に入館していたであろう博物館も、今回は、時間の都合上、涙をのんで断念せざるを得ない場合が多かった。

　開港資料館を出ると、立て続けに横浜市発展記念館と横浜ユーラシア文化館を回った。

　横浜市発展記念館は、正直言って、名前負けしている。実物資料を出し惜しみして、パネルの発表が中心なのには、落胆した。これでは、高校の文化祭の展示発表とさほど変わらない。小中学生を対象にしているのだろう。横浜について、本当に何も知らない、という人には勉強になるかもしれない。

　横浜ユーラシア文化館の方は、貴重な資料を出し惜しみせずに展示していて、大変素晴らしい。青銅の短剣など、ここで初めて目にするものも多かった。もっとも、展示物は、横浜とは何の関係もない。文字通り、ユーラシア大陸の文化品を集めている。

　時間がなくて両方回れない時は、名前に騙されず、横浜ユーラシア文化館の方を優先した方がよいだろう。

　横浜税関資料室をこなし、ここで趣向を変えて、横浜美術館に行った。個人的に気に入った作品が多く、収穫は多かった。何しろ、面積が広い。

　横浜美術館には、ポール・セザンヌの「ガルダンスから見たサント＝ヴィクトワール山」が展示されている。この絵は、私が授業を受けている教授（文学）のお気に入りで、著書の表紙に使っていた。

　なお、リカちゃん人形を裸にして、首を切って磔にした、ほとんどウケねらいの絵画もあった。女性客は誰一人して、このくだらない作品をまともに鑑賞していなかった。

　さらに、クイーンズ・スクウェアを見学して、ランドマーク・タワーへと向かった。
　
　ランドマーク・タワーの69階展望台からは、横浜の海岸線が一望できる。273メートルの展望台は、日本で最も高い。東京タワーの展望台250メートルより高い。身を乗り出して、垂直降下を見ると、不自然な高さに頭がクラクラしそうになる。

　晴れていたので、富士山も見えた。北東方向には、新宿のオフィス街と六本木ヒルズの森ビルがかすかに見える。たとえ、食事を削ってでも、ここの展望台の入場料（\1000）は、ケチるべきではない。

　学びの仕上げに、県立神奈川歴史博物館へと向かった。かつての横浜正金銀行が博物館になっている。今では、建物自体が、国の重要文化財の指定を受けている。横浜正金銀行は、日露戦争の際、戦費の調達のため、外債の発行を執り行った。貿易面での、政府系の金融機関である。戦後は、東京銀行として出発した。

　なお、横浜正金銀行の設立には、福沢諭吉と大隈重信が深く関わっている。初代頭取の中村道太を当時、大蔵卿の大隈に推薦したのが、福沢諭吉だった。そのため、横浜正金銀行には、慶応の学閥ができあがる。

　全体として、県立神奈川歴史博物館は、正統的で文句なし。

　最後は、横浜の生の空気を感じようと、中華街を踏破した。中華街は、食事時ともなると、人々の熱気でムンムンしている。人力車も走っていた。相場としては、中華料理のバイキングが\2000くらいで食べられる。

（ただし、金銭的な都合で、私は朝っぱらから、夜、家に帰るまで、水とコンビ二のおにぎり１個しか食べていない。自腹の日帰り取材旅行で、ひたすら勉強面にお金を注ぎ込んでいるので仕方がない。というわけで、中華街を食事せずに、通り抜けるのは、空腹でかなりつらかった。）

　とにかく疲れた。だが、１日の予定の出来としては満足できるものだった。

　なお、私が今日１日で歩いた距離は、おそらく標準的な観光コースの２〜３倍はある。私は、歩くスピードと体力には自信があり、しかもできるだけ「見貯（みだ）め」をしてこよう、という方針だった。

　従って、観光目的で、私の辿ったコースを真似をするのはあまり薦められない。（私のように）入場料なり、博物館で販売している資料の代金がかさんで、食事を抜かざるを得ないというのは、旅の想い出が台無しになる危険があるので、もっと薦められない。

　やっぱり、横浜は、金銭に余裕を持って、２泊３日かなんかで、ゆっくりとのんびり歴史を散策するのに適している。（了）

　山田宏哉記

http://hiroya.web.infoseek.co.jp

[3686] Re[3674]『 [7029] 「米軍の捕虜虐待は日帝の韓国人拷問と同格」のウソを読んでの感想です。投稿者：青山省吾さん』について 投稿者：バード 投稿日：2004/06/05(Sat) 18:41:03

こんにちは、バードです。
（いつものことですが、）青山省吾さんの重掲[3674]の中に、私としては、重視したい文章が多々見受けられます。

《その１》

＞アメリカのメディアはイラクでの捕虜虐待でバツが悪いのか、
＞日本統治時代の韓国でのムチ打ちの刑を引っ張ってきていま
＞す。（重掲[3674]より）

これはニューヨークタイムスの記事ですね。
「大韓帝国時代（1905年 = 朝鮮併合以前）の笞刑令（= 軽犯罪でかつ、罰金が払えない時のみ適用 日本にはない方式）」、「写真は朝鮮併合以前の1905年に撮影されたもので、当時の日本側人士による見学風景だと思われる。併合後は、朝鮮総督府により残酷だとみなされ禁止された朝鮮式刑罰だ。」とあり、日本人がどの程度関与したかは不明ですが、どうみてもアメリカの虐待の方がはるかに残酷であろう。
一方は（当時の）国内法に基づく刑罰であり、他方はいかなる法的根拠も持たない収容者虐待である。一方は百年前のことであり、他方は今年起っていることである。一方は鞭で打つだけだが、他方は全裸にしたり、電気を使ったり、何でもありのようだ。一方は自国民の対する伝統的な刑の執行であるが、他方は他国民に対する虐待行為である。
だから、本当はこのようにとても比較しようもないほど次元の違うものを並べた、本当に陰湿な記事である、と言える。
現時点では、「アジア人も野蛮な人種だ」ということで、自国民（アメリカ兵）の野蛮さを薄めるためのみ機能するのであろう。多分その程度であろう。
しかし国民の多数または何割かには、たぶん非政治的な国民、政治音痴の国民の多くには、この「アジア人は野蛮で未開だ」という刷り込みが行われた可能性がある。
そして将来、数十年に渡って、脳裏にわずかに残ったこの刷り込みが、日米関係の変化如何では、何かもっと重大なプロパガンダを広める上で大きな効果をもたらすことになるかもしれず、その可能性は否定できない。
1938.2.13付の「ニューヨーク・タイムス」の日本の写真（重掲[3682]参照）が、「世界で最も軍国主義的国家、ファナティックな好戦的民族、世界の脅威−日本」というプロパガンダの一役を担ったように。
ところで、東大は過去のプロパガンダだけでなく、戦後の現在に通じるプロパガンダを研究しているのであろうか。していれば大したものだが、していなければ外交官試験や公務員試験の受験勉強をしているにすぎなく、昔話としてのプロパガンダを研究するのみで、本当のプロパガンダをその緊迫感を知らずに終るのではないか。実用に耐えない学識の山というところだろう。
話しを戻します。だからこういうことは、日本政府は厳重に抗議すべきだと思います。「百年前の国内法に基づいた自国民に対する刑罰と、現在行われている法に基づかない他国民に対する虐待を、並べて掲載するのは如何なものか。ニューヨークタイムスはこんなにも下劣で低級な新聞であったのか。」とニューヨークタイムスの権威に確かな汚点を刻（こく）し、「韓国、北朝鮮、日本、アジア人のため、厳重に抗議し、謝罪を要求する。」というような抗議を、日本の外務大臣か副大臣は行うべきだと、私は思う。こういう抗議によって、日本人およびアジア人対する誤解を生む可能性のあるものを、芽のうちに摘み取っておかなければならない、と思う。
こういう抗議は友好関係が存在している平常のときにこそ行わなければならない。なぜなら、関係が悪化しつつあるときにする抗議はもっと難しくなるからだ。
日本の外務大臣ら政府首脳のどなたか、こういう抗議をやったのでしょうか。私は聞いていません。（小泉首相が脅かされている［重掲[3681]・[3683]参照］ので、抗議ができないのでしょう。余談だが、こういう弱みを持った首相こそ、その政権は長続きするかもしれない。）
もしやっていなければ、メディアの政治記者やポチ保守を含めたメディアに出演多忙の安全保障専門の言論人は、政府に対して抗議行動を促すのが、プロとしての仕事であろう。こういう動きも聞かれないし、感じられない。
逆に言えば、こういうときこそ日本の立場を毅然と世界に発信できるチャンスでも在るのだから、国民が拍手喝采できる発言をすべきだと思う。それが、政界やマスコミ界に携わる人間の仕事だろう。
私はこのところずっと、日本のエリートを自認しているこれらの政財官マスコミ各界の人々に、ぬるま湯に漬かった、緊張感のない言動を感じている。だから、そういうプロとしての仕事を、彼らに期待しないようになっているが、まともなプロであって欲しいことには変わりない。（エリート層がしっかり自分の仕事をしないので、国民が自分の仕事に打ち込めなくなっているのだ。）
そう言えば、９．１１の時、ニューヨークの惨状を中継している映像の途中に、アラブ世界の子供や大人たちが笑いながらデモのような、それにしては穏やかな行進をしている映像を、ＣＮＮだったかアメリカのテレビ局はスッと説明も無く流したはずだ。まるで彼らは９．１１のテロを知らされて喜んでいるのだろうか、というような印象を起こさせる映像だった。
そのアラブ人たちの行進の映像は、９．１１とは全く無関係ということだった。しかし政治音痴の人間には、その印象が脳裏に刷り込まれたのだろう。
アジア人、アラブ人、アフリカ人など有色人種は、こういう将来に禍根を残すような（白人の、実はユダヤ人の）報道や言論に対しては、結束して監視し、各政府間で互いに連絡を取り合って対処すべきであろう、と思う。

《その２》

＞実際はアメリカ軍が降参を許さないので死ぬまで日本兵は戦
＞うしかなかったのですから。（重掲[3674]より）

（引用開始：ヘレン・ミアーズ『アメリカの鏡・日本』メディアファクトリー：1995年７月）

一九四五年二月には早くも、和平打診に関する情報がアメリカの新聞で報道されている。当時、この提案は公式に無視、ないしは否定されたが、ようやく、その事実を裏づける証拠が出てきた。三月には日本政府が和平交渉の可能性を模索していたことは事実だ。交渉は中国を仲介者とし、一九三一年以前の国境線を基礎とするものだった。（Ｐ１４３）

（引用終了：『アメリカの鏡・日本』）

とありますが、このあたりを指しているのでしょうか。
私はサイパン陥落の時点で日本政府は和平交渉をして終戦にすべきだったろうと思っていました。
だから、日本政府は和平交渉をしないで、日本兵と日本国民を無駄死にさせたというふうに、ずっと考えていました。
まあ、これは後世から振り返ってみた数ある見解のうちのひとつにすぎませんが、しかし、そういう早い時点で和平交渉を申し込んだとして、アメリカがそれに応じたであろうかと考えてみますと、最近の私は疑問に思うようになりつつあります。たぶんアメリカは無視したのではないかと思えてきます。
そういえば絶対的な戦力格差にもかかわらず、アメリカ軍はゆっくりゆっくりと迂回しながら太平洋を進軍してきた。あれは人道的な人命尊重ということで米兵の損害を少なくするための配慮からそうしたと思っていましたが、実はそうではなく、東南アジアの独立を宣言した地域を元の米英仏欄の支配下に戻すこと（植民地主義の継続）、そしてソ連に参戦させ戦後に冷戦という新たな火種をヨーロッパと同様に東アジアに置くこと（新たな戦争の準備）、そういう戦後のあらゆる意味での世界戦略を検討しながらの、（また兵器をできるだけ大量に消費し使い切って、軍需産業の利益の最大化を計るということもあったのでしょう、）ユダヤ人がやりそうな、余裕たっぷりのじっくり料理を楽しみ味わいながらの戦争だったのだろう、という気がします。真っ直ぐ東京湾に進み、降伏を求めて早期に決着する方が（当時の戦力格差からすればそれは可能なはずだ）、人道的見地からすれば、東アジア、太平洋の国民全体にとってはるかに有益であったはずだと思います。そういうことを絶対に行おうとしなかった。この意味でも、当時アメリカは和平交渉を無視しただろうと思います。
いずれにせよ、アメリカが日本の和平交渉を故意に無視したということは事実のようですね。そういうことを私は最近知りました。こういうことを知っている国民は少ないのではないでしょうか。だから、アメリカ崇拝者が多いのではないでしょうか。
このような真実を、「史実」としてなんとか解明し、「国民史」のひとつとして日本国民に広まってほしいですね。特に若者にこういう歴史を教えるべきだと思います。

《その３》

＞とにかく白人は自分が間違っていても屁理屈や偽証を持ち出
＞してゆずろうとしないですね。謝ったり、自分の非を認める
＞とその小さな穴からドンドンつけこまれるし、実際、白人達
＞自身がそうやってつけこんで難癖を付けて世界中から分捕っ
＞てきた歴史があるし。（重掲[3674]より）

理不尽ですが、その通りだと思います。これが国際社会ということですね。
説明は省きますが、真の国際人はユダヤ人ですから、国際社会もユダヤ人の考えで動くのでしょう。
これも説明は省きますが、「ユダヤ人は解釈の天才である、一つの事実に対しそれぞれ４９通りのやり方で良いこととも悪いこととも証明できる民族である」と見ることができます。
ということは、ある事実に対して肯定的な解釈を４９通り、否定的な解釈を４９通りできるということです。これは日本人のような半端な理屈家さんどころの話ではありません。だから、情勢次第で解釈を徐々に変化させ、いつの間にかやっぱり彼らの有利な情勢になっている、ということになるのでしょう。
国際社会はそういうユダヤ人が、唯一ユダヤ民族のみがもっとも得意とするところですから、何世紀も昔から世界の他の諸国民にとっては恐ろしいところなのです。
「国際社会は厳しい」と日本人はよく口にはしますが、それは戦争が始まる直前のような特別なときの話しで、平時の平和時はそうでもないだろうと、日本人は結局そんなふうにしか考えていないのではないでしょうか。しかし国際社会は平時でも休むことなく将来の利益を求めて、蠢（うごめ）いているのです。
「国際社会＝ユダヤ人が、ユダヤ人のみが最も得意とする舞台」ということ、考えてみればこの当たり前のことを、やっとつい最近自覚するようになりました。
世界のことを、そして国内政治のことも、ユダヤ人を念頭に置かなければ理解不能に陥ると思います。換言すれば、それを念頭に置いておけば、世界や国内の大きな動きはかなり解明できるようになるだろうと思います。
そしてこのような存在の事実を語らない安全保障問題評論家はすべて怪しい、あるいは信頼できないのだろうと思います。
世界基準を考える場合は、このような存在を把握しておくことが大前提であると思います。（了）

[3684] 構造とは何か？（５） 投稿者：ジョー（会員番号１３５６） 投稿日：2004/06/03(Thu) 22:48:04

さて、この世に存在する最大の構造は市場（マーケット）である。経済活動そのものが構造であると言ってもいい。

このことを初めて指摘したのは副島隆彦氏である。「ハリウッド映画で読む世界覇権国アメリカ」
のＰ２０５−２０７より引用する。

＜引用はじめ＞
実は、この「予定調和」思想は、スコットランドのカルヴアン派である長老派の神学者であったアダムスミスによって説かれた「神の見えざる手」ｉｎｄｉｖｉｄｕａｌ ｈａｎｄ ｏｆ　Ｇｏｄという思想とまったく同じものなのである。「神の予定調和」思想はそのまま「市場」という偉大な経済思想に成長した。「市場」とは「個々の人間の主観や願望などによって絶対に変えられないルール・掟・法則」のことである。たとえ国王や独裁者によっても動かし得ない、人間社会を貫く鉄の原理のことである。
＜中略＞
このことからもわかるようとおり、日本の知識人はすべて前近代の段階にある。日本の神学研究者にしても、果たして「神の予定調和」が何を意味しているか、誰一人わかってはいない。わかっているのは、私の先生の小室直樹だけだろう。さらにいうが、あのフランスの現代思想である構造主義Ｓｔｒｕｃｔｕａｌｉｓｍの「構造」も、この「神の予定調和」と同じものである。だから「構造」は人間たちの意思などでは変えられない。変わらないから「構造」というのである。わかったか！
＜引用おわり＞

「構造」も「市場」も「神の予定調和」思想をもとにしてるという指摘である。私は「市場」を含めてすべてを「構造」として取り扱っているという違いはあるが、本質的に同じことを述べている。


さて市場すなわちマーケットは「個人または団体が最大の利益を得ようとする意思」によりできたものである。私の構造の定義に沿って述べるなら「市場とは個人または団体が最大の利益を得ようとして、社会あるいは経済活動全体が最適になった状態である」ということになる。

再び、「選択の自由」から引用する。（Ｐ６１）

＜引用はじめ＞
アダム・スミスが天才としてのヒラメキを見せたのは、売り手と買い手との間における自発的な交換（これを簡単にいえば「自由市場」）から発生してくるいろいろな（相対）価格がうまく調整し、その結果、すべての人の生活が以前よりはよくなるようにしてくれるのだと、気が付いた点だ。「それぞれなりに自分自身の利益しか追求しておらず、経済秩序を生み出そうなどとはまったく意図していないというのに、これらの多数の人びとの活動は、結果的にそのような秩序を発生させることができるのだ」という考えは、アダム・スミスの時代においてひとつの驚くべき考えだったが、今日にしてさえ依然としてそうだ。
＜引用おわり＞

新聞の社説にも、小さな政府とか民営化をすすめるべきだということがよく取り上げられる。この理由は、政府あるいは公部門が小さくなれば税金が安くなるとか、公的なものはとかく非効率だから減らせばそれだけ効率があがるからだと言われている。

これ自体は確かに正しい。だが、実際はそれだけではなく、その背後には思想というか哲学がある。それは、この市場という構造を人為的なもので歪めないようにしなければいけないということである。

分子の構造のところで「人為的なものは最適な安定構造をとれない」と述べた。市場もまったくこれと同じで、人為的なものすなわち政府がつくる規制は一見正しいように見えても、どこかで市場そのものを歪めるのである。

また政府と民間では市場でのルール自体が違う。民間というのは最大の利益を得ようとして活動している。これはまさに上の市場の目的に沿っている。これに対して政府というのは、利益は関係なく、主に権限の増大をその目的としている。従って分子の構造で書いた「制限を変えると構造は不安定になる」がここでもあてはまる。「ルールの違うものが構成要素となることで市場は不安定になる」のである。

ちなみにこのルールを変えて全体主義の国となったアメリカの終末を描いた物語がアインランドのＡｔｌａｓ Ｓｈｒｕｇｇｅｄ （肩をすくめたアトラス）である。利益の追求ではなく、利他主義という自己犠牲と他人への思いやりを経済活動の根本ルールとした結果、経済活動が危機に陥り、各地で暴動がおき、社会そのものが破綻していく。物語の最後で、ニューヨークの町の灯までが消え、まっ暗になっていく様子が印象的であった。なお、この本は太田龍氏によると、ロスチャイルドによるアメリカ近未来予言の書であるらしい。

以下つづく。


副島先生へ
「小室直樹氏が「小室直樹の学問と思想」の構造機能分析のところを書き直したのだ」というご指摘どうもありがとうございました。

小室直樹氏は「構造というものは相互連関であり、マトリックスあるいは多変数関数で数学的に表現できる。その結果、いくつかのパラメーターをうまく制御すれば人為的に構造を最適化させることができる」と考えていたのではないかと思います。

これに対して私は「構造というものは複雑系であるから、人為的に制御できないのだ、自発的に安定にしたものが最適なものであり、それが自然法則（ナチュラルロー）なのだ」と考えています。

これらについてはまた調べて、書き込みしたいと思います。

[3682] 東大に新聞プロパガンダをみにいく 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/03(Thu) 18:42:57

　今日（2004/06/03）、東京大学総合研究博物館で開かれている新聞プロパガンダ展に行ってきた。正式名称は、「プロパガンダ1904-1945――新聞紙・新聞誌・新聞史」展である。丸の内線の本郷三丁目下車。東大の赤門をくぐり、右手の奥にある。総合研究博物館は、駒場キャンパスの美術博物館よりも、質・量ともに優れている。

　王子製紙が協賛とだけあって、物質としての新聞紙に重点が置かれている。ユニークだった。

　入り口すぐ側には、人骨標本を包んだ古い『毎日新聞』があった。グチャグチャに丸められ、茶色に変色し、文字など殆ど判読できない。普通の人ならただのゴミとしか判断しないだろう。しかし、とにかくインパクトがあった。これは、半分受け狙いだろう。しかも、それが成功している。

　本当の意味での奇抜な芸術品は、最初の入り口付近だけだ。後は、オーソドックスに、新聞が額縁（がくぶち）に入れられて展示されている。前半が、西洋の新聞で、後半が日本のものである。

　迷わずチリ紙交換に出してしまいそうな破れた新聞でも、相応の空間に展示されると、「貴重な資料」に変身してしまう。不思議なものだ。

　ナチス党の機関紙「フェルキッシャー・べオーバハター」や、ソヴィエトの機関紙「プラウダ」などのなかなかお目にかかれないものが多く展示されている。文字が読めなくても絵や写真をはじめとする紙面構成を見ているだけでおもしろい。名前だけでしか知らなかった新聞も、いざ実物を見ると、急に親しみが湧いてくる。解説文も、簡潔で余計なことが削ぎ落とされていてよい。

　西洋のもので、最大の見ものは、「ニューヨーク・タイムス」（1938.2.13付）だろう。１面全体にわたって、ナチスの政権奪取5周年記念式典、ムッソリーニの閲兵式にならんで、日本の写真が掲載してある。それが何と、女子挺身隊が銃を担いで田舎風景を行進している写真なのである。しかも、その脇に、柔道で相手を投げ飛ばすシーンの写真が添えられている。枢軸国の中で、明らかに日本だけ浮いている。

　日本の新聞の見ものだと、やはり「朝日新聞」だろう。シンガポール陥落を伝える1942.2.16付けの紙面には、「敵軍、我が軍門に降る」「天皇陛下御満悦」との見出しの文字が、躍っている。何でも、我が日本軍は、「神速」で進撃し、イギリス軍を無条件降伏させたそうだ。隣に掲示してある同時期の読売新聞よりも、表現は激しい。（これは何も、間違っているわけではない。）　

　戦前の朝日新聞は、何かと悪口を言われることが多い。だが、私はこのような激情に満ちた報道スタイルが嫌いではない。少なくとも、一見、客観報道をしている振りをしながら、偏向しているよりはよい。

　ただし、展示されている記事は、とても全て読む気にはならなかった。よほどの大事件なり、大人物について書かれた記事でなければ、散発的すぎて、とても読むに値しないのだ。50年以上も前の、細かい犯罪者の刑罰とか、今更どうでもいい。だが、それは仕方がない。新聞は、その時代をリアルタイムで生きている人を読者として想定しているからだ。

　新聞を理解するためには、相当の予備知識なり暗黙知を必要とする。昔の新聞を読むと、それがよくわかる。それでも、飛行船シェッペリンの世界一周の際の、来日（1929.8　霞ヶ浦）などは、同時代特有の興奮感が新聞を通して伝わってきて興味深いものだ。

　昼食は、本郷キャンパス前のオムライス亭でクリーム・オムライスを食べた。その際、隣の席で同一人物が、官庁訪問と合コンの話をゴチャ混ぜにして話していた。こんな会話が聞けるのも、本郷キャンパスならではのことだろう。

　なお、この博物館は、誰でも無料で入れるが、博物館の入口で記帳することになっている。その際、学内と学外の区分を書く欄があった。圧倒的に、学外からの見学者の方が多かった。素晴らしい博物館なのに、「東大もと暗し」である。

　ひとつのテーマについて、これだけの資料を企画展として展示してしまう東大は、やはりすごい。相当の収蔵品を抱えていないと絶対に無理だ。次の企画展も、行くことに決めた。（了）

　山田宏哉記

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[3680] 離れザル 投稿者：ppp 投稿日：2004/06/02(Wed) 17:25:27

副島隆彦　様

闇からの書き散らし文にもかかわらず、ありがとうございます。
失礼は承知の上での投稿でしたが、副島様が反応することはないと考えていました。どうせ投稿は消されるだろうと。当然消されてしかるべき内容ですから。確かにあなたを甘く見ていました。認めます。
匿名でのみ威勢の張ったことばかり言う奴はたいてい臆病者です。
わたしもそうでしょう。
あなたの著作に出会ったのは１０年程前です。以後の主要な著作は読んでいます。わたしがなぜ周りから見ているだけで、近づかないのかはそれなりに理由があります。あなたに関わるということは、それだけで政治的な行為です。これは社会一般の組織、ボランティア団体、会社であれ、同好会であれ、何であれ人が集まる集団に内在します。これは１０代の後半から２０代前半に味わった経験から学びました。
深く考えもせず、なんらの覚悟もなく興味本位で軽率に「集団」関わると辛酸をなめるだけでなく、取り返しのつかない結果を生むことがあります。もちろん、そうやって成長もするのですが。

当分あなたにお会いすることはないでしょう。一生ないかもしれません。

あなたの業績はすばらしいものです。これからもあなたの著作は読み続けるでしょう。

これを「離れザル」とあなたは確か言っておられましたね。

もしお会いするときが来たら正式にご挨拶いたします。

わたしの前回の投稿は自身で削除します。
感度の悪い「電波」で失礼しました。

ppp

[3679] ppp とかの匿名の投稿者は反省しなさい。ちきんと自己紹介しなさい。実名が恥ずかしいなら、それは勘弁してあげますから。 投稿者：副島隆彦 投稿日：2004/06/02(Wed) 08:49:30

副島隆彦です。　下↓の「３６７７」番の　ppp 君とやらの投稿文を読みました。

君は、私の本を２０冊も読んでくれているそうだし、学問道場のネット文章もよく読んでくれているそうだ。それで、なかなか良いことを書いてくれてありがとう。
それなら盗む読みに来るのをやめて会員にさっさとなりなさい。お金が無いなら免除会員としてすぐに承認します。

君のような元気な人で、私の思想にそれなりの理解を示してくれるが、しかし私に近づいては来ないで、遠くから見ている、という人たちのことを、私は重要な位置（ポジション）の人たちだと思っています。

それでも、私としては、以下のような指摘が現れることは分かっていました。
私は、先週の木曜日（５月２７日）に、以下の藤井厳喜の本を作った編集長に会っています。

（転載貼り付け始め）

ところで藤井厳喜の『新円切替』は読んで内容は参考になったが、この本は副島本の剽窃ではないか？内容の半分以上の共通しているぞ！
こいつを許していいのか？2匹目のどじょうなどといって放置している場合か？このコウモリのようなパペット野郎を、いつもの罵倒で一刀両断切り捨てないのか？パペットのくせに愛国派を自任しているぞ！

（転載貼り付け終わり）

副島隆彦です。私は、酒の席でもあったのですが、なぜなら、この編集者は私の本も作ってくれた人だからです。私は、彼に向かって、約２時間、ずっとどなっていました。「どういう考えで、こんな、私の本の明らかな剽窃本（ひょうせつほん）『新円切替』を作ったのですか。恥ずかしいとは思わないのですか。引用文の形で、きちんと何カ所に私の文を載せるとか出来なかったのか。編集者として、そういう忠告も著者に出来なかったのか。　藤井という人は、岡崎久彦の子分を買って出て、「日米（真の）保守会議」とかを作った人物で、ロックフェラーの系統の日本人の手先をやっている人のひとりだ。私は、彼ときちんと話すからその場を作って下さい」　というような趣旨のことを話した。
プレイジャジズム（plagiarism ,　盗用、剽窃）がどんなに恥ずべき事かを、アメリカでは中学生、高校生がレポート assignment を書くときにさえ、徹底的に教える。宣誓ませさせる。そういう事をあなたも知っている人ではないか。・・・等々を私は、激しく言った。

ppp 君。君は、私をまだ甘くみていますね。私は上記のような人間です。死ぬまでこの生き方と考えは変わらないのです。君程度の人たちには、私の決意の深さが分からない。

君は、匿名、仮名で、こういう軽口を書き込んできて　、自分が高見にたって優越している立場から私たち「学問道場」一門を眺めておろしているようだ。一度、私に私信をくれて、それで君に、上記、藤井厳喜の本について、私が激しく話したことを、君に話すから、それを、ここの重掲にあとで、詳しく報告してくれませんか。それぐらいのことはしなさい。　あんなに威勢のいいことを、私たちに書いて寄越したのですから。

それから、君の書いた以下の部分だが、

（転載貼り付け始め）

「『小室直樹の学問と思想』（弓立社刊）の橋爪氏が書いた大部分は後の校正段階で、小室先生本人が自らペン入れして大幅に訂正しているとの発言は大いに納得。そうだろう。ならば、副島氏の書いた大部分も同じように小室氏が訂正しているということだ。

（転載貼り付け終わり）

副島隆彦です。小室直樹先生が、加筆で訂正したのは、タルコット・パーソンズの社会学の基本のところの、「構造」や「構造機能分析」の記述のところであって、橋爪大三郎が、不正確に書いた箇所だけを、小室先生が、丁寧に赤ぺ入れしたのであって、その他の、私と橋爪の、小室学問・思想への評価や、年代をおった解説などについては、小室先生は、何も手を加えていません。
ppp 君とやらは、この『小室直樹の学問と思想』を買って読んだのですか。自宅にあるなら、もう一度しっかり、該当箇所を探し出しで、読み直しさい。そうしたら納得しますから。「ならば、副島氏の書いた大部分も同じように小室氏が訂正しているということだ」というような、見得を切った段平（だんびら）を振りかざすような横柄な書き方はやめなさい。君が何歳なのか知らないが。

一度、丁寧に自己紹介をして、私と会うか、それとも、このまま、やっぱり名無しの権兵衛で、ピピピ　という　ひよこ　のような臆病者の生き方を続けるのか、それは君の決断次第です。

副島隆彦記

[3678] 灰とグラスのさいたま新都心をゆく 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/06/02(Wed) 05:26:10

　ＪＲさいたま新都心駅。改札を出て、アーケイドを西へ抜けると、高層建築とスーパーアリーナが広がる。灰とグラス（透明）の色彩を基調としている。空中の広場には、樹木が整然と植えられている。あたかも地上にいるかのようだ。

　立体的に張りめぐらされた歩道が、暗にここが新都心であることをアピールしている。

　日が暮れると、壁や床に埋め込まれた灯りから、白色や原色が照らされ彩（いろどり）を添える。ガラス張りの高層ビルからもれる、蛍光灯の光が夜空に引き立つ。余計なものもない。アッシュとグラスの彩りといい、おそらくは、昼よりも、夜の見栄えを重視している。

　さらに、現在進行形で開発が続けられている。その目玉は、600メートル級の高層タワーをさいたま新都心に誘致するという計画だ。もし、実現すれば、カナダのCNタワー（553メートル）を抜き、世界最高峰のタワーとなる。

　なお、現在、日本で最も高いビルは、横浜のランドマークタワーで296メートルだ。しかし、現在の世界基準では、地上300メートルを超えないと、超が付く高層ビルとは呼べないだろう。世界で最も高いビルは、「タイペイ（台北）101」で509メートルある。

　北朝鮮のピョンヤンホテルも、地上300メートルある。こともあろうか、日本は、何と北朝鮮にビルの高さで負けているのだ。高さは権力なり威光と密接に結びついている。単純に、高い方が強くて偉い。情けない話だ。（中国は、すでに400メートル級のビルを複数持っているので、日本は完敗である。）　　

　それはさておき、さいたま市に、何もかもが、旧来の埼玉の田舎くさいイメージとは相容れない異空間が出現した。たとえ、県知事の上田清司（うえだ　きよし）と建設業界（≒ヤクザ。建設会社に○○組という企業が見受けられるのは、もともと両者は重なっていたためとされる。）との関わりが深いとしても、こうも美術品のような施設が目の前に出来上がると、ついつい許してしまいそうだ。

　2001年、さいたま市は浦和・大宮・与野の３市が合併して生まれた。もともと、埼玉は「彩の国」を自称するものの、東京のベッドタウンのような位置づけで「ださいたま」とか言われていた。終戦直後には、東京都民は、大きなリュックサックを背負って、埼玉にさつまいもやカボチャを買いに来ていたのだ。もちろん、闇市である。もっとも、その恩義は、とっくの昔に忘れられた。

　３市の合併に伴って、埼玉県の県庁所在地も、浦和からさいたま市へと変わった。地理的には、県庁は現在も浦和区にある。浦和駅前の県立図書館や北浦和公園の県立美術館などの主要な文化施設も、浦和が引き継いでいる。

　その県庁の一角に、茶色の４階建ての埼玉県立文書館がある。ここには、室町時代以来くらいからの行政文書などが眠っている。また、北条氏や足利氏など、埼玉にゆかりのある為政者たちの印章や古文書（こもんじょ）が展示されている。もともと、県立図書館の分館としてスタートした。誰でも利用できるが、普通の人は来ない。

　いかにもお役所という感じはする。閲覧室の利用には、「利用する目的」を書かなければならない。しかも館員が「調査・研究と書けばいいですよ。」などと正解を教えてくれる。ならば、全く意味がない建前だけの項目である。

　私は、自分の住んでいる市町村や興味のある街について、あれこれと閲覧室の図書を引っ張り出して調べた。多くは非売品の資料である。多くの発見があり、有益だった。あまりにローカルで全国的な重要性もないのでいちいち具体的な内容はここには書かないが。

　それでも、このように郷土の資料館に通うなどして、自分の住んでいる街の歴史等を調べることは、意義のあることだ。今の私は、自分の住んでいる街の歴史等を無視して、愛国心なり、世界平和を叫ぶような人々に、不健全な匂いを嗅ぎ取る。ライフスタイルなり、実生活が欠落している。これは、思想なり宗教に憑（つ）かれた状態だ。

　県庁よりも、さいたま市の市役所の方が、敷地も建物も新しく立派である。県を挙げて、新しいさいたま市に肩入れしていることがわかる。

　帰りは、武蔵野線の西浦和駅で下車し、荒川に沿って、秋ヶ瀬公園（あきがせこうえん）と彩湖（さいこ）の畔（ほとり）を歩いた。秋ヶ瀬公園はさいたま市、彩湖は戸田市に属する。彩湖は、埼玉と東京の水道用の貯水湖だ。

　秋ヶ瀬公園周辺は、夜には、半径300メートル以内には、人家もなく、誰もいないという静寂が味わえる。「ン」を濁点にしたような奇妙な動物なり虫の声が辺りに響いている。
　
　今夜は満月に近かったので、月明かりで影が出来た。大抵の都会人は、月の満ち欠けによって、夜の明暗が微妙に異なることを忘れてしまっている。月の明るさは、近くに人工の照明があるとわからない。

　何も、風流人を気取るわけではない。ただ、灰とグラスの人工都市を観た後の口直しには、ちょうどよかった。（了）

　山田宏哉記

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[3676] Re[3672]: Re[3671]: RAGE　AGAINST　THE　MACHINE 投稿者：minotaur 投稿日：2004/05/31(Mon) 17:52:22

>ＲＣ：以下の記事によると、「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(意訳：体制への怒り)」は、解散してないそうです。

レイジアゲインストザマシーン名義では解散をしました。現在はヴォーカルのザック・デ・ラロッチャ(この人が主に政治的な活動家)を除いたメンバー3人に新ヴォーカリスト(クリス・コーネル。元サウンドガーデン)を追加して「オーディオスレイヴ」として活動中。
現在は政治的なバンドではなくなりました。私は97年のフジロックフェスティバルで台風の中、彼らの演奏を見ました。有名なチェ・ゲバラの肖像をかかげてものすごい激しい音楽をザックのラップに乗せて演奏をしました。ものすごい暴動のようなかんじでした。若者の日ごろの鬱憤を晴らすような。観客も彼ら見たさにこのロックフェスティバルに参加したようでした。彼らのファーストアルバムはお坊さんが焼身自殺を遂げるジャケットでロックファンには衝撃的なアルバムでデビューしました。ロックにラップを乗せて政治的な発言をするバンドなどオーヴァーグラウンドではいままでみたことがなかったのですが彼らの登場でアメリカのロックシーンどころか世界中の模倣バンドを産みました。彼らがだすアルバムは発売同時に全米ナンバーワンを獲得していました。今ではTV・格闘技番組などで彼らの曲をよく耳にします。みなさんもどこかで彼らの音楽を聞いていると思います。一見、暴力的な過激派だとおもいますがギタリストのトムモレロなどはハーバード大学を主席で卒業して議員の秘書を勤めていたり、ヴォーカルのザックはメキシコ系の革命家と芸術家の息子であるなどインテリジェンスな面をもっているバンドだと思います。ヴィデオクリップはNY証券所を営業停止にするヴィデオ(スリープナウファイアー)で写真にうつっているのは右がザックで左のギターを持っている人がトムモレロです。このヴィデオクリップにマイケルムーアも出てきて、逮捕されるところで終わります。歌詞はここです。

http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Special/RageAgainstTheMachine/SRCS-2263/index.html

映像は彼らのミュージックDVDで見られます。

[3675] 鷹狩りの地・井の頭恩賜公園を歩く 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/05/31(Mon) 14:58:39

　昨日（2004/5/30）、吉祥寺（三鷹）の井の頭恩賜公園（いのかしらおんしこうえん）に出かけた。自然文化園は、時間の都合上、分館の方しか回っていない。

　井の頭公園は、徳川家光が鷹狩りの地として訪れた場所だ。荒井 魏 (著)『天下人の自由時間』（文春新書）を読むと、信長・秀吉・家康が鷹狩りに熱中する様子が描かれている。戦国時代から江戸時代にかけて、大名クラスの人間は、余暇に鷹狩に熱中したようだ。

　プラスチック製の白鳥ボートが所狭しと浮いていた。これが、井の頭池の景観を台無しにしていた。吹き上がる噴水に虹がかかっていたのが、せめてもの救いだった。

　ここは、都会の喧騒を忘れる場所どころか、都会の喧騒そのものだ。これは、おそらく出かけたのが、日曜日だからではなかったと思う。公園管理局は、「都民の憩いの場」と謳うものの、「未開の原住民に会えるパックツアー」みたいな不自然さがある。ボート・テニスコート・競技場・ジブリの美術館と、あまりにテーマパーク化してしまっている。

　なお、狩りということに関して言うと、ベトナム戦争を描いた名画『ディア・ハンター　Deer　Hunter』（鹿狩り）の「ディア」は、「親愛なる」（dear）ではなく、「鹿」（deer）の意味だ。

　アメリカの田舎で鹿狩りをしていた平穏な若者３人組が、ベトナムに赴く。ベトナム兵に捕らえられ、無理やり死のルシアン・ルーレットをやらされる。どっちの捕虜が死ぬか、周りの連中は賭けるのだ。

　強運にも、主人公は６連単式の銃に、度胸を示すような素振りで３発込める。そして、仲間の相手と自分のコメカミに当てて空砲だった。すると、このギャンブルの支配人たちに銃口を向けて、引き金を引く。これが発射され、脱出に成功する。

　この場面を、確率で考えるとおもしろい。最初に仲間の相手が空砲の確率は、3/6。自分が空砲の確率は2/5。ここで、ベトナム兵に向けて発射すれば、3/4の確率で、実弾が発射される。つまり、この作戦がうまくいく確率は3/20しかなかった。

　従って、実際には、このケースでは、一か八かで、いきなり敵に向けて引き金を引いた方が確率的には、得だった。いきなり敵に向けて発射すれば、3/6の確率で敵兵を倒すことが出来る。

　ベトナム兵の非人道的な行為を目の当たりにした主人公たちが見たものは、アメリカ軍も捕虜のベトナム兵にルシアン・ルーレットをやらせて、どちらが死ぬか賭ける光景だった。この過程で、主人公の仲間の精神が壊れておかしくなっていく。この映画は、観て損はない。（副島先生のハリウッド本でも高く評価されている。）
　
　井の頭公園について、積極的に書きたいと思うことがあまりないので、どうしても話題が反れてしまう。吉祥寺駅周辺の奇抜なセンスの身なりをした若者たちも、肌に合わなかった。公園の春の桜がとても綺麗なそうだが、花見をしながらバカ騒ぎしている連中の様子が、ありありと浮かんできて、あまり行きたいとも思わない。

　興味深いことに、井の頭公園には、ホームレスらしき人物が、見当たらなかった。少なくとも、青のビニールシートやダンボールはどこにも見当たらなかった。もし、私がホームレスだっとしても、この不自然にテーマパーク化された公園には住みたくない。

　御殿山（家光が鷹狩のさい、つくった休憩舎の跡。他に、縄文時代の遺跡も眠っているらしい）を回り、弁財天に賽銭を入れて、祈願して、公園を一周してさっさと帰ることにした。それでも、小鳥の森や玉川上水、第二公園の方は、人が少なくて、比較的落ち着くことが出来た。

　ただし、都心で植物に触れる、ということでは、目黒の国立科学博物館附属自然教育園に、遠く及ばない。また、自然教育園付近には、ジブリよりも大人向けの松岡美術館がある。

　松岡美術館の見物は、何と言っても、ペルシャ陶器と古代インドの彫刻である。ペルシャ陶器（赤色研磨土器からイスパノ・モレスク陶器まで）は、おそらく陶器としては、世界最高である。日本の伝統的な茶碗や縄文土器にほとんど興味を抱けない私でさえも、その美しさに圧倒された。中国の陶器よりも、人を惹きつける。多くの財をなした人たちが、ペルシャ陶器に入れ込むのも無理はない。

　また、古代インドのシヴァ神（破壊を司る）やヴィシュヌ神（維持を司る）の精緻な彫刻もすごい。一体この細部までこりにこった彫刻を作り上げるのに、どれだけの労力と時間を投入したのだろう、とこちらが心配するほどである。なお、創造神のブラフマーは、さほど人々の尊敬も芸術家の興味も得られないそうだ。実際に、ブラフマーの作品は、１点あったかなかったか、くらいである。

　帰路の途中、井の頭公園も、有料化して人を少なくすれば、もう少しはよい公園になるだろう、と考えた。もっとも、おそらく私はもう行かないが。（了）

　山田宏哉記

（追記）

青山省吾さんの体験記は圧倒的におもしろいですね。関西に出かけた折には、ぜひとも釜ヶ崎・飛田新地を散策しなくてはなりません。それから、副島先生が学生時代に東京中を散策していた、という話は、私も初耳です。嬉しい偶然の一致です。

http://hiroya.web.infoseek.co.jp

[3674] [7029] 「米軍の捕虜虐待は日帝の韓国人拷問と同格」のウソ 投稿者：ロシアチョコレートを読んでの感想です。 投稿者：青山省吾 投稿日：2004/05/31(Mon) 00:16:30

こんばんは、青山省吾です。

さて、５月１０日にロシアチョコレートさんが「アメリカ政治情報メモ」に投稿された“7029：「米軍の捕虜虐待は日帝の韓国人拷問と同格」のウソ”に関しての感想を書きます。（ロシアチョコレートさんの情報収集は本当に凄いです。）戦争に負けたとはいえ日本は本当に弱い、悲しいぐらいに立場が弱いと実感する出来事です。歪曲された戦前の事を持ち出されて、今回は人と金を出してもこんな具合ですから。珍しくドイツ軍の虐待が出ないのもドイツがフランスと共にＥＵの盟主になっているから気兼ねしているからでしょう。
以下：ロシアチョコレートさんの投稿から貼り付けます。→

→貼り付け終了
アメリカのメディアはイラクでの捕虜虐待でバツが悪いのか、日本統治時代の韓国でのムチ打ちの刑を引っ張ってきています。このあたりの振る舞いは身の回りにいる無法者と変わりないです。例えば “あんた間違ってるよ”って態度を注意されたら、“そういうお前は人に偉そうに言える立場か？何様や”って開き直る類の人と一緒です。

捕虜虐待からも分かるとおりアメリカ軍の気質が上等なのか怪しいものです？！巷で言われる“民主的なアメリカ軍は紳士で軍国主義一色に洗脳された日本軍はキチガイ”はアメリカの嘘の刷り込み効果です。実際はアメリカ軍が降参を許さないので死ぬまで日本兵は戦うしかなかったのですから。

とにかく白人は自分が間違っていても屁理屈や偽証を持ち出してゆずろうとしないですね。謝ったり、自分の非を認めるとその小さな穴からドンドンつけこまれるし、実際、白人達自身がそうやってつけこんで難癖を付けて世界中から分捕ってきた歴史があるし。

ここら辺の白人の考え方が典型的に出ているのが、ベンジャミン・フルフォード氏が書いている一連の本です。大上段にアメリカ白人は正しい、日本人は間違ってるの一点張り。カナダ白人だけど白人から見たら色がついてる人種がやる事為す事はどんなに正しくても間違ってるんでしょうね。

ベンジャミン氏の本には日本の自殺者が政府統計で年間３万人ぐらい出ているとあります（インチキ統計なので実際は2,3倍はあるのでは）。自殺の元凶のアメリカ白人にはベンジャミン氏は何も触れず自殺の原因は全て日本政府の癒着の構造で締めますからね。

電車の飛び込み自殺でミンチになった日本人と収容所でなぶり殺されたイラク人はなんら変わりはないと思うのですが。イラク人の場合は直接的にアメリカ軍に殺され、日本人の自殺者の場合はアメリカに吸い上げられるので間接的にジワジワ殺されるぐらいの違いではないでしょうか。

白人メディアの欺瞞に対して“お前らは何様だ！！”とうことで終わります。

[3673] “[3669]ドヤ街・山谷と遊郭・吉原のあいだで”を読んで 投稿者：青山省吾 投稿日：2004/05/30(Sun) 02:39:53

こんばんは、青山省吾です。
なかなか、日が経つのが早く５月も終わりです。いろいろ考える出来事があるのですが、仕事に目茶苦茶追われているわけでもないのですが日が過ぎていきます。

副島先生が書かれているとおり、山田宏哉さんの東京近隣の話はおもしろく、違和感なく読むことが出来る文章をサラッと書くあたりは才能ですよね。

南千住あたりの様子、時代背景など池波正太郎好き（“鬼平犯科帳”、“仕掛け人藤枝梅安”）の私としては興味深かったです。公儀の時代の江戸は現在のＪＲ山の手線の中ですから、当然、人が嫌がるものは江戸の朱引き外に処刑場、遊郭、斎場、部落と都市の区割りをしてますよね。私が住んでる関西で言ったら大阪の釜ヶ崎・飛田新地、京都・奈良は歴史があるので点在してます。

山田さんの話を読んでいまして、私の釜ヶ崎の日雇いに行ったことを思い出しました。もう13,4年ぐらい前の事になるのですが、釜ヶ崎での日雇い労働はどんな感じ、なんぼぐらい稼げるんだろうと興味半分と実利を兼ねて行くことにしました。

その前に釜ヶ崎界隈はどんな所かと言うと通天閣があったり、ジャンジャン横丁という安い飲み屋が連ねていたり、動物園があったり、遊郭があったりとごった煮状態です。ただ、人足寄せ場の実情だけはメディアで断片的に聞くぐらいでした。
＞釜ヶ崎・飛田新地はこんな感じです。→
http://www9.ocn.ne.jp/~jitian/japan/osaka/taiyoshi/taiyoshi.htm
http://nodasuka.com/under/owk/owk.htm

まずは、釜ヶ崎で日雇いの仕事するにはどこで探せばいいのか？当然フロム・エー、デイリー・アンにないです。記憶が曖昧ですが、スポーツ新聞だったか、釜ヶ崎界隈の駐車場の金網のサラ金の看板と一緒に並ぶ労働者随時募集の土建屋だったのか忘れました。とにかく電話したら、電話の向こうの声は明日の朝5時に始まるとの事でした。朝が早いのでその日はサッサと寝て、次の日始発でトコトコ動物園前まで行きました。まだ、寝静まっている時間なので釜ヶ崎も静かだなあと思いつつ、目的の土建屋を目指します。5分ぐらい歩いたでしょうか、土建屋に着いてビックリ。おっさんらが100、200人ぐらいひしめいているではないですか！！

その情景はと言いますと市場にそっくりです。どんな感じで運営されているかというと日雇いのおっさんら1人1人が学食でよく使うプラスチックの番号が付いた券を持って手を上げ、7,8名いる手配師達が “白の30！！緑の12、よし、おまえもやピンクの3！！と5，6人ぐらいから12,3人に振り分けそのまま作業車に乗って現場直行です。

その情景を横目で見ながら、受付に行くと“にーちゃん！！安全靴あるか？ないとあかんで！！と受付の人、“￥3000であるから、それやったらいけるで！！”と朝早く来て無駄足に終わるのもなんなので買いました。“はい券と靴。あそこやで”と実に簡潔です。そう肝心のお金ですが日給￥8000か￥9000でした。この時点で靴代を引かれたので￥5000か￥6000がこの日の稼ぎです。

並んでみたら分かるですが手配師がおっさんらの年齢、風貌を判断、加味して実に上手く人を振り分けています。例えば10人の現場としますと核となるしっかりした人を2.3人ごく普通ぐらいに働きそうな人を4，5人、50後半のヨレヨレの人を3人といった具合です。あと、見ていて思ったのが生意気そうな人とかは選ばれず、ずっと立ったままです。従順そうな人、真面目な感じの人が優先でした。

さて、私は7，8人ぐらいの単位に分けられバンで現場直行です。運転する人も日雇いの人で行く先は不明、聞けば分かるんですけどね。現場に着いたら豊中市の緑ヶ丘とういう値段のはる住宅街の造成でした。大阪地場のサブコン大末建設がやってる現場で、大末建設の現場監理の人が私を一目見て“学生でしょ。危ないのはおっさんらにまかして見といてね”って。考えてみたら２０代前半は私一人で、後は３０代後半、４０代、５０代ですから無理もありません。現場も造成は済んでいて、上下水道のコンクリ枠のレベル合わせでしたのでノンビリしたものでした。

ノンビリした現場といっても土方仕事をした人なら分かると思いますが、人間が動物だと感じる弱肉強食の部分が強いのでヘラーっとはしてたら、なめられ損します。日雇いの１人に広島から出てきたという包丁を持たしたら人を刺しかねない精神病のおっさんがいて、極力サボろうとして私にこれをやれと言ってくるのですが、“おまえがやれや！！”と言い返しときました。やるんやったらやるで！！としとかないと、つけあがってくるのは目に見えてますし、結局損するのは自分なので。

この現場は広島の精神病のおっさんを除いてはいい人ばかりだったので良かったです。現場を任せられていた３０代後半の運転していた気のいい人は帰りの道中、相棒の人と“焼肉いくか飛田（女の人を買いに）行くか？”と盛り上がってました。そこで、私は次のように納得“飛田とか、おっさんらも行くんや、考えてみたらかなりの需要や”と。あと、おっさんらの寝る所もこの土建屋が持っている6,7階建てのマンションとのことでした。朝の人間セリ市のあった直ぐ横の建物でした。おっさんらは働いたお金はピンはねされた上に家賃でも上手いこと土建屋（ヤクザ）に吸い上げられるんだなあといろいろ考えさせらる車での雑談でした。

以上、終わりです。寝なくては！！

[3672] Re[3671]: RAGE　AGAINST　THE　MACHINE 投稿者：ロシアチョコレート 投稿日：2004/05/29(Sat) 17:24:19

＞今はライジアゲインスト座マシーンは解散しました。

ＲＣ：以下の記事によると、「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(意訳：体制への怒り)」は、解散してないそうです。

「Excite エキサイトミュージック」から貼り付け

（貼り付け開始）

　レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは、バンドのスタンスと同様、好戦的なサウンドを展開している。突進するようなサイケデリック・ロックは、アメリカを代表する反体制音楽とも言えよう。それは、60年代の消極的抵抗に比べると一層怒りに満ちた文化を体現しており、トム・モレロのギターが繰り出す凄まじいリフは、リスナーたちに行動を起こすことを呼び掛けるかのようだ。そして、ザック・デ・ラ・ロチャは、暴動を煽動する拡声器のかわりに、パーカッシヴなラップでメッセージを伝える。レイジの魅力の秘密は、ファンクの開放的なサウンド／パンクのアナーキスティックな抵抗主義／メタル・ロックの怒れる疎外感、さらに都心部の苛立ちを、革新的なヒップホップの形態に融合している点だろう。00年10月にザック・デラ・ロッチャが衝撃の脱退、バンド解散説も囁かれたが、新ヴォーカルとしてクリス・コーネル（ex.サウンドガーデン）の正式加入が発表された。

http://www.excite.co.jp/music/artist/182681/

（貼り付け終了）

「suchi today」から一部貼り付け

（貼り付け開始）

ニューヨーク証券取引所の前で演奏するレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンちなみに、NY証券取引場の長い歴史の中で、入り口のシャッターを閉めさせたのは
←レイジ・アゲインスト・マシーンとビン・ラディン。


http://suchi.srs.ne.jp/today/20020910.html

（貼り付け終了）

「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」の公式サイトから一部貼り付け

（貼り付け開始）

Go see Michael Moore's hilarious and disturbing documentary about the violent soul of America
http://www.bowlingforcolumbine.com/flash-02.php

http://www.ratm.com/

（貼り付け終了）

[3671] RAGE　AGAINST　THE　MACHINE 投稿者：MINOTAUR 投稿日：2004/05/29(Sat) 16:34:29

はじめまして。MINOTAURと申します。副島さんの映画本が大好きで
ここのサイトを発見しました。もう2年近く前からろむってますが。

マイケル・ムーアについていろいろかいてあるようなので
私の知っているマイケルムーア情報を書きます。

彼は反政府ロックバンド　レイジアゲインストザマシーン「RAGE　AGAINST　THE　MACHINE」というバンドのミュージックポロモーションヴィデオを撮っています。ウォール街で突然、そのバンドに演奏をさせて、その証券所を営業停止に追い込んで、マイケルムーアが逮捕されて映像が終了します。

今はライジアゲインスト座マシーンは解散しました。

マイケルムーアに興味があるかたはぜひこのプロモーションヴィデオをみてください。

彼らはほかにもいろんなブッシュ批判映像のヴィデオクリップがあります。かなり極左思考のバンドです。

[3670] 読者からのメールを転載します。 投稿者：副島隆彦 投稿日：2004/05/29(Sat) 06:40:07

副島隆彦です。　
このあと、アルル君が書いた「映画監督マイケル・ムーアの新作『華氏（ファーレンハイト）９１１（度）』の推薦文」（これは、小坂タカシ君が記事をまとめてくれたものです）の「ぼやき」の文章に私が冒頭割り込みで書きます。その前に、以下に一件、読者からのメールを転載します。この一ヶ月の間に、いただきました他の人たちからメールは、読者からのメールの転載」に載せます。

「３６６９」以下の山田宏哉君の、文章修行の仕方は、堂に入ったものです。こういう風に東京の中の旧居来歴の地を次々に訪れるのは、大変すばらしいことです。誰もが目先の生活に追われている時に、計画的に
旧遽をたどることは、文人（ぶんじん）としての将来の素養（そよう）になります。私も学生時代に、東京中のほとんどの公園や記念館を回りました。そのあと、テクテクとずっと古い町を歩き回りまして、夜になったら、そこの銭湯に入って、食事をして電車で家まで帰る、ということをやりました。そのとき既に、「私は、もう二度とこの記念館に来ることはないだろう。人生は一期一会（いちごいちえ）である」と言い聞かせていました。

それから、ジョー君ここに連載している力作『構造について』です。
私と橋爪大三郎（はしづめだいぞぶろう）が対談形式で書いたことになっている『小室直樹の学問と思想』（弓立社刊）からの、構造等についての引用についてですが、あれらの部分は、実は、橋爪氏が書いたあとで、校正段階で、小室先生本人が、自ら手を入れて、朱筆で、大幅に訂正しているのです。ですから、あれらの記述は、小室直樹自身の文なのです。このことをジョー君と皆さんにお伝えしておきたかった。

副島隆彦拝

（転載貼り付け始め）

＊＊＊＊さまへ
副島隆彦です
早くに、以下のお褒めのメールをいただいており、有り難う御座います。その後にも短いメールをいただいておりました。

私は、目先の原稿書きで疲れておりまして、そんなにいつも強靭な精神をしているわけではありません。ずっと目先の仕事に追われている、というのが私の日常です。それと、どうしても読まなければ済まない活字（新聞やネットからの情報や、本）を追いかけているだけでも疲れきります。

しかし、この生き方は既に自分の　style ですから、もう変えようがありません。さっさと今の生活から足をあらって、伊豆半島の方の漁村の町にでも引越して隠棲する生き方に変えたいと思うのですか、なかなか出来ません。隠棲（いんせい）と言ったって、どうせ怒りが込みあげたら、ネットにむかって書くでしょうから、それほど枯れた感じにはならないでしょう。

私は、例の「月面本」＝「人類の月面着陸は無かったろう論」（徳間書店刊）を書くことで、この４週間をほとんど投入しました。一昨日までかかりました。それで力を出し切って、それでやや憔悴（しょうすい）しています。他の人たちと同じように、勤務もあって、日常の業務をやりながら、空いている時間で書かなければいけないのがつらいです。今の私でも、物書き専業では食べてゆけないのです。それが日本の現状です。

貴女は、日本人の中にあって、ひろびろとした、世界に開けている価値観をお持ちの人であり、ある程度は自由に生きて来られたのでしょう。それでもそんなに生き易い国ではありませんから、いやなこともたくさんあったことでしょう。私は、自分と似た感覚、感受性をした人たちとの集まりを、結果的にこの「学問道場」でやっているのだろう、ということになります。この性質もまた、抗（あらが）えない避けることの出来ない事実です。群れることを嫌いながら、どうしても人間もまた、犬や猫や鳥のように群れたがることから自由ではありません。　お元気でお暮らしください。　副島隆彦拝


----- Original Message -----
From: ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
To: GZE03120@nifty.ne.jp
Sent: Wednesday, May 05, 2004 1:09 AM
Subject: お手紙を頂きまして有難うございます。

副島隆彦様
今日は、朝から嬉しくてたまりません。副島様からお手紙を頂きました＊＊＊＊です。お返事は、もちろん欲しかったので、無謀にも書いてはみたものの、とてもお忙しい方で、いらっしゃいますし、有名な方でもいらっしゃいますし、実際に副島様からのお手紙が読めるとは思ってもみませんでした。

本当にありがたく存じております次第です。もう何度も読んでおります。今日は、すっかり気分が、明るくなって、元気にすらなったようです。久しぶりにパンを焼きました。

副島様は、お優しい方で、いらっしゃいます。ちょっと日本人には、いないタイプの方のように存じます。膨大な学問に裏打ちされた本物の深い優しさを感じました。最も強い人間とは、優しい心を持った人です。副島様は、様々な深遠な学問を修められて、外には、この国に必須の啓蒙を、内には、完成された人格に到達されたのですね。ちょうど禅による覚醒を得たかのごとくです。

日本の事について、属国であると説かれるのも、厳しい批判を繰り返されるのもこの日本になみなみならぬ愛情があるからだと思います。

先月は、副島様のご著書を次々と読みに読みまくってました。それで、こんな泣き言など書いてしまって、後悔していたんです。読者の方々の引用を読むにつけ全く自分は、猿であるなあ、、次元の低い私信に対して英語の　hate　て感じをもたれたかも、、でも、すぐ次のお手紙を書きたかったのです。

それは、副島様が映画の「プレンティ」（原作デイビッド・ヘア、監督フレッド・スケピシー、メリル・ストリープ主演）がとても好きだと言う事を知ったからです。　私もこの映画が大好きです。ちょっと違う観点からなんですけど。

サム・ニールが大好きだったんです。最近は、王様の役などを好んで演じていますが、弱い男など演じるととてもうまいです。ヒロインと再会して、窓のところで、suburb..などとつぶやいて、過ぎてしまった日々と空しさを表現しています。毛布をかけてやって、部屋をでていくところの寂しさは、この映画の極みのように感じました。

お友達、、夢の中でヒロインは、優しく語りかけるのですが、最近アダプテーションのなかでもこの女優は空しさを表現しています。ご覧になられたかもしれませんが、空しいというのは、戦争闘争にも日常にも簡単に入り込んでくるものなんですね。

先日スタンレイ・キューブリック監督の人と作品をあつかった番組をテレビで見ました。彼は作品が少なく、その作品群は、先駆的であった為、ひどい誤解や中傷があったようです。番組の語りは、トム・クルーズでした。トム・クルーズは、キューブリックの最後の作品にでていま
すが、この作品は、キューブリックの家庭生活が、本当に幸せなものであったために生まれたそうです。

もしそうでなかったなら、、という仮定から出来た深い主題が流れています。副島様のお手紙を読んでいて、彼に似ていると思いました。どちらも巨匠でありよき家庭人であるというところが、です。ご本によりますと奥様には、勝てないとか、、天下御免の論客も細君には、というような文章が浮かび、ほほえましく思いました。

それでも、副島様の書きたい核のようなものをしっかり読まない人、特に自称チシキジン？などは、誤解だらけの解釈をくだすでしょうね。どうぞ気になさりません様に。オシベ、、雌しべ、、ああ、、西部すすむ（漢字変換できません）とか言う人、、いやあねえ、、湯豆腐みたいなお気楽な文章書いて、、

副島様の書かれていること全面異論なしです。でも一箇所ちょっと、、書いてもいいでしょうか？　身分もわきまえず、すみません。それって、鶏肉のことですけど。ケンタッキーフライドチキンの骨ですけど、私噛み切れるんです。チュウーインガムみたいにしばらく噛み噛みしてると食べれます。今畜生な奴(悪い言葉すみません）とか思い浮かべるとすごく歯に力が入ります。

副島様は、「日本は知識レベルが、鎖国になっている」とかかれています。そう思います。なぜ？　私事で恐縮ですが、お琴を習っていたのです。高校生のときは、どんどんいろんな曲を弾かせてもらいました。ところが、社会人になったとき、六段を１年以上も習わされたんです。もう十分弾けるのに次に進ませないんです。先生が。なぜ？

編物を習ったんです。先生が教えないんです。それで失敗すると　わあ、、て笑うんです。なぜ？　事務所で新人が手で書類に綴じる穴をあけていました。電動の機械あるのに教えないんです。パソコンなんか導入されたら大変。その講習会とか、私には、極秘なんです。(笑）つまりは、この意地悪な国民性、、副島様のおっしゃられる猿社会そのもので
すわ。それに知識欲なんてないし。私は、他の人たちから　お高くとまってんじゃないよおってよく言われたものです。私、鳥かも、、

「あなたはイタリアに行くのだから、貧乏じゃない、」副島先生の一本勝ち、、こいつ何書いとんじゃって思われたかも、、私もなんか笑っちゃいました。でも、友達の家に泊めてもらって、マンマの手料理、わたし教会が好きなもんで、教会の中には、絵画、彫刻、モザイク、すべて揃ってるんです。見学ただだし、、私はブランドって知らないんです。

日本の２０歳未満の人が、なぜそんな高価な服を買えるんですか。税関で、ローマで何を買ったのかと聞かれて、何も、、と答えるや、、なぜだあ、、かばんの中みせろと言われて、、とほほ。　時々寂しさに飲み込まれて、友達に会いたくなるんです。貧乏です。強調したくないんですが、、

今「欠陥英和辞典の研究」読んでいます。ちなみに私は「ジーニアス」を選んでました。でも和英は、ライトハウス使ってました、、イギリスの友達のお父さんが軍人さんなので、軍の階級をひいたら載ってなくて、電話したら、日本に軍隊はないからって答えでした。
辞書投げつけましたよ。さっきemail card　送らせて頂きました。でも副島様にはちょっと私の英語は、書けませんです、、

新刊がまたでるのですね。気をつけて、出たらすぐ買いたいです。楽しみにしています。アメリカの片田舎などで英語屋なんてなさらないで、いつまでもこの日本で活躍なさって下さい。この猿の惑星、、でも副島様は、使命をもって、日本に生まれたんだと思います。指導者として。

副島様学派は、急速に拡がっています。私には何もお手伝いが出来ませんが、いつも副島様を応援しています。　どうぞお体をお大切になさってますますの　舌鋒将軍（たとえが悪いかしら）　として君臨なさって下さい。　馬鹿たれどもをなぎ倒　し！！　長い手紙すみません。いつか読んで頂ければ、幸甚です。　　かしこ　　　＊＊＊＊

（転載貼り付け終わり）

副島隆彦拝

[3669] ドヤ街・山谷と遊郭・吉原のあいだで 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/05/28(Fri) 21:54:30

　
　ブランコの柵に、シャツと靴下が乾燥のために、掛けられている。その向こう側には、倦怠感に満ちた老人がシートを敷いて寝転がっている。

　そこに一人の若い女性が通りかかった。深く帽子をかぶっている。顔はほとんど見えない。彼女は、明らかに周りの視線を気にしている。私は、横目で彼女の行く先を追った。彼女は、一軒の性風俗店の従業員用のドアをすばやく開けて、中へと消えていった。

　２００４年５月２８日１４時５０分。私が、吉原公園で目撃した光景だ。ちょうどこの場所は、日雇い労働者の街、山谷（さんや）と、江戸時代からの遊郭の街、吉原（よしわら）のあいだにある。この二つの街に、南千住（みなみせんじゅ）を加えた一帯は、人々の怨念に満ちた場所である。

　ＪＲ南千住駅を降り少し南に歩くと、骨（コツ）通りがある。そのすぐ脇に、処刑具を持った「首切り地蔵」と小塚原処刑場跡がある。固有名詞からして、もう普通ではない。小塚原処刑場は、かつては「浅草はりつけ場」と呼ばれた。江戸時代の罪人を推定20万人強ほど、処刑して埋められた場所だ。首切り地蔵は、その供養のために立てられた。

　実際の処刑はエタ・ヒニンと呼ばれる人々が行った。この付近は、かつての被差別部落があった場所でもある。

　死体の埋葬といっても、罪人には土を軽くかぶせる程度だった。従って、野犬などの野生動物が、罪人の屍体をむさぼり食って、あたりには壮絶な異臭が漂っていたらしい。

　ただし、特筆すべきは、杉田玄白は、ここでエタ・ヒニンと呼ばれる人たちが、罪人の死体を解剖する（これを「腑分け」という）のを見学して、オランダの解剖書の正確なことを確認したことだ。当時、「腑分け」の名人は、医者以上に人体を知り尽くしていた。少しくらい、この付近の住人たちが日本の医学の進歩に貢献したことに触れないと、あまりに気の毒だろう。

　事実、この一帯には、異様なほど神社と墓場が多い。神社が多いのは、人々の怨念が溢れていたことの裏返しだろう。私は、南千住にある、吉田松陰と彰義隊（しょうぎたい。戊辰戦争の旧幕府軍側の部隊。上野の決戦で破れた）の墓に参拝してきた。

　この骨通りを南に５分ほど歩くと、山谷のドヤ街の入り口になる。この「ドヤ街」という言葉は、宿（ヤド）から来ている。スラム街みたいなものだが、ニュアンスが少し異なる。ドヤ街は、極端な、安宿が集まった場所だ。本当に特殊な宿しかない。山谷では、建物自体が、他では見られない、特殊な形をしている。山谷以外では、まず見られないだろう。南千住の北東側では、次々と現代的な数十階のマンションが建設されていて、それがかえって山谷の物質的欠乏を際立たせている。

　ドヤ街を歩き回った結果、料金を掲示してある宿に関しては、最も安い宿で１泊\1900、最も高い宿で\2500だった。多くは、一泊\2000強だ。表に値段が書いてある宿は、たいてい「ビジネスホテル」と呼ばれる、比較的「立派なホテル」である。

　もっとも、「立派なホテル」と言っても、ホテル・オークラやパークハイアット東京を思い浮かべてもらっては困る。あくまで、山谷の中では立派と言うだけだ。４階以下のものがほとんどで、ほとんど強制収容所みたいな「ビジネスホテル」まである。

　もう、目を背けたくなるようなオンボロの宿は、たいてい宿（と呼べるのなら）の外に値段を掲示していない。開いた窓からは、強烈な生活臭が漂ってくる。「ビジネスホテル」と比較してみれば、こういう1部屋3畳くらいの広さの宿が、1泊\2000を切っていることは、ほぼ確実だろう。山谷では、一部屋に何人も詰め込まれる、という話はよく聞く。

　宿泊している人たちの多くは、どうみても「理由あり」の日雇い労働者たちである。若い女性は、見当たらない。完全に男の街だ。私も、一人でこの付近を歩くのは、正直、怖かった。私は、21世紀になった日本に、こんなすさまじい光景が見られるとは思っていなかった。

　この格安宿にも泊まれない貧乏労働者は、公園や道端で粗雑に寝転がっている。大半は、もう白髪混じりの老人に差し掛かった人たちだ。彼らに、厳しい肉体労働に従事できるだけの、気力と体力が残っているか、非常に疑問である。どう見ても、先細りである。

　骨通り沿いで、上半身裸で体操している男がいても、誰も気にしない。何しろ、警察が「外出は明るく目立つオシャレから」という異様なポスターを貼っているくらいだ。山谷の内部にある交番は、3階建てで多くの警官が待機している。よっぽど問題が起きるのだろう、と容易に想像がつく。そういう場所だ。

　本当にその辺の道端に格安宿に泊まる金さえないホームレスがあふれ返っている。ここが、日本の最底辺社会のひとつ、と言って差し支えないと思う。

　皮肉なことに、この山谷と南千住の隣にある街が、ソープランドで有名な吉原である。ただし、山谷の住人は、貧乏だから、たいてい吉原で遊ぶ金など持っていない。

　遊女は、遊女で、哀れなものだった。遊女は、遊郭で死ぬと、南千住の通称「投込寺」（浄閑寺）に、運ばれて、文字通り投げ込まれたらしい。今では、無縁塔や新吉原総霊塔の下に埋葬されている。「生まれては苦界　死しては浄閑寺」と刻まれた句が、哀悲を誘った。浄閑寺に投げ込まれた遊女の平均寿命は23歳くらいだったそうだ。

　吉原寺も、同じように遊女に追悼している。ただし、そのすぐ脇には、派手なソープランドの看板が並んでいる。何だか悪い冗談みたいである。遊郭（個々の店は「傾城」と呼んだ）から、売春禁止法の施行（1956年）によって、トルコ風呂へ。トルコ大使館の抗議を受けて（1984年）、ソープランドへと名前を変えたが、やっていることは昔から変わらない。因果なものだ。

　結局のところ、権力、と言うより人間は、見たくないものは、一ヶ所に集めてしまう。実際に散策して、それがよくわかった。南千住一帯には、処刑場も、火葬場も、墓場も、ドヤ街も、売買春もある。見事なまでに、平穏な生活を送る上で「見たくないもの」が揃っている。しかも、「臭いものに蓋」と言うが、この付近は、本当に文字通り、何処からともなく異臭が漂ってくる。公衆トイレには二度と入りたくないくらいだ。積極的に、自分の子供をこのあたりで育てたいと思う親はいないだろう。

　それでも、これらは人間が社会生活を営む以上、どれも、必要なもの、もしくは必要悪である。差別され、無視され続けた人々が、裏からこの社会を支えていたことだけは、忘れたくない。（了）

　山田宏哉記

http://hiroya.web.infoseek.co.jp

[3668] Re[3667]: 付け足し 投稿者：小島 投稿日：2004/05/27(Thu) 23:22:52

小島です。

DDIがカーライル系に買われたことに加えて、通信業界国内３位の日本テレコムもリップルウッド→ソフトバンクへと売り（譲り）渡されました。

→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040527-00000439-jij-bus_all
「日本テレコム買収を発表＝３４００億円で１００％子会社に−ソフトバンク」

（記事から引用開始）

ソフトバンクは２７日、米リップルウッド・ホールディングスなどから国内通信３位の日本テレコムの全株式を譲り受け、
１００％子会社化すると発表した。総合通信業へ脱皮したいソフトバンクと、投資資金を早期回収したいリップルの思惑が一致した。買収額は負債と優先株の肩代わり分を含めて３４００億円。
　孫正義社長は記者会見で「当社の消費者向けブロードバンド（高速大容量）通信事業に、日本テレコムの法人顧客と信用が加わり、
大きな融合効果が得られる」と強調。インフラの統合などで年１３５０億円の収益改善効果が見込めるため、「買収資金はわずか２年半で回収できる」と述べた。　（時事通信）

（記事から引用終了）

情報通信インフラに対して、利を貪るのは誰か、益を作り出すのは誰なのかをじっくりと見据えていきたいです。

[3667] 「腐りかけた肉が一番うまい」 投稿者：山口@福岡 投稿日：2004/05/27(Thu) 21:12:02

山口@福岡です。
お久しぶりです。

　いよいよ、次世代の生活インフラをカーライルグループが買収し
ようとしています。
日本の受け皿は京セラです。
金融資産だけでなくて、インフラ資産にも、今まで以上に注意をは
かる必要があります。
本の題名は忘れましたが、「腐りかけた肉が一番うまい」という言
葉を思い出しました。今まで以上に状況を見極めて能力を高めて、
うまみの部分を私たちが独占できる状況を持てるようにすることが
大事だと感じたニュースでした

（転載開始）
米カーライル、DDIポケットの買収交渉認める
　米投資ファンド大手カーライル・グループは27日、PHS（簡易型携
帯電話）最大手のDDIポケット買収について「現在売り手（KDDI）と
独占的な交渉を進めているが、まだ最終結論には至っていない」との
コメントを発表し、交渉中であることを認めた。京セラも同日、「最
終合意には至っていないが、カーライルからの提案を受けて（DDIポケ
ット株式の）買い増しを検討している」とのコメントを発表した。

　カーライルはDDIポケット株の60%を取得、京セラは現在の13%を計30%
まで買い増す見通し。
（転載終了）
参照先 http://it.nikkei.co.jp/it/news/index.cfm?i=2004052704216j0

（転載開始）
米カーライル、DDIポケット買収

　米投資ファンド大手カーライル・グループは京セラと組み、KDDI子会
社でPHS（簡易型携帯電話）最大手のDDIポケットを買収する。26日、KDDIと
基本合意した。買収額は約2200億円になる見通し。現在、移動体通信の
需要は携帯電話が中心だが、PHSは定額使い放題のデータ通信サービスの
顧客が急増中で、海外でも中国などで普及が始まっている。カーライル・
京セラ連合はDDIポケットを傘下に収め、これらの成長分野を強化していく。

　カーライルは株式の60%を取得、経営権を握る。京セラは現在DDIポケ
ットの第２位株主（出資比率13%）で、計30%まで買い増す。KDDIは10%を
維持する。前期末で1345億円の有利子負債はKDDIが引き取る。6月半ばに
最終合意し、今夏の手続き完了を目指す。KDDIは今後、収益拡大が続く携
帯電話事業「au」に経営資源を集中する。携帯電話子会社であるツーカー
グループについては将来、auが吸収する案を検討している。 (07:06)
（転載終了）
参照先 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20040527AT1D2608G26052004.html

[3666] 京橋の警察博物館にゆく 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/05/27(Thu) 01:29:12

　今日（2004/5/26）、京橋の警察博物館に行ってきた。茶色のレンガ造りの建物である。メインは、２階（警察の歴史史料の展示）と３階（銃器などの展示）だ。１階と4階は、主として子供向け、なので特に真面目に見る必要はないだろう。

　２階では、西南戦争（国家権力を背景にしているせいか「西南の役」と表記してある）の様子を描いた絵画が、印象的だった。いかつい顔をした「憲兵」（警官と書くより適切だろう）が、十手（じって。現在の警棒）を振り上げて、ひっとらえた「賊徒」（反政府側）に叩き落そうとしていた。

　一見しただけでは、一体どちらが正義の味方で、どちらが悪役なのか、よくわからない。「勝てば官軍（負ければ賊軍）」とは、よくぞ言ったものである。実際、警察の制服は、時代を遡（さかのぼ）るごとに、「大日本帝国」を髣髴（ほうふつ）させるような威圧的なデザインになっていく。制服も、歴代の実物が展示されているので、それがよくわかる。

　西南戦争の絵画のすぐ脇には、警視隊が使用したスナイドル銃が立てかけられていた。

　なお、一番の収穫は、仕込み杖の実物を見ることができたことだった。３階の、銃器類を集めたコーナーに展示してある。仕込み杖は、杖の外見をしながら、銃や刀を杖の棒に内蔵している。脇には、昭和初期のヤクザの抗争で使用されたと記してあった。他にも、警視庁公認の博物館にしては"物騒"な、銃器や日本刀が展示されていて、私は満足だった。そう、警察は突き詰めれば、国家の暴力装置なのである。

　後に、館員の方に、「熱心に勉強されていますね」と話しかけられた（メモを取りながら見学していたためだろう）ので、「仕込み杖は現在でも使われているのですか？」と尋ねてみた。すると、「現在では、仕込み杖は、銃刀法で禁止されています。昭和の初めは、規制するものがありませんでした。」と微妙に話題をそらされてしまった

　私は、銃や剣などの武器に関しては、いくら見ていても飽きない。その反面、どこぞの遺跡から出土した土器や陶器類のありがたさ、というのは、あまりわからない。主に陶器が展示されている出光美術館は、10分足らずで出てきてしまった。我ながら興味を持つ分野が、偏っていると思うが、仕方がない。

　また、3階には、浅間山荘事件で、殉職した警官の当日の身支度品を初めとして、歴代の殉職警察官の顔写真が並べられている。浅間山荘事件は、犯人たちを射殺しないで生け捕りにすることが警察の至上命令だった。本来なら、射殺して当然だった。しかし、日本の指導層は、犯人たちが死ぬと、英雄になってしまうことを見抜いていた。やはり今となっては、偏狭な連合赤軍側より、国家権力の方が何枚も上手だったと判断するしかない。実際、この事件をキッカケにするかのように、左翼運動の凋落が始まる。

　警察博物館と内容が類似した博物館に、明治大学刑事博物館がある。（明治大学の学生でなくても無料で自由に入ることが出来る。2004年に新しくできたアカデミー・コモンの地階にある。）

　ここでは、日本で唯一、実物のギロチンと「鉄の処女」（罪人を内部に閉じ込めて、扉を閉めると、身体中が串刺しになる。再び開けると、床が抜けて、死体は河に落ちた。）が展示されている。ギロチンと鉄の処女は、やはり間近でみると、圧巻である。

　「パンがなければお菓子を食べればいいじゃないか」と言って、フランス国民の猛反発を喰らったマリー・アントワネットは、わざわざギロチンに仰向けに寝かされて、落ちてくる刃が見えるようにして、首を切り落とされたようだ。正義の名の下に、こういう殺し方を思いつく人間の残虐性を思わずにはいられない。

　余談だが、警察博物館のすぐ近くには、国立近代美術館フィルムセンターがある。古くて、マイナーな映画を格安（一般￥500　学生￥300）で上映している。また、最上階は、映画の博物館になっている。まだ行っていない映画好きは、ぜひ一度足を運んでみることをオススメする。（了）

　山田宏哉記

http://hiroya.web.infoseek.co.jp

[3664] 投稿[3661] のメールマガジンの内容について。 投稿者：会員番号１６９１ 投稿日：2004/05/26(Wed) 20:02:05

　「拉致事件」の自分の立場は日本人一人残らず帰せ、この一点のみです。
以下２つの記事引用します。

asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/0525/017.html

（転載開始）

拉致被害者情報、「外務省に伝えた」　地村さん会見

　福井県小浜市の拉致被害者地村保志さん（４８）は、一家５人での帰郷から一夜明けた２５日、同市内で記者会見し、他の拉致被害者のうち数人についての情報を外務省に話したことを明らかにした。
この中には、北朝鮮で近くに住んでいた横田めぐみさん（失跡当時１３）や、妻の富貴恵さん（４８）と一時、招待所で一緒に住んでいた田口八重子さん（同２２）の情報も含まれるという。

　会見で保志さんは「（０２年１０月に）私たちが帰国し日本に住む決心がついたとき、私が知っている段階での、生存にかかわる情報を外務省に話した」と語った。

（転載終了）

SankeiWeb
http://www.sankei.co.jp/news/040525/sha105.htm

（転載開始）

曽我さん再会問題「政府が責任持って」と蓮池さん

　拉致被害者の蓮池薫さんが２５日行った記者会見の発言要旨は次の通り。

　【安否不明者】

　横田めぐみさんと増元るみ子さんの情報は政府の人に接触するたびに話している。家族には大きな線では話している。
会見での公表は今後の交渉に影響が出るかもしれないので控えたい。
横田さんは１９９０年代前半、増元さんは７０年代の情報で最近の情報ではない。

　【隔離生活】

　９０年代後半から隔離され、ほかの人と遮断された状況で生活した。日本で拉致問題が９７年ごろから高まったと聞いている。その時期と一致するのではないか。
（隠そうとしたのではないかとの質問に）ということでしょうね。首相訪朝のちょっと前から社会生活が始まった。

（転載終了）

　ここ１〜２日で解ってきたことだろうと思われるかもしれません。
そこで、一冊の本を紹介します（ちょっとしたベストセラーになったはずです）。
　拉致被害者蓮池薫氏のお兄さん蓮池透氏に「批判的」な方の文章からの引用です。

拉致被害者が語る言葉から考えたこと　蓮池透著『奪還』を読む 『派兵チェック』第１２８号（２００３年５月１５日発行）に掲載
太田昌国
http://www.jca.apc.org/gendai/20-21/2003/hasuike.html

（転載開始）

著者は、被害者５人の帰国前から、ひょっとしたら弟が北朝鮮によって「洗脳」されているのではないか、と恐れている。

帰国直後は、その危惧が当たっていたとしか思えない発言を、弟・薫は次々と行なう。兄・透が書いているとおりに、それらの発言を引用してみる。

　死亡したと北朝鮮側が発表している増元るみ子の弟・増元照明は、帰国翌日に行なわれた被害者と家族の面会時に「もし拉致被害者とその家族全員が帰ってきたら、金政権を打倒してやる」と言ったが、蓮池薫はあとで兄に対して、「何だあの人は。日本人はみんなああいう人ばかりなのか。ああいう思想は危険だ。兄貴も同じ意見を持っているのか」と言った。

　同じ日の夜、北朝鮮へ「戻る」日取りの相談をしているとき、家族からは「北朝鮮に戻る必要はない」という意見も出て、会議は紛糾する。その後で弟は言う。

「われわれは朝鮮から国交正常化のために来た使節団だ。正常化すれば、自由に行き来できる」「俺がここに来たのは朝鮮公民としてだ」「俺は向こうで日本が過去にやってきたことを肌で感じた。自分でも勉強したし、いろんな招待所で話も聞いた」「拉致は許した。責任ある人が俺に謝ったんだ。みんなよくしてくれた。だから許した」。

（転載終了）

　一冊の本も読まずの安易な陰謀論（『奪還』を土台に論を展開するならまだしも）。
「文藝評論家」とはそんなにお気楽な商売なんですかね。以上です。

新潮社
http://shinchosha.co.jp/cgi-bin/webfind3.cfm?ISBN=459901-8

（転載開始）

奪還―引き裂かれた二十四年―
蓮池透

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無法国家・北朝鮮と無能国家・日本。私は二つの国と闘わねばならなかった……。　
「弟はどんな人間になっているのだろう」再会の時、頭に浮かんだのはその疑問だった――平穏な生活を突然に破壊した「北朝鮮拉致」。残された家族の悲嘆と絶望、無為無策の政治家・警察・外務省への怒り、感動の帰国前後の騒動、そして“洗脳”との格闘。四半世紀にわたり国家犯罪と闘い続けた兄が真実を語り尽くす渾身の手記！

四六判／216ページ／1365円（定価）／ISBN:4-10-459901-8／
発行：2003/04/25

（転載終了）

[3663] 構造とは何か（４） 投稿者：ジョー（会員番号１３５６） 投稿日：2004/05/25(Tue) 21:44:52

前回は構造の例として言語、すなわちことばを上げた。今回は構造のもうひとつの身近な例として分子を見てみよう。

分子もまた構造を持っている。タンパク質の構造とかアミノ酸の構造とかいうことばを聞くことも最近ふえてきたが、これらはすべて分子の構造のことである。またＤＮＡが２重らせん構造を取っていることは非常に有名である。

さて、前回、構造とは「ある制限のもとで、各構成要素が自発的に最上の効果を得ようとすることにより、全体が安定した、または全体の機能が最適化した状態」であると定義した。この意味において分子は構造という名にふさわしい。

今、分子を構成しているのは電子とイオン核である。例えば、水素分子なら２つの電子と２つの水素イオン、窒素分子なら１４個の電子と２つの窒素イオン核（プラス７の電荷）からなっている。これらの構成要素は、特に何も考えるわけではなく、「違う電子は同じ状態をとれない」という「パウリの排他律」という規則のもとで、そのクーロン力を最大限に働かせながら自由に動く。そして、その結果、分子は最も安定な状態、すなわち最安定構造をとる。

さてこの分子構造をどう計算して求めるのかということが、どう構造を数学的に表現するかという点でおもしろい。ここでは代表的な分子軌道法を例にして見てみよう。

計算の際には、まず、ある位置にイオン核の位置を固定し、ミクロの力学方程式であるシュレディンガー方程式をたてる。ただし、パウリの排他律という「違う電子は同じ電子状態をとれない」という制限があるので、方程式にはこの効果も考慮する。そして厳密に正確な計算は不可能なので、変分法をもちいて近似計算をおこなう。具体的には、ある電子軌道をあらわす関数を考え、上記の方程式で計算して全体のエネルギーを求める。そして、全体のエネルギーが最小値をとるときの関数を実際の電子軌道として取り扱うのである。その後、イオン核の位置をいろいろ変え、さらに全体のエネルギーが低くなる状態を求めて終わりである。ちなみに、これを「一電子近似のもとのハートリーフォック法による分子軌道計算」と呼ぶ。

ここでおもしろいのは、人為的な計算よりも、実際の分子がつくる全体のエネルギーのほうが必ず低い、すなわち安定であるということ事実である。「自然は自然に最適になる」というへたなダジャレが理科系の業界用語として伝わっているが、分子全体のエネルギーは実験による測定のエネルギー、すなわち実際の分子エネルギーのほうが計算値よりも必ず低い。光がかならず最短距離を通る（フェルマーの原理）ように、自然とはかならず最適な構造を自ら選ぶものなのである。

またここで述べたパウリの排他律というのも大切である。これがないと実は多くの分子が同じ状態になり分子の多様性というものがなくなってしまう。また大きな分子では、すべての原子がくっついて構造は崩壊してしまう。

以上の２つのことを、表現をすこし変えて一般論として書くとこうなる。
１　構造では人為的なもの（例えば計算）よりも、自然なもの（実際の分子）のほうが最適な安定状態をとる。
２　制限（例えばパウリの排他律）をなくすあるいは変えると、構造は不安定になり、時には崩壊する。

以上の２つを頭にいれて、いよいよ市場(（マーケット）という最大の構造をみてみる。

つづく

[3662] 歯痛のことなど 投稿者：長（２５０２） 投稿日：2004/05/25(Tue) 11:57:07

　最近、歯痛に苦しみましたが、ようやく回復しそうです。そこで、以前に出したメールから。
　
（転載始め）

　皆様方も同様でしょうが、私の人生は歯で苦しんでいます。そもそも動物であるヒトが虫歯になる理由がわかりません。動物が虫歯になったら発狂死するともいわれます。いろいろ考えた結果、ヒトの歯はサルの歯と同じ構造なのに、サルが食べない肉を食べるから、虫歯になるのだと思います。肉食動物の歯は尖っていて、肉のカスが挟まらないですが、ヒトの歯は、肉を食べると挟まります。つまり、ヒトの歯は菜食用なのです。

（転載終り）

　私は別にベジタリアンを奨励しているのではありませんが、昔読んだ本に、食肉を１トン生産するのには、飼料が４トン必要とあった気がします。だから菜食の方が、効率がよいのだというわけです。考えてみると、牛は草しか食べませんが、肉も牛乳も作ります。
　
　そういえば、２２年くらい前に、桜沢如一という人の考えをもとにして、玄米と野菜を食べるコミューンを訪れたことがありました。この桜沢如一の理論は「マクロビオティック」といった名称で、欧米にも信奉者がいるともいわれるそうです。体を壊すのは本当に苦しいことなので、こういう方面にも興味を持ちます。勿論、健康で美食が好きな人を否定するものではありません。

　以前、書店で立ち読みしたのですが、ドクター中松氏は、独自の食事法（多分、菜食でしょう）を発明（？）して、１日１食、水を飲まず、睡眠４時間だそうです。考えてみると、飲食を最小限にすると、体の消化活動が少なくなって、体が疲れないという気もしますが。

　今、"A Devil's Chaplain" ( Richard Dawkins ) を読んでいる途中で、翻訳を買っていないのですが、その中で次のようにあります。

we are privileged to know the exact letter-by-letter sequence of massive DNA texts. It is claimed that more than 98 per cent of the human genome, when measured in this way, is identical with chimpanzees'.

（ 引用　p.８４）

This is how we can estimate that the split between humans and chimpanzees occured between 5 and 8 million years ago.
　
（引用　p.８６）

　８７ページには、human evolution は、 neoteny: evolutionary infantilization という idea についても述べられています。

　歯痛とは関係ない方向に行きそうなので、ここで終わります。

[3661] 拉致事件について 投稿者：神永史揚（1008） 投稿日：2004/05/24(Mon) 15:27:20

山崎行太郎氏のメルマガ「毒蛇通信」から転載します。
下記の様な内容は、頭にとめておく必要があるかもしれません。

転載開始
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文藝評論家・山崎行太郎の『毒蛇通信』
2004./5/24/
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蓮池・地村夫妻に「政治責任」はないのか？
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■「日・朝政府合作のメロドラマ」が隠蔽しようとしいるものは何か。

　さて、蓮池・地村夫妻の家族は全員無事帰国できたわけだが、ここで
言いにくいことだが、もっとも本質的な問題の一つを提起しておきたい。
　つまり、蓮池・地村夫妻の家族だけが、なぜ、帰国できたのか、とい
う問題だ。いや、なぜ、多くの拉致日本人が確認されている中で、この
夫婦と曽我さんだけが「帰国組」にはいれたのか。彼らの当初の「帰国
目的」は何だったのか、という問題だ。蓮池薫氏は、まだ日本の警察の
事情聴取も拒否しているらしい。それにしても政府は、なぜ、蓮池氏ら
への事情聴取、情報収集に早急に踏み切らないのか。
　蓮池薫氏らが飛行機のタラップから降りてきた時の光景を思い出して
もらいたい。われわれはすでにこの問題の本質を忘れようとしているが、
蓮池・地村夫妻は（曽我さんも含めて）単なる被害者ではない。
　蓮池・地村夫妻は北朝鮮が、拉致日本人の「一時帰国」という名称の
元に日本に送り込んだ「日本人工作員」だったのではないのか。その帰
国組のリーダー格が「蓮池薫」氏であったことは誰でも知っていること
だろう。彼らはどういう「使命」と「役割」を北朝鮮政府から託され、
そしてどういう条件の元に帰国を許可されたのか。
　小生には、彼らの帰国は「日本人妻帰国」の光景と重なって見える。
帰国した日本人妻は普通の日本人妻ではなかった。彼らは北朝鮮政府の
忠実な「宣伝工作員」としての役割と任務を担って日本に入国・帰国し、
そしてその証拠に日本の経済的な繁栄などには目もくれずに意気揚々と
北朝鮮へ帰っていった。彼女たちの役割は何だったのだろうか。
　蓮池・地村夫妻の担わされていた役割と日本人妻の担わされていた役
割は別物だっただろうか。そんなはずはない。

■蓮池・地村夫妻は単なる「被害者」ではないだろう？

　ここに不思議な事実がある。蓮池・地村夫妻が、記者会見で、曽我さ
んを含む帰国三家族のことしか話さないことだ。死亡や行方不明と伝え
られる拉致日本人についてほとんど言及しようとしない。何故なのか。
たとえ社交辞令だったとしても、一言ぐらいは言及するのが当然であり、
日本人としてそれが自然だろう。しかし蓮池・地村夫妻は奇妙なことに
「被害者」役を演じるだけで他の拉致日本人やその家族については一言
も触れようとしない。
　たとえば、「我々家族は子供も含めて無事帰国できましたが、まだ死
亡した人や行方不明の拉致日本人とその家族が残されています。ここで
我々だけが喜んでいるわけにはいきません。」と、なぜ、言わないのか。
いや、なぜ、言えないのか。なぜ、彼らは、他の拉致日本人の動向につ
いては全員が口を噤むのか。彼らの中には、「横田めぐみ」さんと同居
した経験のある人や、親しく家族ぐるみで交際していた人もいるという
のに、である。
　日朝政府合作の猿芝居の主役は蓮池・地村夫妻なのだ。この夫妻が、
拉致された日本人の「悲劇の家族」というメロドラマを演じている限り、
この問題の解明は進まないだろう。彼らが、北朝鮮で長い間、「日本語
教師」だったというならば、仲間の日本人とその家族がたくさんいたは
ずだろう。今、彼らの脳裏にそういう日本人の姿が浮かばないはずはな
い。
　北朝鮮で生き延びたのは彼らだけだったのか。他の日本人は、いつ、
何処へ消えたのか。知らないはずはなかろう。
　ところで、小泉政権が国民の意思を無視して、どんなに食料支援や経
済支援をしようとも、北朝鮮はそんなに遠くない将来に確実に崩壊・解
体するだろう。その時はじめて拉致問題は解決し、その真実が明らかに
なるだろう。戦後の日本共産党に長い間君臨し続けてきた議長・野坂参
三が、実は仲間の日本人を次々に密告し、虐殺・処刑に荷担していたと
いう暗い過去の事実が、ソ連崩壊後、はじめて明らかになったように。
　拉致被害家族の悲劇という「日・朝政府合作のメロドラマ」が隠蔽し
ようとしいるものは何か。小生が言いたいのは、テロ国家から無事帰国
した日本人を疑え、彼らの政治的過去を洗え、ということだ。


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●発行者プロフイール
山崎行太郎(yamazaki koutarou)文芸評論家。
埼玉大学講師。朝日カルチャーセンター講師(
小説教室)。慶応義塾大学文学部哲学科卒。同
大学院終了。東京工業大学講師を経て,現在,埼
玉大学講師。日大芸術学部講師。著書→『小林
秀雄とベルグソン』(彩流社)。『小説三島由紀
夫事件』(四谷ラウンド)。『遠い青空ー山川方
夫の生涯』(すばる)その他。現在→『月刊日本
』に『月刊・文芸時評』を、月刊誌『自由』に
『平成・文壇・血風録』を連載中。

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●編集・発行人…山崎行太郎


転載終了

[3660] 「征服されざるもの」とデ･ビアス社 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/05/24(Mon) 14:29:47

　インドの奥深くスキタイ砂漠。霧に満ちた谷間に、人々は羊の肉片を投げ入れる。谷底にはダイヤモンドなどの宝石が散乱しており、肉片に宝石が付着する。その宝石類が付着した肉片を、鷲がかっさらっていく。その後、人々は、鷲の巣に行き、宝石を回収する。有名な『ダイヤモンドの谷間』の伝説だ。真偽はさておき、紀元前800〜600年頃には、すでにインドでダイヤモンドの採掘が行われていたことが確認されている。

　19世紀後半以降のダイヤモンドの歴史は、そのままセシル・ローズCecil　Rhodes（1853〜1902）が創立したデ・ビアスDe　Beers社の歴史である。セシル・ローズは、高校世界史の教科書には、ケープ植民地首相（イギリス）の帝国主義者として登場するが、現代では、おそらくデ・ビアスの創業者という方が重要である。

　デ・ビアスは、ダイヤモンドの採掘権とマーケティングを独占的に支配し、「ダイヤモンドは永遠の輝き」の宣伝で、莫大な富を築き上げた。

　一般に、デ・ビアスの名前がさほど知られていないのは、わざわざ企業名を宣伝する必要がないからである。ダイヤモンド原石を一企業が独占していることが、あまり広く知られると、かえって不都合なことになる。

　昨日（2004.5.23）、東京ダイヤモンド・ミュージアム（御徒町）とタサキ・ジュエリー・ミュージアム（銀座）に行ってきた。JR御徒町の駅前は、宝石と貴金属の店で埋まっているが、どの店も家電のバーゲンセールでもやるかのように、宝石品を売っていて、非常に安っぽい。銀座の高級宝石店とは、比較することすらできない。

　東京ダイヤモンド・ミュージアムは、御徒町駅から歩いて10分くらいのところにある。客は私一人しかいなかった。受付で確認してみると、休日だと言うのに、午後4時に到着した私以前に、4人しか訪問客がいなかった。（訪問客は、記帳する必要がある。）しかも、午後5時で閉館である。有料（大人￥500）でやっている博物館なのに、こんなことで採算が取れるのか、他人事ながら心配になる。ただし、私以前に訪れたうちの一人が、所属欄に「早稲田大学」と書いていて、妙なところで縁を感じた。

　展示品を見ながら感じることは、ダイヤモンドの裏には、過酷な労働があるということだ。鉱山は、１カラットの原石を採取するために何トンもの岩石を爆破する。泥まみれになって、米粒みたいなダイヤモンドの原石を採掘をする黒人の姿など、奴隷制が現存しているみたいである。

　余談だが、ダイヤモンドの美しさの秘密は、光の屈折率を利用したカットにある。原石そのものは、ただのガラス玉みたいで、さほど綺麗とはいえない。

　ダイヤモンド・ミュージアムでは、デ・ビアス社の歴史を紹介するビデオ映像が流れていた。当初はただの宣伝かと思ったが、これが思いの他、ためになった。

　デ・ビアスのダイヤモンド原石のマーケティング方法は煩雑だが、要点を一言で言うと、一切の主導権は、デ・ビアスの側にある。デ・ビアスの側が、一方的に取引先を選定し、しかも血統重視（ユダヤ系の企業が優遇されるとされている）なので、陰謀論とも結びつきやすい。

　デ・ビアスは、市場へのダイヤモンドの供給量そのものを支配し、厳しい価格統制を行っているため、理論上、新たなダイヤモンド鉱山が発見されても、ダイヤモンドの値段が下がることはない。このような仕組みを築き上げたのが、セシル･ローズ亡き後の、ユダヤ人、アーネスト・オッペンハイマーである。さすが、ユダヤ人というべきか。だが、ダイヤモンドの語源が、「征服されざるもの」であるのは皮肉である。

　ダイヤモンドは、普通の白色の光を当てても、色の違いがわからないが、紫外線を当てると、紫になったり、オレンジや緑になることもある。これは、ダイヤモンド・ミュージアムで実際に目で見て確認してきた。

　見学後、銀座のタサキ・ジュエリー・ミュージアムへ向かう。これらのミュージアムは見学無料にもかかわらず、非常に内容が充実している。ところが、高級宝石店の５階にあるので曲者（くせもの）である。私は、まず、玄関で威圧されて、店に入ることができなかった。スーツを着ていたにもかかわらず、である。御徒町の安物宝石店とは大違いである。

　それでも、威圧されて店に入れなかった、では話にならない。何度も店の周りをグルグル回ってリラックスした後、ようやく店に入ることが出来た。その甲斐あって、有料のダイヤモンド・ミュージアムよりも、内容が充実していた。クレオパトラやマリー･アントワネットなど、歴史的な女性と宝石との関わりは興味深かった。物質としてのダイヤモンドだけでなく、文化や政治としてのダイヤモンドにも、かなり触れられていて、興味深かった。

　なお、私は、宝飾品そのものにも、デ・ビアスの方にも、興味がある。どちらか一方にしか興味がない（どちらにも興味がない）人が大半の中で、これはかなりの強みではないかと、最近気が付いた。女性的な感覚と、男性的な感覚が、うまく同居している。

　一般に男性は、サファイアやガーネット、トパーズやアレキサンドライトと聞いても、なんのこっちゃ、と具体的に宝石のイメージがわかない場合が多い。そういう男性には、このタサキ・ジュエリー・ミュージアムはかなり推奨できる。少しは、女性にモテるようになるかもしれない。ただし、ジーンズにTシャツ姿では、威圧されて店に入れないことは確実なので、それなりの身なりで行く必要はある。

　最後に、松屋銀座店（ブタ丼を売っている大衆店ではない）の１階にデビアスブティックがあるので、行ってみた。もちろん、買うお金などどこにもないが。　　（了）

　山田宏哉記

[3659] 旧制第一高校だった東大駒場キャンパスを散策する 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/05/23(Sun) 03:33:56

　先日（2004/5/21）、井の頭線に乗って、東京大学駒場キャンパス（教養学部）へ行った。駒場キャンパス内にある美術博物館が目当てだった。ちょうど、旧制第一高等学校時代の図書館があった場所が、博物館になっている。2003年に改装されて、非常にシックで落ち着いた雰囲気になっている。１階と２階が吹き抜けになっていて、開放感があった。

　大学の美術館にしては、よく取り揃えている。もちろん、同じ国立でも、専門の西洋美術館や近代美術館などとは、比べるべくもない。それでも、予算の制約がある中で、これだけの空間を作り出したのは、評価されてしかるべきだろう。個々の美術品についての感想は、完全に私の趣味の部類に入るので、ここではしない。

　それでも、ひとつ留意すべきことがある。それは、博物館・美術館のない大学は、どうしても文化と教養の深みに欠ける、ということだ。個人レベルでも、実物なり、本物を見ない人の教養など、たかが知れている。日本各地の具体的な美術品や工芸品も知らず、知ろうともせず、「世界に発信する日本文化」などと騒ぎ立てる連中は、何もわかっていない。

　ここの美術博物館が発行しているパンフレットのバックナンバーを次から次へと読んでいくと、美術博物館の発案者である教養学部の矢内原忠雄初代学部長には、先を見通す能力があったことがわかる。

　横山正氏が寄稿したエッセイ曰く、矢内原教授は「日本の大学にはどこにも図書館はあるが実際の『もの』から学ぶ博物館、美術館が欠けていることを問題にされ、新設の学部［教養部ではなく、教養学部］にそれを設けることにされたのである。」（美術博物館ニュース30　1999年）　これは、卓見である。

　美術博物館の見学後、駒場キャンパスを散策した。東大生と言っても、見た目は拍子抜けするくらい、ごく普通の人たちだ。ただし、全般的に東大の女学生の外見には、改善の余地が大いにある。

　また、誰も、私が他大生だと気が付かない。聞こえてくる会話の多くも、休みの日にどうする、といったたわいもないことだ。考えてみれば、当たり前のことだが、こういうことは、あまり当たり前のことではないらしい。マスコミが作り上げた東大生の虚像に最も迷惑しているのは、当の東大生自身だろう。

　ただし、東大の施設が日本で一番充実していることは、すぐにわかる。これは、本当だ。目黒の高級住宅街の中心にありながら、何のスポーツに使っているのかよくわからない広大なグラウンドがいくつもあり、キャンパスを歩いて横断するのに、20分程度かかってしまう。隣接する駒場公園も東大の庭みたいなものだ。都内の他大学に比べると、圧倒的に人口密度が低い。キャンパス内で、"梅狩り"をやっている人たちまでいた。

　施設面で課題が残るのは、せいぜい学食くらいなものだろう。私は、生協食堂のおすすめメニューになっている「ステーキライス」の写真を見た瞬間、ここで食事をするのは中止した。もっとも、言うまでもないが、これは大学にとって本質的な問題ではない。

　駒場付近は、勉強するには、おそらくこれ以上ない環境である。文京区の本郷キャンパスよりも、よい。本郷は、つい1950年代には、泥臭い下町で、今にも壊れそうな木造家屋の裏道を、わらじで出前の丼（どんぶり）を片手に持って少年がいたりした。そういう写真が残っている。

　駒場キャンプスの付近には、井の頭線をはさんで、筑波大付属駒場中学・高校（通称、筑駒）がある。筑駒の東大進学率の高さの最も大きな要因は、地理的な理由だと思う。毎日、「駒場東大前」で下車して、直に東大生と接していれば、自然と自分も東大に進学して当然だと思うようになるだろう。私が大学受験をしていた頃には、１学年約150人中、90人くらいが東大に進学していた。

　閑静な高級住宅街に、緑に恵まれた駒場公園があり、自然と歴史遺産が残っている。例えば、駒場公園内には、加賀百万石の前田利為侯爵の旧駒場邸の和館と洋館が残っている。家自体が文化財だが、庭の池には鯉が泳いでいて、見事な日本庭園になっている。

　駒場公園内の近代文学資料館には、川端康成の記念室が設けられている。川端康成は一高出身で、10代後半から、10年ほど、毎年伊豆に出かけている。ちょうど、『伊豆の踊り子』の主人公も一高である。川端の強い筆圧の生原稿が飾られていた。

　こういう文化環境が整っているということは、細かい学校のカリキュラムがどうこう、よりも決定的に重要である。

　もっとも、私は、個人的に筑駒の生徒にあまり好感を感じない。良い意味でも悪い意味でも、所詮、住む世界が違う。私の同級生に筑駒に進学した男がいた。運動オンチで何をしゃべっているのかよくわからなかったが、数学はよくできた。それでも、筑駒に進学したということで、彼は父母たちの英雄になった。私も、高校時代、成績が悪い時は、両親に彼の名前を引き合いに出された。いつも、「なんだ、あんな真面目さが取り柄のだけのつまらない奴」と思った。

　しかし、私自身は、進学実績よりも「男のシンクロ」で有名な高校に通っていた。しかも、その中で、落ちこぼれだった。（受験勉強以外のことに打ち込んでいた）　したがって、いくら自分の方が頭がいいと反論しても無駄だった。

　今さら、東大を評価しても仕方がない。それでも、「駒場という場所自体が、旧制高校以来の伝統ある勉学の場所だ」と言われれば「そういうものなのか」と納得するしかない。（了）

　山田宏哉記

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[3657] 陸上自衛隊の装備を"体感"する 投稿者：山田宏哉 投稿日：2004/05/20(Thu) 13:52:16

　昨日（2004/5/19）、 陸上自衛隊の朝霞駐屯地にある広報センターを見学してきた。埼玉県・朝霞の川越街道（国道254号線）沿いの広大な自衛隊の敷地の一画にある。「広報センター」という響きが、あまり好きではないが、内容は期待以上だった。戦後、長いあいだ、自衛隊は、国民から日陰者扱いされてきたせいか、一般向けの広報が驚くほど充実している。

　戦車体験試乗ツアーというのに、申し込んできた。抽選にあたれば、富士の駒門駐屯地まで大型バスで送られて、戦車に乗れるという。近くヘリコプターの試乗の抽選も始まる。費用も、食費としての\500程度しかかからない。現代日本で、こんなに、気前よく貴重な体験をさせてもらえるのは、自衛隊を置いて、他にないのではないか。

　椅子が発砲する映像に合わせて、ガタガタ振動する３Dシアターやフライト・シュミレーターも子供だましかと思っていたら、なかなかの迫力があって、しかも勉強になった。

　館内には、対戦車用ヘリコプター・コブラ（AH‐1S)と90式戦車の実物が展示されている。屋外には、スカイシューター（87式自走高射機関砲）、ライトタイガー（89式装甲戦闘車）、クーガー（96式装輪装甲車）などが展示されている。柵の向こう側には、ジャージを着て、ランニングをしている、若い自衛隊員の姿が見えた。

　なお、最強の戦闘ヘリコプターとして名高いアパッチ（AH-64）は、ようやく2005年度からコブラの継続機として、陸上自衛隊に導入されることになっている。こと、兵器に関しては、アメリカの"お下がり"しかいただけないということか。

　とはいえ、コブラの20ミリ機関砲は、うまい具合にパイロットのヘルメットに装着されたカメラと同じ方向の目標物に銃口を向ける。数多くの実践経験を積んだパイロットが、「長年の勘」でそこら中のレバーやボタンを操作し、目標物に向けて発砲するのかと思っていたら、兵器の世界はとっくにデジタル化していた。コブラが高速で機関砲を連射して、森から炎が上がる映像（実弾演習のものらしい）は、無差別の殺人マシーンそのものだ。

　なお、アメリカの兵器開発に参与する企業としては、ボウイング社やロッキード社が有名だが、自衛隊に兵器を提供している製造元の日本企業としては、三菱重工や富士重工など、「○○重工」とつく企業が多く散見された。

　防弾チョッキを試着してみる。見た目より、ズッシリと重い。長時間、着用し続けていると、肩がこりそうだ。試しに、自分の拳で、防弾チョッキの上から、腹部を殴ってみる。確かに、衝撃を吸収するものの、鈍い痛みを感じた。弾丸は貫通しなくても、体重を乗せて、銃剣や戦闘用のナイフで刺されたら、まずいのではないかと気がかりだった。（これによって、私自身が困ることはないにしても。）

　戦場で兵士が背負っている背嚢（はいのう＝リュックサック）を背負ってみる。展示品は15キロとなっていた。最初は軽く感じる。ところが、これを背負って、駆けたり、這いずり回ったりすると、この重さはバカにならない。下手をすると、敵と交戦する前に、疲れ果ててしまうだろう。いや、むしろ、実際に敵兵と交戦している時間など、戦争のごくごく一部にすぎないことがわかる。

　実際の戦場（白兵戦=接近戦）では、敵兵の腰から上を狙う蹴り（格闘技で言う、ハイキック＝上段回し蹴り）は、タブーとされる。その理由が、実感としてわかる。何十キロもする荷物を背負いながら、身体を後ろに傾けたら、それだけでバランスを崩しそうだ。

　兵器や装備の実物に触れるうちに、かねてから、書物や映画、防衛庁長官の講演等で、仕入れていた知識や情報が、「そうか。あれは、こういうことだったのか」と次から次へと実感として迫ってきた。たかだか、「広報センター」で、こんなことに気付くなんて、逆に言えば、いかにこれまでの私の知識が、実経験に基づかない薄弱なものだったか、痛感させられた。

　やはり、体験というのは、決定的である。自戒の念をこめて言うが、やはり自分自身の経験（体験）のないことに対しては、偉そうに薀蓄（うんちく）をたれてはいけないのだ。

　なお、私は自衛隊員に、病理的な「軍国主義者」もしくは「軍事オタク」はほぼ皆無だと考えている。何事もそうだが、実際に経験を積んだプロフェッショナルほど、変な観念を抱かないものだ。（了）
　
　山田宏哉記

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