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  • こんにちは。堺市議会議員 石谷やす子です。

    大和川スーパー堤防は治水まちづくりに有効か?(12月議会)

    [2009.1.6] -[活動トピックス]

    日本共産党が行った大綱質疑のうち

    大和川スーパー堤防事業についての内容です。

     阪神高速大和川線事業がスーパー堤防事業と一体で進められています。

    膨大な税金を注ぎ込む大規模事業であるため、その必要性と目的、効果などについては多くの疑問が出されているものであります。

    堤防の市街地側に土を盛って、堤防の幅をその高さの30倍、100200メートルに広げようとするスーパー堤防事業は首都圏と近畿圏の6河川で事業化されています。

     

    スーパー堤防とは…その本当の目的 阪神高速㈱に買収され更地になった堤防沿いの大和川線予定地.jpg

    そもそも、スーパー堤防事業は河川の後背地に人口・資産が集積した大河川で計画を上回る洪水が来ても耐えうる堤防を整備するとの掛け声で始まったものです。

     当初21世紀初頭までに整備するとしていました。

    昭和62年(1987年)度に国の直轄河川事業として創設されております。

    現在、制度発足後21年になりますが、すでに6340億円の事業費がつぎ込まれているのに、計画の延長距離872.6キロメートルに対して、完成、整備中も含めて、わずか48.1キロメートル(約5.5パーセント)にすぎません。

    完成までの追加事業費は、単純計算で11兆円以上かかる大規模事業です。

    スーパー堤防は治水対策として計画されたものですが、実際の主眼は開発目的であったとする指摘が当時からありました。

    昭和62年(1987年)スーパー堤防構想は、アメリカの対日貿易赤字解消に対応したもので、

    内需拡大の目的から全国6河川の両側に住宅110万戸を建設する、が基本でした

     つまり、国民の生命、財産を守る治水対策を錦の御旗に、広大な堤防の上にマンションなどを建設する都市再開発を行うことが主目的だというのです。

    20年前の開発計画をそのまま続ける公共事業のありかたに対する考え方は大きく変化してきています。全国でダム、干拓、道路、などの開発見直しが、行われています。水防の新工法、技法の開発も進んでいます。バブル全盛期の構想に(こだわ)るのは時代遅れであります。

    事業実施しているところをみてみると、多くの住民を長期にわたり、仮移転させ、住み慣れた街を壊し、盛り土工事を行い区画整理をして「新しい街」をつくり、そこに住民を再移転させるというものです。

    何のための住民アンケート

    大和川でも事業進行中です。本市の場合、三宝、錦西、錦綾の3校区にわたり3.1キロメートルで整備が計画されています。調査した三宝地区だけでも258世帯、権利者382人です。

    堤防事業、移転補償などは国がやっても、堤防盛土上の区画整理事業には堺市の負担があります。財政的にも地域合意の上でも相当困難であると考えます。

                           

     当局が三宝地区で実施した住民アンケートによれば、「条件によっては協力してもよい」との回答が多数であるとの結果でありますが、これは「条件によっては反対である」ともどちらにも受けとめられます。

    質問に対する回答欄の選択肢が「条件によっては協力してもよい」と「現段階での協力の意向はない」の2つしかないなかでの集計であります。

    住民の事業協力の意向は正確に把握できたというのでしょうか?

    「「条件」を十分示されずに、これでは答えられない」と住民から戸惑いの声も出ています。

    区画整理事業にして強制的にできる・・・住民説明なし 

    住民説明に区画整理事業の説明したのか?との質問には、市の答弁では、「事業の進め方、補償の考え方を説明した」にとどまっております。

    つまり「区画整理事業を活用する」ことは、説明していないということであります。住民説明会で、使われた資料にも区画整理事業の手法をとるとは記されておりません。国の大和川河川事務所は「一軒でも反対があれば進められない事業だ」と再三説明しておられました。

    ところが、区画整理事業にすれば、強制力が発生し、立ち退きをさせることができるのです。スーパー堤防造成のために必要な広大な土地を買収せずに済ませることができます。区画整理の最大の特徴は一定の地域の面整備が一斉に実施できることです。このような大事な説明を、後回しにしないように求めます。

    加えて申し上げれば、当該地区は区画整理されており、再整理する必要性はない、または必要性のかなり低い地域であります。

     「まちづくり事業と一体となった事業」との見出しで、国土交通省が広報誌をつくられています。

    住民説明でも「街づくりと一体でする」とのことでした。

     わが党の調査では、たとえば、東京都江戸川区平井7丁目で行われたスーパー堤防事業の実績では、地域に住んでいた72世帯、戸数のうち、戻ってこれたのは60パーセント弱であります。

     出来上がった土地の道路の勾配(こうばい)は、高齢者や障害者には酷なものとなるでしょう。

    本市のスーパー堤防事業が、まちづくりどころか街壊し、とならないか懸念します。

    なぜスーパー堤防にこだわるのか?

     また、昭和57年7月の台風10号、豪雨、浸水被害を引き合いにして住民説明資料に使っております。

    しかし、あの洪水は、堤防の決壊ではありませんでした。                

    しかし堤防の一部に漏水があり、危険な状態でしたので、その後、国によって堤防基盤漏水防止対策が講じられ、強固な構造になっております。

    より安全性を求めるなら、阪神高速大和川線の買収用地で堤防沿いの幅50メートルの更地が続いてあるのですから、幅の広い堤防にすることで、より頑丈にすることができます。スーパー堤防よりも事業費は相当軽減されますし、住民負担も発生しません。

     莫大な国費を投ずるスーパー堤防による「治水対策」は抜本的に見直すべきだと考えます。

     

     住民の十分な理解を前提にした、納得と合意が大原則です。

    住民の意向を尊重し、強引にこの事業をすすめることはしてはならないことを強く申し上げておきます。