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薄らぐ「日の丸」意識

2010年2月24日17時1分

 五輪憲章に「オリンピック競技大会は個人種目または団体種目での選手間の競争であり国家間の競争ではない」と規定されている。

 しかし、過去の五輪を取材してきて、「日の丸」の重圧に押しつぶされて、最後に実力が発揮できなかった選手を多くみてきた。

 今回の五輪は少し様子が違う。「国家」をあまり意識しない大会になっているのだ。

 フィギュアスケートだけに限ってもそうだ。ペアの川口悠子は2009年1月にロシアの国籍を取得して、ロシア代表として出場、4位に入賞した。長野五輪でエレーナ・ベレズナヤの滑りにあこがれ、コーチのモスクビナに何度もファクスを送り、この道にたどり着いた。越えてきたものは「苦労」などという言葉では表しきれないだろう。「でも、私はコーチがアフリカ人ならアフリカまで行ってましたね」

 ボーダー(国境)を越えることに特別な意識はなかった。

 父が米国人、母が日本人のキャシー・リード、クリス・リード姉弟はアイスダンスで日本代表として出場した。着物や扇子を小道具にした演技に会場が沸いた。

 女子には米国代表として16歳の長洲未来が出場。両親ともに日本人だが、米国に住み、米国人としての出場だ。「私は日本式のルールで育てられた。日本のファンにも応援してほしい」

 スポーツのボーダーレス化は歓迎すべきことだろう。スポーツという言語によって国境がなくなっていく。

 その舞台がバンクーバー五輪というのも特別な意味があるのかもしれない。カナダは移民による多民族国家だ。モザイク社会とか、サラダボウルのような社会と言われる。サラダボウル社会とは、それぞれの民族がサラダボウルという器の中に、それぞれを主張しながら、存在しているという意味だ。いろんな野菜はカナダというドレッシングをかけても、調和しながら、にんじんとしての中国、キャベツとしての韓国、大根としての日本という個性を失わない。さらに先住民族がいる。

 五輪で国は深い意味合いを持たない。浅田、安藤、鈴木はその重圧とは無縁のままフリーまでの演技を終えてほしい。(編集委員・西村欣也)

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1 国旗カナダ 14 7 5
2 国旗ドイツ 10 13 7
3 国旗米国 9 15 13
4 国旗ノルウェー 9 8 6
5 国旗韓国 6 6 2
20 国旗日本 0 3 2
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