鳩山由紀夫首相と民主党の小沢一郎幹事長が、「5月政局」回避に躍起になっている。首相は13日、繰り返し約束してきた米軍普天間基地の移設問題の「5月決着」を断念する意向を初めて表明したが、責任問題には一切触れなかった。小沢氏は衆院政治倫理審査会に出席して自らの「政治とカネ」を巡る問題に幕引きを図る。だれも政治責任を取らないまま夏の参院選に突き進む「小鳩体制」に、党内は沈黙したままだ。
「当然、6月以降も必要があれば努力する」。首相は13日午前、来月以降も地元自治体や米国と交渉を続けると初めて認めた。夜には「5月末決着の考え方を変えているわけではない」とも口にしたが、矛盾は明らか。一段と迷走を印象付けた。
首相は従来、米国、受け入れ先自治体、連立与党との合意が必要とし、5月決着に向けて「職を賭す」と言い切っていた。だが移設先の候補地が浮上するたびに地元の反発を買い、米側の同意も得られない状態が続く。
そこで首相は決着の解釈を「方向性」にすり替え5月末を乗り切る方針に転換。自ら地元調整に乗り出し、23日にも沖縄を再訪するほか、鹿児島県・徳之島の訪問も検討中だ。
参院選を前に、連立相手の社民党は「辺野古回帰」を懸念する。13日には社民、国民新両党の幹事長が平野博文官房長官を訪ね、5月末にこだわらず、与党3党の基本政策閣僚委員会も当面、開くべきではない、と申し入れた。決着先送りにはこんな事情もある。近く示す政府案は閣議決定とせず、ハードルを下げた閣議了解にする方針だ。
米国も交渉継続に異論を唱えない。12日の日米外務・防衛当局の実務者協議は7時間に及んだが、普天間問題のほか、日米の同盟深化も議論したもようだ。米国としては交渉打ち切りで日本を追い詰め、鳩山政権が崩壊する引き金を引く事態は避けたいとみられる。
「国民にしっかりと話をすることによって、理解と支持を獲得することができる」。13日、広島市で記者会見した小沢氏は東京地検の任意聴取、衆院政治倫理審査会出席ともに前向きだった。
小沢氏周辺は「聴取に応じたところで新たな証拠は出ない」。検察審査会は起訴相当と議決したが、新証拠は示さなかった。心証による議決にとどまるとすれば、実質的な捜査の進展に至らず再び不起訴処分になる、と踏む。
原則非公開の政倫審は、一応の幕引きに好都合なカードといえる。予算委員会の証人喚問と異なり、偽証罪にも問われない。野党要求に配慮したという意味を持たせれば、国会運営もしやすくなる。政倫審出席を求めていた連立相手の社民党の顔も立つ。
野党は攻勢を強める。自民党の谷垣禎一総裁は、同日の記者会見で「小沢氏の説明は二転三転している。本来は証人喚問できちっと説明責任を果たすのが筋だ」と追及した。
平野博文、谷垣禎一、政府案、連立与党、決着、米国、地元自治体、首相、社民、普天間、辺野古、沖縄
日経平均(円) | 10,422.49 | -198.06 | 14日 9:52 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 10,782.95 | -113.96 | 13日 16:30 |
英FTSE100 | 5,433.73 | +50.28 | 13日 16:35 |
ドル/円 | 92.62 - .64 | -0.77円高 | 14日 9:31 |
ユーロ/円 | 115.97 - .02 | -2.16円高 | 14日 9:31 |
長期金利(%) | 1.310 | +0.010 | 13日 15:46 |
NY原油(ドル) | 74.40 | -1.25 | 13日 終値 |
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載
詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)