覚せい剤取締法違反(使用・所持)と麻薬取締法違反(所持)の罪に問われたロックバンド・JAYWALKのボーカル・中村耕一被告(59)に対し、東京地裁の藤井敏明裁判官は12日、懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡した。猶予判決を受けて釈放された中村被告は「いつか堂々とみなさまの前で歌うためにも、ケジメをつけないといけない」とバンド脱退を明言。所属事務所の知久悟司社長はバンドの解散は否定し、残りのメンバー5人と中村被告の更生を見守っていく。
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保釈申請することなく拘置され続けた東京拘置所を釈放された中村被告は、8分40秒間にわたって謝罪し、10回以上頭を下げ続けた。繰り返されたのは“ケジメ”という言葉。「許されるならば将来、音楽に帰りたい。1年や2年で戻れるとは思っていません。きちんとケジメをつけ、罪を償います」‐。きっぱりと、自身の声を看板にしたバンドからの脱退を宣言した。
法廷には黒のスーツに白ネクタイ姿で登壇。77年に大麻所持で逮捕されており再犯となるが、藤井裁判官は「芸能界の薬物汚染に社会的な批判が強まっていたのに、目を背けて使用を続けた。だが、真摯(しんし)に反省し、すでに社会的な制裁を受けている。以前の犯罪からも30年以上が経過している」と執行猶予判決を下した。
終始うつむいていた中村被告も、藤井裁判官から「つらく、苦しいときに、あなたの歌に癒やされ、勇気づけられてきた多くの人を裏切るようなことは2度としないでください」と説諭を施されると、「わかりました」と消え入るような声で応え、深々と一礼。傍聴席でずっと顔を伏せていた内妻のタレント・矢野きよ実(48)は、その瞬間だけ顔を上げ、そっと目頭をぬぐった。
所属事務所の知久社長も裁判を傍聴し「(JAYWALKは)解散はしません。(残りの)5人で頑張ります。曲の製作も今日からします」と中村被告以外のメンバーでのバンド継続を明言した。なお、中村被告は近日中に薬物依存を扱う民間病院に入院するという。