上海で記者会見したファーストリテイリングの柳井正会長兼社長=13日、日吉健吾撮影 |
【上海=奥寺淳】カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は13日、上海で記者会見し、2020年までに中国での店舗を1千店に拡大し、売上高1兆円を目指す方針を明らかにした。同社は15日に大規模店舗を上海に開店し、中国事業拡大の足がかりにする考えだ。
柳井会長は「中国は、発展途上国から世界最大の成長センターになった」と述べ、これまでの生産拠点から大規模な消費地へと変わりつつあることを強調。中国が09年に世界最大の自動車市場になったことを引き合いに出し、「ほかの消費財でも同じことが言える。世界最大の市場がスタートしたところだ」と中国の成長性に期待を示した。
同社はすでに20年までに連結売上高5兆円とする構想を打ち出しており、中国での売上高1兆円構想はその柱となる。同社によると、いまの中国での店舗網は64店(香港含む)だが、年内に30店舗を新たに出店。11、12年は年60〜70店、13年以降は年約100店のペースで増やし、20年までに1千店舗にするという。
ユニクロは現在、日本で約800店を展開している。中国で1千店舗を目指す考えは、中国市場を日本と同等か、それ以上に重視する経営方針の表れといえる。中国国家統計局によると、人口100万人以上の都市が08年に122あり、同社は1店舗あたりの集客潜在力は大きいとみている。新規出店の多くを日本の大型店と同じ売上高10億円程度の規模とし、1兆円の売上高を達成させる計画だ。
同社は15日、世界の有名ブランドが集まる上海の南京西路に、ユニクロとしては世界最大の広さ(延べ床面積約3300平方メートル)となる「グローバル旗艦店」をオープンさせる。旗艦店はニューヨーク、ロンドン、パリに次いで4都市目。同社は、将来は上海がニューヨーク、パリなどと並ぶ情報発信地になるとみており、中国から世界へブランドイメージを広げる戦略を掲げている。