中日−ソフトバンク 3回裏2死二塁、森野が左中間に先制の二塁打を放つ。投手ホールトン=ナゴヤドームで(谷沢昇司撮影)
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モリベンの快打で竜の交流戦が開幕した。中日は12日のソフトバンク戦(ナゴヤドーム)で、4割打者の森野将彦内野手(31)が先制打を含む今季11度目の3安打をマークすれば、和田一浩外野手(37)は宣言通りの愛妻バースデー弾でリーグトップの13号。打線の中軸が引っ張り、2年連続初戦勝利をもぎ取った。6年目で初めて、セ・リーグ本拠地から始まった交流戦初戦は、セの1勝4敗だった。
交流戦に入っても、すごいんです! リーグ打率トップの森野。最多本塁打の和田。リーグ戦の勢いそのままに、竜の誇る和製大砲が初日からパ・リーグを粉砕した。
「何とかボクがかえそうと思っていました。いい打撃ができました」
森野が振り返ったのは、両軍無得点の3回2死二塁。1ストライク2ボールからホールトンの速球を左中間に運んだ。先制二塁打。「あそこに来るような気がしてました」。感覚を研ぎ澄まして、ボールにぶつけた。
初回は中前打、8回にも左前打。これで今季11度目の猛打賞! 開幕から40試合目にして、早くも昨年の自己最多の10度を上回った。打率は4割1分6厘に上昇した。
慣れないパ・リーグ相手にいきなり好結果。秘訣(ひけつ)を尋ねると、森野は「今やっていることは変えていません」と言う。昨季はボールを強くたたくことを意識していたが、今季は自然体で臨むように。相手が変わっても、スタイルは不変。それが功を奏したようだ。
和田も負けじと一発を放った。1点リードの4回先頭。2ストライク2ボールからホールトンの速球を左翼席へ。13号ソロは貴重な追加点となった。「1打席目のチャンスに凡退していたので、取り返そうと思っていたのがいい結果につながった」。初回2死一、二塁で遊ゴロに倒れたことを反省しながら喜んだ。8回には川崎の打球を処理する際、右肩付近をフェンスにぶつけるアクシデントも。「大丈夫です」と不安は打ち消した。
この日は絵美子夫人の30歳の誕生日。4月19日に三男を出産してから、初めての観戦だった。昨年のこの日もヤクルト戦で10号ソロ。2年連続で格好いい姿を見せられた。
森野、和田そして全ナイン。勝ちたかった理由がある。新しいファンサービスの初日。試合直後、ベンチ前にナインが並び、ファンに向かってお辞儀をする。勝ち試合限定の企画だから、負けた場合には披露できない。快勝したからできた。
「思っていたのと少し違って。最初はなかなか難しい。でも、喜んでくれてよかった」と企画した選手会長の森野は振り返る。予定ではファンを待たせないため、選手が一度、ベンチに引き揚げる前にお辞儀するつもりだった。試合後は選手同士、次回にうまくいくように話し合った。少し違った形にはなったが、スタンドからは拍手が起こった。思いは届いた。
打率トップの森野が安打を量産し、本塁打トップの和田が一発。リーグ戦の数字を証明するかのような活躍で勝った。交流戦初日のこの日、セ・リーグの球団で唯一の白星だった。初めての交流戦優勝。そして、その先にあるリーグ優勝へ−。まずは最高のかたちで滑り出した。 (清水裕介)
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