夏の参院選を控え、民主党が「業界票」狙いの議員連盟を次々と立ち上げている。13日にはこれまで自民党支持だった不動産関係の議連が設立された。政権交代後に立ち上がった議連は約60団体。業界側の要望をすくい上げ、見返りに参院選の支援を期待する構図が浮かび上がる。
この日発足したのは「民主党不動産団体議員連盟」(会長=石井一・党選挙対策委員長、138人)。政権交代まで自民党支持だった全国不動産政治連盟(全政連)や全日本不動産政治連盟(日政連)など、10団体が設立会合に出席。全政連、日政連は13日までに参院選比例区に民主党から立候補する野村紘一氏の推薦を決めた。
設立ラッシュの背景には、自民党支持団体の切り崩しを進める小沢一郎幹事長の戦略もある。これまでも、医師会や歯科医師会とかかわる「適切な医療費を考える民主党議連」(桜井充会長)、運送業者向けの「民主党トラック議連」(奥村展三会長)などが発足。今後も、27日には農業団体との交流を目指す「民主党食と農の再生議連」、比例区から立候補する現職の下田敦子氏らが中心の「民主党日本栄養士議連」の設立を予定。いずれも、政権交代前は自民党を支持してきた業界だ。
業界側にとって、陳情を民主党政権に取り次ぐ同党系の議連は無視できない。今国会で審議中の悪質な家賃取り立てから借り主を守る「追い出し規制法案」には、業界側の議連幹部への働き掛けが実り、参院で「正当な家賃の取り立てが阻害されることのないよう、適切な対応を行う」との付帯決議が付いた。13日の設立総会で石井氏は「30万、50万票を」と参院選での支援依頼を忘れなかった。
ただ、党執行部は「癒着」批判を警戒しており、細野豪志・企業団体対策委員長は「政治献金振り込みの申し出もあるが、要望は要望として聞き、切り分けている」と主張している。