ここは紅魔館の奥深く、 果てしなく続くような広大な大図書館
その最下層、厳重に施された錠の先、小さな部屋の端っこに少女はいた。
薄暗く、埃まみれの淀んだ図書館とは違い、可愛らしいピンクや赤で溢れかえったその部屋。しかしそこはそんな甘ったるい雰囲気などではなく、異質な空気が漂っていた。
少女の名はパチュリー。この図書館の主であり、広大なここを一番よく知る人物である。普段ならばこのような怪しげな小部屋ではなく、大きな本棚の下で読者に耽っているはずなのだが。彼女がこの部屋にこだわるには理由があった。
「はぁ…流石にこの部屋に収まるだけの本じゃあ飽きが来るわ……」
ふわあ、と一つ欠伸をこぼす彼女の手に握られていた本に描かれているのは男性のイラスト。しかしただ描かれているだけではない。今にも触れ合ってしまいそうな唇、いやらしく絡みあった四肢。
いわゆるボーイズラブ、ホモ漫画。
彼女はこれの虜になっていた。
いつからこうなった?かなんて野暮な話だ。こんな風になったからって後悔なんてしてないし一端の腐女子たるもの今更ノーマルな世界に戻ろうだなんて思っちゃいない。まぁ一つ不満をこぼすとすれば
「どうしてここには女ばっかり…
妄想しようにも女、女、女……レズ女しかいないじゃない……」
せめてあの変態どもが男だったら、と叶わぬ願いばかり願っている毎日だった。
「ん…叶わない……?」
思い返してみよう。彼女は腐女子である以前に魔女なのである。
――性別転換魔法
得意の精霊魔法を駆使すれば…いける。 そう核心した少女は3週間と2日ぶりにその小部屋の扉を開き大図書館の奥深く、様々な魔術が記された文献の集まる所へと消えて行った。
このあとパチュリーは「ミラクル☆ニョッキリ チン○ッポ!!!!!」と叫びながら幻想郷を男まみれにしていくというハートフルストーリー。需要なんて気にしたら負け。
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