■柳沢 同盟関係を維持するためには、今までのようなやりかたで物事を技術的にうまく運べば同盟がうまくいくということではなくなってきていると思っている。だから、基本的な、戦略認識をしっかり議論し続けなければいけない。もうひとつは、イラク派遣というブーツ・オン・ザ・グラウンドによって同盟関係は高揚の時期をむかえたが、イラク後は同じ事をし続けられない。やはり日本が、グローバルに米国との協力で何が出来るのか、何をしていくかを、まず自分自身ではっきりさせていかないと、結局いつまでたってもいろんな形で、同盟の問題点は出てくる。
■森本 それは大事だが、むしろ、同盟関係をよい状態で維持するためにはつねに、平等な、イコールなコストを払う、リスクを負う、その覚悟がなくて、同盟を維持して国益を享受するというのは現実政治の中では甘い考えであり、いいところだけをとるんではなくて、同盟を維持するために必要なコストを払う、リスクを負う覚悟を常に持つ、この2つがなかったら本当の意味で同盟が維持できない。日本の一番悪いところは、リスクもコストも払わずに同盟の維持というところだけとろうという、そこが国際政治の中で、日本がなかなか他の国と良い協力関係が構築できない原因になっている。
在日米軍でいえば、やっぱり日本の国家の安全保障政策は一国平和主義なんです。在日米軍は日本のためには働いているのか、働いていないのか、ということしか考えない。アジア全体の安定のために働いている、それはいいじゃないかという議論にならない。在日米軍は日本のためではないのか、というのは一国平和主義で、これでは同盟関係を健全な状態で維持することはできない。
2010年4月5日