ニュース争論

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

ニュース争論:沖縄に海兵隊は必要か(2止)(6/11ページ)

 ■倉重 そういう重要な論議に比べて、普天間問題というのは果たしてどのくらい大きな問題なんですかね。

 ■森本 普天間基地問題という問題そのものは、ある特定の基地の代替施設を見いだし、「返還する」という小さな問題なんです。しかし、この問題の持つ意味合いと問題の「根っこ」は非常に重要であり、かつ、やっかいなんです。それはどういうことかというと、米国から見ると、普天間基地問題に対する日本民主党の対応が、今まで国と国との間で出来ていた約束をホゴにし、ブッシュ政権と自民党政治がやってきたことをもう一回見直し、海外か県外に移転すると言いだしている。これは中国に対する脅威感がなくて、米国の抑止力というものを過小評価しているとしか思えない。そういう日本の政権の安全保障戦略に米国は懸念を持っているんだと思います。だから現象は普天間基地問題なんだけど、根っこにあるものは、「この日本の政権は本当にこの地域を安定するために日米がガッチリ手を組んでやっていこうと、本気で思っているんだろうか」「どうもそうではないな」という見方をするようになっている。それが日米同盟という世界で比類のない同盟関係の信頼を根底から崩しているという深刻な問題に発展しているのだと思います。

 それが現象として出てきているから、この問題を解決したからと言ったって、日米間の不信感を払しょくできないと思います。どうやってこの信頼関係を回復できるかということを考えると、相当に時間がかかる。例えば、日本側が「やっぱり辺野古でもいいです」っていったら、日米関係が元に戻るかというと、そうは思わないんです。

 ■柳沢 余計不信感が増すばかりですね。軍事的にはさ末な議論になるかも知れないが、中国がアメリカのアクセスを拒否しようと一生懸命やっている。沖縄は中国の海洋進出を監視する位置にありますから、海洋にでてくる中国に対しては、逆にアクセスを拒否する能力を持っていかないといけない。

 そこで米国と一緒にどのようにしてグローバルな安定構造を作っていくかというときに、米国がやっている部分はまったく日本は議論しない、米国にまかせておけばいい、日本は日本のできる範囲でお手伝いしますというスタンスではもうすまなくなってきている。その姿勢が出てこないところが大いに不満です。その延長線上で、普天間をどこに持っていくかという結論を、あくまでもそういう大きな文脈の中で出していかないといけない時代になってしまった。

 ■森本 総理が考えているのは、普天間はもういいから、もう少し中・長期的に日米同盟を広く位置付けてグローバルな視点から、この問題を見るというように発想の転換を図ると米国はかならずわかってくれるはずだと。そういうふうに総理が頭を整理しているのではないか。

 ■柳沢 その時に、鳩山さんが言うような教育とか環境問題が同盟の本質とは思わない。

 ■森本 同盟を広げれば広げるほど、同盟の質は薄くなる。

2010年4月5日

PR情報

 

おすすめ情報

注目ブランド