日本の葬儀費用は、葬儀本体、飲食代、お布施などを合わせて平均231万円にもなる、という調査結果がある。米国の5倍、英国の20倍だそうで、その原因は利幅が異常に高すぎるためだ。「詐欺」同然の商法がなぜまかり通っているのか。
『葬式は、要らない』(島田裕巳著、幻冬舎新書)によると、日本の葬儀費用の平均は231万円で、主な内訳は葬儀社に支払う葬儀一式費用(平均142万3000円)、料理屋に支払う飲食接待費用(平均40万1000円)、お布施や心付けといった寺などに支払う費用(平均54万9000円)となっている。調査は日本消費者協会が07年に行った。
さらに、仏教式では故人が僧侶から授かる「戒名」がさらに費用をつり上げている。戒名料はランクが高いほど莫大になり、「高価な外国車を買えるくらいの額にのぼることも決して珍しくはない」とこの本には書かれている。
一方、アメリカの葬儀費用は平均44万4000円、イギリスは平均12万3000円、ドイツは平均19万8000円、韓国は平均37万3000円(冠婚葬祭業のサン・ライフの資料による)で、日本は「飛び抜けて高い」。そんな中、最近は定額制を打ち出す葬儀社が登場している。
関東と関西で葬儀を行うあんしん館(兵庫県西宮市)。松澤典央代表取締役は親族や知人の葬儀で苦い経験をしたことがきっかけとなり、業界を変えようと2002年に参入した。
費用が高い理由は、仕入れ値に対する販売価格が高すぎると指摘する。つまり儲けすぎているというわけだ。5000円の棺を10万円で売る、300万円で購入した祭壇を何度も使いまわした挙げ句、1回100万円で貸し出す、といった強欲なビジネスモデルがまかり通っている。利益率が9割にのぼることもあり、松澤代表は「詐欺と同じように見える」という。
また、葬儀費用とは別に心付け(チップ)を要求する葬儀社があり、専用の封筒を用意していることもある。1回の式で5~15万円にもなるそうだ。松澤代表は、
「大切な人が亡くなって普通の精神状態ではない時に要求され、葬儀社の言いなりになることが多々見られます。本当におかしなことです」
と強調する。
(続く)
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