【日本"未解決事件"犯罪ファイル01】「おい、小池!」で日本中に知られた男は本当に名前を呼ばれる日を待ち続けている
2009年10月14日17時10分 / 提供:日刊サイゾー
[第1回]
徳島・淡路父子放火殺人事件
(2001年4月)
「おい、●●!」
ここに自分の名前を当てはめて、顔写真が街中に貼られている状況を想像してもらいたい。......どうだろう? なかなか良い具合にムカつきはしないか? それが数年ともなれば、そのストレスたるや相当なものだろう。そんな日々を実際に送らざるを得ない男がいる。
小池俊一(こいけ・としかず)──。1960年8月3日生まれ、北海道出身(本籍は兵庫県洲本市)、身長174cm前後のどこにでもいるような風体の中年男性だ。しかし、我々はこの男の顔をよく知っている。彼が"日本一有名な小池"になったのは、自身が餓鬼畜生にも劣る非道行為をはたらいたとされる日から3年と数カ月が経った2004年8月のことだった。
「おい、小池!」という過去に類を見ないキャッチコピーが打たれた指名手配のポスターが全国の至るところに貼り出され、マスコミはこぞってこのニュースを取り上げた。手配書を作成した徳島県警の当時の担当者は、「一般の方の目を引く効果を狙ったのと、犯人がこのポスターを見てドキッとするのではないかと考えた」と語っていた。さらに同年9月、被害者の遺族が中心となって「殺人被疑者小池俊一の追跡捜査に協力する会」を結成し、"懸賞金200万円"を掲げて犯人逮捕にただならぬ思いをぶつけた。当時はまだ警視庁に捜査特別報奨金制度(公的懸賞金制度)が導入されていなかったため、世間一般にも強く印象に残る"ニュース"となった。
「事件」ではなく「ニュース」と記したのは、あまりにも被疑者の名前と懸賞金ばかりが目立ち過ぎたため、事件の概要や詳細について当時でも知らない人が多かったからである。それもそのはず、指名手配のポスターには事件のことなどほとんど書かれていないのだ。そのことを危惧した警視庁と徳島県警は、インターネット検索サイト「Yahoo!」に「おい、小池!」のバナー広告を出して情報浸透度アップを狙ったり(広告掲載前のアクセス数667件→掲載後は約14万件!)、ネットTV『GyaO』と協力して追跡番組『殺人被疑者 小池俊一を追え! 懸賞金200万円』を制作するなど、過去にも前例のない熱の入れようだった(ちなみに、手配書を携帯の待ち受け画面として配信しているほどである)。
では、彼がどういった容疑で全国に指名手配されているのか、あらためて事件を振り返ってみたい。
2001年当時、兵庫県洲本市に住んでいた小池は、淡路島内の会社に勤務していたものの、金銭トラブルが原因で退職。その後、無職のまま徳島県徳島市に移転してギャンブル漬けの日々を送っていた頃、市内にある行きつけのパチンコ店『吉野本町ミリオン』である親子と出会う。
松田優さん(当時66歳)と、その息子の浩史さん(当時38歳)だ。
顔を合わすたびに2人と仲良くなっていった小池は、ほどなくして借金で首が回らなくなり、ギャンブル資金を優さんから借りるようになる。しかし、次第にその金額が増えていき、ついには姿を眩ましてしまう。もともとは障害を持つ息子のために貯めていたお金だったらしく、優さんは慌てて小池を探し始めるが、周囲の人に聞いても行方は掴めなかったという。そして数日後、2人の身に人生最悪の不幸が......。
まずは4月20日、県営団地1階で火事が起こり、焼け跡から優さんの遺体を発見。続いて翌21日、淡路島の別荘造成地の草むらで浩史さんも同じく焼死体となって発見されたのだ。
検視の結果、2人とも首を絞められて殺害され、証拠隠滅のために燃やされたことが判明。さらに、松田さん宅から総額4,000万円の4冊の通帳が盗まれていることが発覚し、徳島県警は同一犯による"強盗放火殺人"と断定。その後の捜査により、小池の存在が捜査線上に浮かび、翌月には被疑者として全国に指名手配。決め手となったのは、兵庫県淡路町の岩屋港付近で発見された小池の車に残されていた衣類。そこから採取された血痕が、DNA鑑定によって浩史さんのものと一致したのだ。
警察の調べによると、事件後すぐに小池らしき男が市役所を訪れ、松田さん親子の転出届けを申請していたという。その後、徳島市内から神戸淡路鳴門自動車道を使って前出の岩屋港にたどり着き、車を乗り捨てたと見られている。
手配書の通り小池が犯人だとしたら、ギャンブルで借金を重ねた挙げ句、恩人である老人を惨殺して金品を奪い、ハンディキャップのある息子を簡単に捻り上げて焼身自殺を装わせたということになる。その罪がどれだけ深いか、犯行前、果たして本人は塵ほどでも考えただろうか。
徳島県警のホームページでは、小池がパチンコ店で遊戯をしている動画と、約20年前に麻雀に興じていたときの肉声を何年も流し続けている。それらには、落ち着かないのかキョロキョロと周囲を見回す小池の姿、そして......。
「久々のリーチ! 笑うんじゃないよ〜」
「あっ、あー鳴いてるわ......あっ、ゴメン。今のは不覚をとられた」
「もうお手上げだ。わかんねぇよ」
......などと、おどけたり落ち込んだりする声が記録されている。
そんな気の弱い男が、何年もの間、自分の名前と顔写真が溢れている街を堂々と歩けるわけがない。ずっと地面に目を落としたまま、背を曲げて死んだように息を潜めているのだろう。今では本当に、彼の名前を呼びかける者はいない。人生のギャンブルには大敗したのだ。
「おい、小池!」
......彼には殺された2人の"叫び"にも聞こえるかもしれない。
(取材・文=松本京也)
<プロフィール>
被疑者:小池俊一(こいけ・としかず)
生年月日:1960年8月3日
出身地/本籍:北海道/兵庫県
身長:174cm程度
利き腕:右(ボール投げは左)
特徴:前歯が4本欠損、髭が濃い、右のこめかみ付近にほくろ、盲腸の手術痕あり、箸の使い方が下手(握り箸)
関連事件時効成立:2016年4月
<連絡先>
徳島東警察署/0120-199-610
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