今朝の日経朝刊一面をみて茶を噴いたり食べかけの味噌汁をこぼした人はワタクシだけではないでしょう。 銀行の新資本規制になが〜い移行期間を設けることで実質先送りだそうです。 あくまで予想記事なので、まだわからないですが、まあこれまでいろいろ言ってきた立場としては、それはアリでしょう、ということです。とはいえ、こないだまで必死で日本の銀行が巨額の資本調達に走って株式市場のセンチメントを思い切り悪くしていたのはいったいなんだったんでしょうかねぇ・・・(あるメガバンクはまだやっていなかったので欣喜雀躍したとかしなかったとか・・) これを見たひとの多くが次のような共通した認識にとらわれたのではないかと思います。 ・いくら亀井大臣がパワフルだからといって、日本の事情だけで、予定されていたルールがこんなに簡単にひっくり返るわけはない。 ・貸し渋りは世界共通の問題。 ・とりわけ間接金融の比重の大きい欧州にとっては、意外にというかやはりというか思いっきり効いているのではないか。 ということで、欧州やっぱり大変なんですねぇ・・・という感じです。 偶然かどうか、そういえば、ギリシャの財政問題を筆頭にまたユーロ圏がらみの悪いネタが増えてきています。だいたいギリシャはユーロ発足後本来のマーストリヒト基準である財政赤字対GDP比3%以内というのを1度しか達成していないのだから、(まあギリシャだけの問題とはいえませんが)もともと結構無理のある亀井、もとい加盟だという認識は市場に共通でしたが、昨年の金融危機からの戻り局面でのリスクラリー(流動性相場)で欧州でもスプレッドの乗っている国の債券がずいぶんアウトパフォームしました。10年で対ドイツで280BPぐらいでしたかね、それほどあったのが一時期は100程度にまで縮まっていた。ところが今回の危機ネタで一気に元に戻った感じです。 欧州の問題はギリシャにとどまるわけはなく、当然東欧あるいはそれのエクスポージャーの多いオーストリアにもまた波及していますし、まえから不動産バブルの崩壊が心配されていたスペインポルトガルもまたいろいろ取りざたされてきています。まあ去年のデジャビュといえなくもないのですが、それなりのマーケットへの影響は出ています。先ほども書いたように、間接金融(つまりローン)主体の資産構成となっている欧州銀行は米国に比べて時価評価の度合いが少ないうえ、まだまだいわゆるレベル3資産も大きいように思えます。 以前書いたIASB39の改正で債券が償却原価評価となる前提として「基本的なローンの特徴を有する」ことを要件としているのは、まさに欧州の状況を背景にすると理解しやすいのだと思います。そして一部の証券化商品のスーパーシニアの部分が償却原価に含まれるということもこの流れで理解する事が可能です。つまりこうした一種の会計基準緩和も欧州の事情によるところが多いのだろうと推測しています。大体において、ドイツにせよイギリスにせよ、一部の銀行に問題が起こるとすぐに「国有化」みたいなことになってますが、それだけ、システミックリスクが根っこのところで大きすぎることの裏返しでしょう。そしてこのような形で先送りをしているから、問題がそれほど表面化しない代わり、事態の解決は長引く。冒頭の新資本規制の猶予期間10年!っていうのもえらいびっくりしましたが、それだけ問題が大きいことの裏返しだと推測します。 個人的には今後5年程度の間に少なくともユーロ加盟国でデフォルトするところが出るとは考えていませんが、これから市場の薄くなる時期、時価ベースでの変動は多少覚悟しておいたほうがいいでしょうね。 それともうひとつ気になるのが通貨としてのユーロ。チャートはちょっと危なっかしい感じになっています。これまで戻り局面で一方的にドルに対して上昇してきただけに、ちょっと調整が入りそうな雰囲気になってきました。ユーロに限らず豪ドルなどのチャート(対ドル)もやや危なっかしいし、多くの為替のプロが指摘するようにブラジルなどの通貨もなんとなくやりすぎのように感じます。年末はワタクシのなかでは警戒レベルが高い状態とならざるを得ません。 今回の突然の方向転換は、今の規制議論がいかに政治主導かという事実を改めてクローズアップさせた意味も大きいと思います。亀井さん、実は今の時代に意外に適任な大臣なのかもしれないですね。 |
<< 前記事(2009/12/13) | ブログのトップへ | 後記事(2009/12/18) >> |
タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
---|---|
コアTier1規制キター(4)
コアTier1規制キター(3)の続き すみません、来ませんでした。「銀行の新資本規制を延期、日米欧が合意 移行へ10年以上(NIKKEINET)」10年以上延期って、完全な先送りですね。 なぜ突然こうなったのでしょうか。。。素直に考えると、プロシクリカリティ(規制体系... ...続きを見る |
共有地の喜劇 2009/12/16 23:25 |
世界経済破局への長い序章? 3.ギリシャ危機=欧州通貨ユーロの危機
ドバイ危機は、兄貴分のアブダビが、100億ドルの資金援助を行う事で、延命させそうです。 ドバイ危機が、中東欧諸国へと波及しました。 危機をいわれているのが、ギリシャ、バルト三国(ラトビア、リトアニア、エストニア)、ブルガリア、ハンガリー等です。欧州東方拡大の波にのって、急激に資金が流入してましたが、リーマン・ショックを契機にして、今度は一斉に資金引き上げが起こり、金融危機に落ちいっています。 この内、一番の注目国は、何処でしょうか? 1.欧州通貨ユーロ圏の国家破綻危機、ギリシャ... ...続きを見る |
金貸しは、国家を相手に金を貸す 2009/12/17 22:55 |
バーゼル新規制導入に経過措置
世界の中央銀行・金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会は17日、国際的に活動する銀行に対する規制の改革案を発表しました。中核的自己資本(Tier1)のうち主要な部分を普通株と内部留保とするなど、新しい規制のあり方とともに、規制の一部について実施時期後ろ倒しの経過措置を設けるなど、従来に比べてより柔軟な規制の取り扱いを意識した案が示されました。 ***♪規制の繰り延べ♪ ...続きを見る |
歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。 2009/12/19 00:19 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
---|---|
今朝のこのニュースには大層驚きました。 |
39歳無職 2009/12/16 21:54 |
39歳無職さん、どうもです。もともと自己資本規制も2の乗数みたいなあまり根拠のない自己資本比率を誰かが決めてそれを無理やり守らせるみたいな感じでしたからね。ともあれ、今の時期に強引にやるのはなんだか本来の金融監督の失策を糊塗するために市場を壊すという印象があり、先送りはある意味良識的な判断と言えるでしょう。でも、しょせん実態がよくなるわけではないので、あとは今回の先送りによって多少改善したセンチメントによって上手く回っていくようにしたいものです。 |
厭債害債 2009/12/17 00:06 |
そーいえば、MUFGもなんか増資がらみでなんか書類を証券が送ってきてたし、今日はみずほBが「今日で定期が満期になったんですがうちの社債買いませんか」とか電話してきたし(そういう営業ってありなのかなあ)、片方でみずほの旧富士銀行本店を高層ビル化してホテルも突っ込もうなんて再開発計画が(ryとか新聞にあったし、この低金利でどないせいっちゅーんじゃ、という感じではあります。 |
まるふう 2009/12/17 23:01 |
馬鹿な人たちに、バーゼルは常にアメ公のIBを見てるので、究極のインサイダーですよ。 |
karu 2009/12/18 00:31 |
その中で今回は私が嫌いな監督官庁ががんばったのは、えらいです。まともな官僚は、環境庁と水産庁とあえて金融庁と宮内庁しかいないね。 |
かる 2009/12/18 00:33 |
ということで、わかりやすい例がスキージャンプです。日本が飛びて連戦連勝のときに、SICだっけ規制が身長ですよ、欧米は常の自国優位のルール改正をしてやってきてます。これがBIS規制かたやアメ公は、わしら銀行じゃねーし、アメフトなんてオリンピック関係ねーサッカーなんてくそ食らえという気合ですね。ここら辺日本のアホメガは考えんときまへんな。 |
かる 2009/12/18 01:47 |
かめさんは株価上がったのをみて「俺がやってやった」的にコメントしてましたが、どうみてもリークです。ありがとうございました。 |
ttori 2009/12/18 22:47 |
まるふうさんどうもです。金利政策や資本充実政策などを総合してみるとやはりシステミックリスクを回避する、すなわち主要な金融機関については絶対に破綻を回避するという意図だけははっきりしているように思えます。 |
厭債害債 2009/12/22 06:10 |
<< 前記事(2009/12/13) | ブログのトップへ | 後記事(2009/12/18) >> |