脱走騒動クジャク結婚式場で人気者だった

　千葉県八千代市で逃げ回った末に捕獲されたクジャクを巡り、同市と茨城県神栖市の２人の会社社長の男性が「私が飼い主だ！」と所有権を主張していた問題が、意外な形で決着した。１１日になって茨城県警鹿嶋署にクジャク２羽が保護され、神栖市の男性に無事に引き取られていたことが分かった。この２羽は行方不明の間、神栖市内の結婚式場に居着いて、“接客”までするアイドルになっていた？！

　八千代市で発生した“迷いクジャク”騒動と時を同じくして、神栖市にもクジャクが突然現れていた。同市で２２年間、結婚式場を営業するアトンパレスホテルの庭園にゴールデンウイーク最終日の５日朝、雌雄２羽のクジャクがたたずんでいた。庭園には緑鮮やかな芝生が敷き詰められており、最初に発見したホテルのスタッフは「ウチの庭にピッタリだなぁ～、と思わず見とれてしまった」と話した。

　近寄っても逃げず、攻撃をしてくるわけでもない。試しに調理場で余った大根の葉っぱを刻んだものを地面にまくと、きれいに平らげたという。同ホテルの式場プロデューサー野口貴久子さん（３５）は「お米やパンやら、何でも食べましたね。食欲は旺盛。おとなしかったですね」。その人なつっこさが来場者にもウケた。

　５日以降、同ホテルでは挙式はなかったが、式場の下見をするカップルが何組も訪れた。スタッフが庭園に案内するたびに「キャー、かわいい。クジャクよぉ～」「すご～い、きれいねぇ～」と注目され、時には教会の中に入り込んで“案内役”までこなす働きぶりだったという。自然と大きな雄を「ピーコック」、小さい雌を「ピーちゃん」と呼び分けてアイドルのように扱っていた。

　ところが八千代市で８日から逃げ回っていたクジャクが１０日に捕獲された。“飼い主”という男性が２人現れ、うち１人が神栖市出身と報道された。そこで野口さんは１０日午後、鹿嶋署に通報。署員５人が駆け付け、大きな網で立て続けに２羽を捕獲した。その後、八千代署にいた神栖市の男性が、鹿嶋署に移動して２羽と対面し「私のクジャクです」と確認、引き取っていったという。

　同ホテルには飼い主の男性から「本当にありがとうございました」と電話で連絡が入った。野口さんは「今年はもしかしたらいいことがあるかもしれません。でも、庭にクジャクがいるのは良かったですね」とちょっと残念そうな表情をみせていた。【寺沢卓】

　［2010年5月12日9時51分　紙面から］