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〈裁判員時代〉制度反対へ団体始動

2007年06月30日

 市民が刑事裁判に参加する裁判員制度。09年の開始に向けて裁判員の選び方や有罪無罪を決める評議の進め方などが次々と具体化していくなか、導入そのものに反対する団体が活動を始めている。「中身が明らかになり、市民にも知れわたってきた今こそ、反対の声を結集させたい」。メンバーは制度の廃止を目指して動きを強めるという。

 29日夜、東京都内で開かれた集会。主催した団体「裁判員制度はいらない!大運動」の呼びかけ人の一人、作家の嵐山光三郎さんは「敏感な世論の一人として来ました」「裁判員制度は国民の徴兵制度のようなもの。やりたくないが、もし選ばれたら(評議内容の守秘義務を破って)書きますよ」などと語った。

 団体が発足したのは4月。裁判員になることを拒否できないうえ、評議の内容は秘密にしなければならない。被告も短い審理期間では十分に反論できないだろう。被害者の刑事裁判への参加も導入されれば量刑はずっと重くなるのではないか。そんな問題意識を持ったメンバーが集まった。

 この日の集会で、350人の参加者を前に上演されたのは、演出家の印南貞人さんが手がけた模擬裁判劇「美しい国の裁判員時代」。極端な例も交えてメンバーの懸念を凝縮した内容だ。

 夫を殺害したとして逮捕・起訴された妻の裁判。無罪を主張する被告が「(有罪のように報じた)ワイドショーや週刊誌を見て頭がいっぱいになってる人に裁判されるのはイヤ」と言っても聞いてもらえない。評議の内容を報道機関に話した裁判員が逮捕される――。

 劇の後、同じく呼びかけ人の漫画家・蛭子能収さんは「赤紙みたいなのが突然来て拒否できないんですよ。私は行きたくない。自由がいいんですよ。嫌々行ったとしても『早く終わるなら、皆さんが言われる通りの刑でいいです』と言います」と話した。

 団体では劇の様子をDVDで上映するなど、同様の集会を全国で開いていく予定。廃止を求める署名を集め、国会に請願を出すことも考えているという。

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