民主党は本日、マニフェスト企画委員会を開き、夏の参院選公約策定に向けた調整を本格化させました。そこで今回は、ほぼ1年前の昨年5月26日に、自民党の「民主党政策反論チーム」がまとめた「内部資料」を紹介します。これは私の意見ではなく、あくまで自民党の政策スタッフの指摘であることをお断りした上で、何かの参考にしていただければと思います。以下、原文とは構成を変え、テーマごとに抜き書きします。
【高速道路無料化】 国民のETCへの出費が無駄になる。また、多少とも有料にすることによって、トラックの夜間利用を促すなどしており、一般道との価格差別化がなくては、思わぬ大渋滞を引き起こすことになり得る。さらに、高速道路の維持費や過去の建設費の負担(債務)を、利用しない人まで税金で負担することになる。
民主党の主張は無料化ではなく、高速道路の税金化・国営化に他ならない。借金(債務約40兆円:民営化後45年以内で返済)は残り、結局国民は毎年税金で払うことになる。
首都高速・阪神高速を除く高速道路を無料化すれば、約2・1兆円(平成21年度予算)の料金収入がなくなる。この場合、債務の償還(約1・6兆円)や維持管理費の経費(約0・2兆円)をどう調達するのか、約8000人超(首都高速・阪神高速を除く)の就労者の生活をどうするのかなどの問題がある。
しかも、高速道路がない地域の人も、高速道路を使わない人にも負担をさせ、かえって不公平。国に頼らず、会社の責任で経営を始めたせっかくの民営化改革に逆行する。
【子ども手当】 総額5・6兆円を要すると試算されているが、巨額な手当をばらまく以外にも喫緊の課題や効果的な対策等を考える必要がある。一律にお金を渡せば、子どもが増えるという単純な考え。
「子ども手当」により、新たに月額2万6000円の家計の負担が軽減されるような印象を受けるが、昨年10月に公表された「政策INDEX2008」では、その財源として現行の配偶者控除や扶養控除を見直すとしている。従って、「配偶者控除や扶養控除の廃止による負担増」および「児童手当の廃止による収入源」と相殺すると、実際に軽減される家計の負担は、月額4000円程度にしかならないおそれがある。
さらに、子どもを持たない家庭にとっては、例えば定職を持たない配偶者がいる家庭では、配偶者控除の廃止により一方的な増税となる。また、子どもがいる家庭でも、子どもの中学校卒業後には、配偶者控除の廃止に伴う負担増が待っている。つまり、「子ども手当」制度は、家計の負担軽減にそれほど役に立たないばかりか、多くの国民には一方的な増税が一生続く制度である。
【海兵隊グアム移転・普天間】 民主党は、政府が署名した「2014年までに約8000名の米海兵隊員及び約9000名の家族をグアムに移転する日米合意の実施のため、グアムでの米軍施設整備費の一部を、日本が28億ドルを上限として支出するという内容の『在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定』」の国会承認に関し、移転に関する情報開示が不十分なうえ、経費の積算根拠が不明確として、反対した。
民主党は、この他にも普天間飛行場の県内移設・返還に反対し、県外もしくは国外移設を訴えている。
普天間飛行場の移設・返還と海兵隊のグアム移転、そして嘉手納以南の基地・施設の移設・返還は統一的なパッケージであり、特にこのグアム移転は、一連の在日米軍再編計画の合意の中でも、沖縄の基地負担を大幅に軽減する画期的なものであり、迅速かつ着実に実施されなければならない。
民主党の主張を実現するためには、これまでの日米交渉の経緯を無視して、合意を白紙に戻し、14年前のSACO設置に戻って、再交渉を行わなくてはならない。民主党の主張が通るまで、沖縄の負担軽減は先送りされることになる。
これまでも民主党は、いわゆる思いやり予算、インド洋での補給支援活動、イラク復興支援活動、海賊対処法等、日米の信頼関係を高める対応にすべて反対しており、これらの対応が、日米同盟を弱体化させる危険性をはらんでいる。
【農業者所得補償制度】 「所得補償」と言いながら、補填は、全国標準の生産費までで、これまでの所得を補填するものではない。どの作物にいくら支払うのか、財源をどう確保するのか、いつから実施するのかについて明確な説明がない。コメについて「生産調整廃止」と言いながら、行政から割り当てられる生産数量目標を守らないと所得補償は受けられない。「生産調整廃止」と完全に矛盾している。
【ガソリン、軽油の暫定税率廃止】 暫定税率分で約2・4兆円(ガソリンと軽油の暫定税率のみ廃止の場合約1・9兆円)、さらに高速道路無料化で約2・1兆円、合わせて年間約4・5兆円の収入がなくなる。これに見合う財源は、どこから持ってくるのか。または、これに見合う予算を削減するのか。
…自民党の指摘通りの点もそうじゃないところもあるでしょう。上記の政策で実際にそう動いているものも、動きが止まっているものもありますね。でもまあ、私はもうすべてが面倒な気分なのでコメントは控えます。いまテレビのニュースでは、柔道の谷亮子氏が小沢幹事長の誘いを受けて参院選に民主党から出馬すると話しているシーンが流れています。あー、生ビールが飲みたい。
by flying-showboat
政府答弁書とJR総連と革マル…