中国で開催中の上海万博にあわせて再現された遣唐使船が、大阪から上海に向かっていますが、きょう北九州市の門司港に寄港しました。
かつて日本と中国を行き来した遣唐使船が積んでいたとみられる茶器を使った茶会も開かれました。
関門海峡を航行するのは、かつて日本と中国を行き来した遣唐使船を再現した船です。
1300年以上前、日本が倭と呼ばれていた時代に始まった遣唐使は、当時先進国だった唐から、技術や制度を持ち帰りました。
再現された遣唐使船は、上海万博にあわせて、角川文化振興財団がおよそ1億2千万かけて製作しました。
文献や絵巻物に基づいて再現された遣唐使船。
長い航海の安全を願って、海の神もまつられています。
当時とほぼ同じ大きさで全長30メートル、船の側面には漕ぎ手が乗る櫓棚も再現され、マストに張られた帆は麻布で出来ています。
「海峡沿い、国道を走っていたら見えたので、下関に車を置いて人道を走ってきました。こんな小さな船で中国に渡っていたなんてすごいですね」(見物客)
「中国からお茶や食べ物を運んできたんでしょう。電話がない時代に突然行って、よく受け入れられられたなと思いますね」(見物客)
珍しさに、近くの会社の女性たちも、携帯のカメラで撮影に来ていました。
「こぎ手を除いた100人の人たちが全部、船室の底のほうに横になって、重しになって航海していたのではないかと思います。この船の乗り心地はあまりよくありません。少し波が来ると揺れますので。木の葉のような船で日本から中国に渡るということは、同じ勉強をするのにも命がけだったんじゃないかと」(遣唐使船再現プロジェクトコンサルタント・山本徳行さん)
きょうは、遣唐使船が積んでいたとみられる青磁の茶器を使って茶会も開かれました。
茶器は、北九州市の隣・岡垣町沖の海底から見つかったものといわれています。
再現された平成の遣唐使船はあすの朝、博多港に向けて出港します。
その後、当時のルートをたどりながら、来月12日には上海に到着し、万博会場で日中友好ムードを演出します。