厨二臭↓
フランちゃんがマセガキ。
「ねぇ、どうして?」
腕の引き千切られたテディベア、頭のない着せかえ人形、血まみれのおままごとセットが閑散と散らばった部屋に酷く似合わない彼女は不思議そうに私に問た。
「お屋敷の外には出ちゃいけないの。お姉さまに叱られてしまう。」
「なんでなのさ、そのおばかなおねえさまのいう事なんていい子してきいてちゃだめだよ!」
「おばかはあなたじゃない。」
膨れっ面の彼女は、じだんだを踏んで悔しがっていたけれど、なんだか昔あった絡繰り人形そっくりで、懐かしい衝動が走った。触れたいけど、それはできない。またあの人形達の二の舞なのだから。
「なんで、なんで、なんでなのさ!お外にでようよ!こんなところよりずーっとずーっと楽しいに決まってるんだから!」
ばたつかせた足が、もぎれた着せか人形の頭を蹴っ飛ばして転がった。だめ、だめよ、あなたはこれ以上わたしに近づいちゃだめなんだから。その足元の頭みたいになっちゃうんだから。
「あのね、わたしあなたの事は嫌いじゃないわ」
「じゃあ、いっしょに遊ぼうよ!」
「それはできないわ。」
心底わたしの中に眠るこの能力が恨めしい、といつも思う。いくら好いても好かれても一瞬でその感情は吹き飛んで、壊したい、私だけのものにしたい、それしか考えられなくなる。そうやってみんな私の前から消えていくの。
「おばかはフランのほうだ!ききわけのない子なんておおおばかよ!」
怒る彼女にも私は頭を撫でてなだめる事さえできない。なにが悪魔だ。そんなの私が望んでる訳ないじゃない。
泣きじゃくるチルノをぼう、と眺めながら叶うはずのないお願いを信じてもいない神様に願ってみた。
神様どうかわたしを彼女の手を握ってあげる事のできるふつうのおんなのこにしてください。
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