月例経済報告:基調判断、8カ月ぶり上方修正

2010年3月15日 15時59分 更新:3月15日 20時25分

 菅直人副総理兼経済財政担当相は15日、3月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。企業収益などの改善を受け、基調判断は「景気は着実に持ち直してきている」とし、「着実に」という言葉を加えて「持ち直し」の表現を強め、基調判断を上方修正した。上方修正は、昨年7月以来8カ月ぶり。

 一方で、日本経済がデフレ状況にあるとの判断は継続。日銀に金融緩和政策を引き続き促し、一体でデフレ克服に取り組むことも強調した。

 11の個別項目のうち個人消費、設備投資、住宅建設、企業収益、雇用情勢の5項目を上方修正した。5項目の上方修正も8カ月ぶり。個人消費は「持ち直している」とし、「旅行や外食などサービスにも回復のすそ野が広がっている」(内閣府の津村啓介政務官)ことを引き上げの根拠とした。

 企業収益も、09年10~12月期の法人企業統計で経常利益が前期比35.2%増と大幅に伸びたことから「改善している」と指摘。設備投資は、国内総生産(GDP)同年10~12月期が2次速報で0.9%増とプラスを維持したことなどで、「下げ止まりつつある」との認識を明確にした。

 住宅建設は、1月の新設住宅着工戸数が前月比で5カ月連続上昇で、「持ち直している」と判断。雇用情勢は1月の完全失業率が4.9%に低下したことから、「持ち直しの動きがみられる」に引き上げた。

 ただし全国消費者物価指数が1月まで前年同月比で11カ月連続で下落するなど、需要の弱さから物価は弱含み続けており、日本経済がデフレ状況にあるとの判断は維持した。【秋本裕子】

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